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ジェシカからのお願い

お陰様で傘は飛ぶように売れました

そして、雨の日も買い物をする人が増えて市場は活気付いてきた。


森の中では魔法で雨を避ける事が出来る私達でも街に行く時には必須です。

そして傘の事を知った地区長さんから相談され困ったジェシカから「エリー助けて!」と相談を受けた


私がこの国に来て1番嬉しかったのはこの国に有る物は、日本の物と余り変わらないっていう事。

名前こそ少し違うけれど味や見た目はあまり変わらないから料理もし易くて、効能や使い方については博士(スペラ)が居るので分かる事が大きい。


スペラは本当に博識で野菜でも肉でも私に分かりやすくイメージを送ってくれる。

この野菜はこんな感じの味で、煮ると固くなるとか、この香辛料を使うと辛いとか、甘いとか、まるで空飛ぶ辞典の様です。


私は生きている木や草花(根の有る)とは何とか話せても実や花だけになった物とは話せないから博士の存在は私にとっては大きい。

町に行く時には2人と一頭一羽はいつも一緒

オーディンは西門横にある馬屋に居る事になるけれど、スペラとアーデンはどちらかが私に付いて来てくれる。



《宿屋森への道》


「こんにちは、ジェシカいますか?」


「あ!アーデンにエリー、待ってたのよこっち来て」


「どうしたの?急用でも出来たの?」


「あのね、もう直ぐこの街のお祭りが有るんだけど今年の西地区の出し物を相談する事になったの。そこで、是非エリーに知恵を貰えないだろうかって事になったのよ」


「祭り?」


「そうよ!3週間後にシャルルクの建国記念日を祝うお祭りが有るの。毎年四つの地区が競って出店や、出し物を出すのそして優勝地区には国王様から褒美として何か一つ物でも、希望でも叶えて貰えるの」


「そうなんだ!楽しそうね」


「うふふ、そうなの!四地区それぞれの、話題性、売り上げの2点で合計最高点貰えた地区の優勝なんだけどねこの西地区は毎年良い線まで行くんだけど優勝まで行かないのよね」


「なるほどね、ちなみに西地区は何をしようとしてるの?」


「例年は屋台ね。去年はハンバーガーの屋台まぁこの地区は市場メイン地区だし」


「え?それだけ?今年もそれ狙い?」


「それだけって?ハンバーガーを色々中身変えたりして出したのよ」


「他の地区は?」(何故ハンバーガーだけ?)


「そうね、去年で言うと東地区は演劇だったわ。南地区は剣術大会で北地区はコンサートやのど自慢大会みたいな事してたわね」


「それぞれの地区の特徴生かしてるのね」


「去年は北地区が盛り上がって優勝したんだけど王様に地区に居る住民や、働いてる人全員に一人当たり10万アルク支給されたのよ。2日間のトータルでお客様の評価ポイント制だから話題が重要なの。まずお客さんに沢山来て貰わないと話にならないわ」


「それは、王様も随分太っ腹ね でも、わたしが役に立つかどうか……」


「何言ってるのよ!この傘だけでも凄い話題も売り上げもいってるのよ。雨の日が楽しくなったとか言われた時は嬉しかったわ!

それに地区長さんからもよろしくと頼まれてるの。今日は予定があって来られないそうだけど」


「う〜ん、話題性の有る食べ物って事よね。」


「そう!お願いばかりで悪いけれど知恵を貸して」拝まれてしまったけど……


「そうよ!祭りといえば縁日!」


「縁日?何それ」


「色々な趣向の屋台を並べるのよ、食べ物や娯楽の」


「一種類じゃ無くて沢山の屋台かそんなに色々な屋台で売れる食べ物考え付かないわ」


「そんなに大きな屋台じゃ無くて良いのよ、小さめの屋台と催しが出来るスペースさえあれば大丈夫だと思う。ただ今回もゾゾさんにお願いして作って貰わないといけない物が有るわ」


「色々な催しも?……うん!面白そう、それ良いね」

私達は意見を出し合い出来た構想を地区長さんに持っていく事にして今日は解散


横で聞いていたアーデンが帰り道に

「絵里子、さっき話してた縁日という奴に行った事が有るのか?」


「うん有るよ、子供の頃祖父母に連れられて…」


「どうした?」


「ううん、何でもないよ」私は自分の気持ちを悟られない様にアーデンの腕を取り歩き出す

(懐かしい事思い出しちゃった…子供の頃良く祖父母と縁日に行ったな。)


それからは毎日の様に街に行き商店街の人達に お好み焼き、 たこ焼き風、焼きそば 、チョコバナナ風 、あんず飴 、の作り方を教えたり、お好み焼き たこ焼きに関しては鍛冶屋のゾゾさんのお世話になる所からで間に合うかドキドキ………

流石にカキ氷は、氷自体冬じゃ無いと手に入らない高級品でも有るので無理でした。


初めて見る食べ物に商店街の人達も興味津々で皆さん物凄い食い付きぶりであっと言う間にコツを覚えてしまった。商人魂は凄いなと思ったよ


何よりも驚いて喜んでくれたのは綿あめ。初めて成功した時には拍手喝采で、口に入れた途端消えてしまう甘さにどよめきが起こる程。

これは絶対に話題になると大喜びされた。

私の拙い説明で作ってしまうドワーフさん達の技術力には感謝以外無いです。


他の花屋さんとか食に携わらない人達には 投げ輪や射的ならぬ矢的や、宝釣り、お面屋さん、金魚ならぬ小魚掬いなどをしてもらう事にした。

こちらの方も皆さん乗り気で用意も楽しんでしてくれていた。


結構アイデア出してしまったけど出来るのかなぁと本当は心配だったのよね。でもアーデンが家でも私と一緒に覚えてくれて役割分担で手伝ってくれたのが大きかった。

出来るたびにご褒美みたいにキスを迫られるのは困りものだったけど、何故か私よりアーデンの方が赤くなりながら頼まれると断れない………


3週間しか無い中でその団結力と行動力そして集中力は凄いと思う。

しかも、通常業務もちゃんとこなしながらなのだから

私も、アーデンも皆んなが出来ない時には勿論手伝いもした。


アーデンは誰も見てない時には魔法も使ってたからこっちは違う意味でヒヤヒヤものでしたけれどね。

例えばこんな感じの屋台だと使いやすいだろうなとか絵を書くと色々な魔法を屈指しながらその形に作ってくれる

絵でも、見さえしてイメージ出来れば魔法でどうにか出来るらしい

この世界に写真とかあったら私達も違う人物になれるのかな?

きっと人はパーツでも個性があり過ぎて細かいし難しいのかもしれない

それに一度違う人になったらもう元の自分の顔に戻るのも難しくなりそうだしね。やっぱり今のままでいいや


残り2日、材料も確保したし何とか明日には準備も整うだろうと思っていると私たちの元に地区長さんが来てくれた。

「いやはや、相済みませんでしたな、ご挨拶も遅れ誠に申し訳ない」


そう言いながらその薄くなった頭を流れる汗を、タオルで拭いながら頭を下げてくれている。


「いえ、私達も楽しませていただきましたし。いつもこの地区では御世話になってるのでお役に立てたなら嬉しいです。」


「いやいや、そう言って頂けると有難い。早くお会いして礼をせねばと思っていたのですが地区会議が、いや、これは言い訳ですな」


「もう、粗方準備も何とか間に合って整いましたし後は祭りの日が晴れてくれると嬉しいですね」


「そうですなぁ、毎年祭りの日は今まで不思議と雨が降った事が有りませんので今年もそうだと良いですな」


「そう言えばわたし、この祭りの名前聞いてないんですけれど建国記念祭りで良いんですか?」


「!そうよね、私肝心な事言ってなかった」


「おやおや、聞いてませんでしたか!」


「この祭りが終わる頃丁度梅雨の時期も終わりましてね、春から夏に変わるという事で『春夏祭』(シュンカサイ)というのですよ。この国は春の時期が長いのですが、これから暑くなりますなぁ」


そう言って忙しい地区長さんは何回もペコペコと頭を下げて帰って行った。


この国では、春が長く冬が短い、秋と夏は同じくらいなのですって。

だから氷とか、冬限定の植物とかはカンサロナ近くの町からの運搬に頼っているそうで、それでも取れる量は少ない。だから氷は貴重品で高い


帰り道オーディンの背の上で

「そっかぁ、夏に氷の入った飲み物美味しいのに飲めそうも無いね」と呟くと


「何故だ?」


「だって中々庶民の口に入らない貴重品なんだって言ってたよ地区長さんは」


「氷が欲しいのか?」


「夏の暑い時期に冷たい飲み物は最高の極楽だよ?」


「ほう、欲しいなら幾らでも絵里子の望むだけやるぞ」


「え?アーデンって氷も出せるの」


「氷とはこれの事だろ?」

そう言って彼は私の手の平を上に向けその上に5cm程の氷の塊を出した。


「うわー、冷たい!氷だわ、アーデンって本当に凄いね」


「絵里子がそんなに喜ぶなら幾らでも出してやる」


そう言ってアーデンは私の頭に何度もキスを繰り返す

私はアーデンが出してくれたまるでクリスタルの様に透明なその冷たい氷が溶けるのをいつまでも飽きずに魅入っていた。








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