ドラックガーデン2号店
この2日間ベットから出ることも無く過ごすと言う不健康極まり無い時を過ごしていた事もあり腰が痛く……アーデン……もう少し加減を覚えて欲しい
エリクサ飲んでまでする必要ある?無いよね?募らせ童貞怖いわ
あの感動はもうどこにも無いのね。
良いよ、アーデンが幸せなら良いんだけど……
もう少し落ち着こうよ、もう29歳 ううん、30歳に成るんだからね……。
そんな事も有ったけど今日はどうしてもレオナルドさんと北西の薬屋に行かなければならないので縋り付くアーデンを説き伏せて朝食はジェシカの処で食べようとこうして来たわけです。
「う〜ん」
「何?どうしたの?」
「ねぇ、エリーとアーデン何か有った?」
「え?どういう事?」
「な〜んか違うのよね、仮面付けてるアーデンでさえ違うって感じるんだけど、エリーはなんかこう女っぽくなったと言うか。この前までと雰囲気が違うのよね」
(ジェシカって鋭いわよね、私ならきっと気が付かないわ)
「そうかなぁ?何も変わった事無いんだけど」
「そう?気のせいかしら。まぁもう夏だし薄着にもなるしね色気も出てくるかぁ」
「そうよ、夏らしくなって来てこれから食べ物も気をつけないとね」
「うんうん、家も食堂なんてしてるし本当に気を使うわ」
「ジェシカ、ライナスはまだ寝てるのか?」
「うん、起きてくるの昼過ぎになると思うけど何か用が有ったの?」
「いや、まぁ、謝らねばいけないと思う事が有ったからな。寝てるなら夜にでもまた来る」
「うんわかった、一応アーデンが兄さんに会いたがってた事伝えておくね」
「あぁ、頼む」
そう言って奥の椅子に向かうアーデンを横目で見ながらジェシカが
「ねぇ、エリー、やっぱりアーデン何か有ったよね?」
「そう?私にはわからないけど?」(腰が痛いから座りたいんだけど)
「なんか、元々きつい印象は有ったけど今はそれほどでも無いって言うか、丸く?なったかなぁ?」
「良い事じゃない、そんな風に見えてきたなんて。きっとこの街にも慣れて来て落ち着いて来たんでしょう?」
「そっか、そうよね。うんうん、良い傾向よね」
話が終わる頃ヘレンさんが2人分の食事を持って来てくれて
「全くいつまでサボってるの!ジェシカは!ごめんねエリー。いちいちこの子に付き合わなくて良いからね。ほら、サッサと手伝いなさいな」
(ふふ、今迄と同じ事なのになんだか違う感じがする。景色も、食事の味も何もかもが違って感じるなんて不思議だな。アーデンも私にはイマイチ良くはわからないのだけど変わったと思う。前よりベタッと張り付くようになった気はするけれどね。皆んなとも良く喋るようには成ったかな?)
「絵里子、レオナルドとの待ち合わせはどこだ?」
「待ち合わせじゃ無くて丁度通り道だし植物園に寄るよ」
「そうか、しかし今日は暑くなりそうだ。もうそろそろクールジャケットが必要に成りそうだな」
「クールジャケット?アーデンそれって何?」
「あぁ、そうか絵里子はこの国で過ごす夏は初めてなのだな。この国は……いや、この星はか。夏の日差しが刺すように痛いその為に冷床木と言う木の皮を剥いで作る服を着ないで長時間外に居ると火膨れが出来るんだ。まぁ、エドナ薬が売れる時期でも有るが、だからなその服をそろそろ買わないといけない」
「そうなんだ、暑いよりも痛い方が強いの?」
「そうだな、痛い方が強いだろうな」
「森の中にいる分には必要無いだろうが街に居る時は着た方が良いだろう」
「ジャケットを着て暑い中歩くのは嫌かも」
「そうか?着た方が涼しいと思うが」
「え?着た方が涼しい?なんで?」
「冷朴木の皮はとても柔らかくてな、しかもいつも冷えてる、だから着た方が涼しくなるんだ、着てみた方が早いか」
「それは是非欲しいね、ねね、欲しい!」
「あぁ、買いに行こう。」(絵里子からおねだりか……)
話し合いが終わったら帰りに洋品店に寄ることにして朝食を食べることにした。
久し振りのビクターさんの作った食事は何だかとても落ち着いた。
もう、馴染みの味になっていたのだろう 私もすっかりこの国の人間に成って来たのかもしれない。
食事が済みまた来ますねと挨拶をし馬車に乗り込み植物園に行く
入り口で待っているとレオナルドさんが書類ケースを片手にやって来た
「あれから陛下と色々話したのですが、陛下が仰るにはもし差し支え無ければエリーさんの知恵をもっとお借りできないだろうかと言う事でした。」
「私の知恵ですか?」
「えぇ、先の国王は初代様から色々聞く事も無く代替わりされたそうでこの国の発展は初代様以降止まったままなのですよ」
「でも私そこまで物知りでは無いです……お役に立てるかどうか」
「できる範囲わかる範囲で構いませんので、何か今回みたいに改善した方が良いなどの案件が有った時は私で良いので言って頂くとかしてもらえると助かるとシャルナーク王も言っていました。この国はまだまだこれからなのです、万人を受け入れる事は叶いませんが」
「浅知恵で良いなら……私もまだこの星の事知らない事が多いから逆に教えて欲しいくらいなんですよ?さっきもクールジャケットっていう物を夏は着るとか知らなかったし」
「駄目なら駄目でも良いじゃ無いですか、意見を言う出来る出来ないはこちらが判断すれば良い事です。分からないからと言って笑ったりする事は有りませんよ。私共も一緒に考えて行けば良いだけです」
「分かりました、出来る範囲でやってみます」
「はい、それで結構ですよ。それでは参りましょうかね」
「はい、お願いします!」
私達は植物園の馬車に乗り北東の薬屋に向かった
「まさか、本当に来るとはね」
「お約束しましたし、今日は植物研究所の所長レオナルドさんに来てもらいました。この前の話し考えて貰えましたか?」
「考えたけどね、今更新しく始めるって言うのは正直言って怖いんだよ。この歳で借金背負って返せるかさえ分からないことをするなんてね……子供に借金を残すのは忍びないんだよだから、悪いけどこの話は無かった事にしてもらえないかい?」
「では、どうでしょう国家が買い取り貴方がたを雇うという形でお手伝いしては頂けませんか?」
「は?え?それは一体どうしてそこまで?」
「国王がエリー殿の話にいたく乗り気でしてね確かにこの国に薬屋が1件だけに成ってしまうのは良くないと言う事に。どうでしょう?この店をお願いできませんか?国が保証致しますので借金など負わせる事は有りません。えっとエリーさんの仰ったドラックストアなる物をして貰えませんか?」
「そ、そんな美味い話有って良いのかい?そりゃそうして貰えたら助かるけど……。」
「こちらのエリーさんがこの店の相談役をしてくださるので」
「え?わ、私ですか?」
「そうですよ、言い出したのは貴女ですからね最後までお付き合い下さい」
「まぁ、そうなりますよね……」
「如何でしょう?まだ何か心配がお有りですか?」
「いえ、いえとんでもない!有難うございます!エリーさんこれから宜しくね」
「え?あ、はい…よろしくお願いします」
こわっ、このレオナルドさんってかなりの策謀家かも知れないよね。
王様も一癖有りそうだし、気を引き締めないと
こうして私達はいきなり『ドラックガーデン』2号店を持つ事になった。
勿論、2号店については元締めは国ですけどね!