プシュカと言う名の魔薬
「そうじゃのぉ、何から話せば良いか……………………グゥー」
「おいコラジジィ!」
「しもた!つい気が緩んだぞ。」
(何のコント見せられてるんだろう?)
「アーデンはどこまで知っとる?」
「プシュカが何の草かそれと簡単な薬剤の仕方、か」
「さよか、そうじゃの絵里子ちゃんの為にもそのプシュカの事から話そうかの?」
「すみませんがお願いします。」
「うむうむ、ハァ〜かわえぇのぉ」
「ジジィいいから先に進め」
「アーデンよ、さっきからジジ様ではなくジジィになっとるが気のせいか?それにさっきより偉そうでは無いか?」
「気のせいだ」
「さよか、プシュカとは人の精神を破壊してしまうと言う恐ろしい草じゃ。一度プシュカを口にするとプシュカ無しでは苦しくて居られなくなる。人を狂わす草なのじゃよ」
「それって麻薬と同じ?」
「魔薬とな?ほうほうそう言う言い方のほうがかっこえぇのぉこれからそう言うかの」
「なんとなくずれてる気がするけど」
「まぁ、プシュカだけなら苦いただの草、煎じて飲めばアソコは元気!って男性は喜ぶ薬なんじゃがな」
(下ネタか………さすが年寄り、俺はこうは成りたく無い)
「問題はこの森の泉の水と混ぜた時に魔薬に成ると言う事じゃ」
「叔父さんがその事を知ったとしたら魔法を使う軍隊とその魔薬で敵をって事に成るのでしょうか?」
「あやつならそう考えるかもしれんの、もしもじゃ、魔薬を食べ物や水に混ぜたらどうなる?」
「あ!」
「わかったようじゃの」
「美味しくなる!」
「ちっが〜〜〜〜う!」
「わかってますけど想像するの怖いじゃ無いですか」
「絵里子ちゃんまでボケるとは、どこまで能天気かと思ったぞ」
「もう、叔父の言う事を聞かない訳にいかなくなるか………。」
「そう言う事じゃな、下手をすると闘わずして国を取ることも出来るだろうよ」
「だからジジ様はお1人でこの森を守ってたんですね?」
「まぁそれだけでは無いがの、プシュカが無くてもこの森の水には魔力が混じっているからの」
「魔力が混じっているとどうなるんですか?」
「うむ、例えばじゃ、エドナ草を普通に作るとするとどうなる?」
「傷が治りますよね?」
「そうじゃな、だが……コイコイ」
ピピピーピプ ジジ様はスペラを呼び持ち上げると自身の腕に止まらせた
「ホホホ良い子じゃ良い子じゃ、これアーデンそのエドナ草の薬を寄越してみなさい」
「これか?」
「そうじゃ、えぇかよく見ときなさい」
そう言ってジジ様はエドナ草の薬瓶に魔法で水滴にした泉の水を混ぜスペラの無くなった右側に振りかけた
ズズズズズ「「!!」」
「スペラ!」
スペラの千切れて無くなった翼が生えた!ただ色が違う白い翼が
ピー!ピピピー!
「どうじゃ、わかったであろう?」そう言ってジジ様はスペラを空に飛ばした
気持ち良さそうに空を飛び回るスペラが有難うと言っている様に旋回を続ける
「これは………」
「この事を人が知ったらどうなる?」
「下手をしたら争いの素に成りかねませんね」
「そうじゃ、だからのこの森は選ばれた人しか入れぬ様に成っておる。そして代々魔族が守る最期の地と成っておるんじゃよ」
「もしアーデンが居なくなったら誰がこの森を?」
「そこまで考える事はない、その先は残った者たちの知識と常識、理性を信じるしか有るまい。只、今はワシらがおるその間だけでも守らねばの」
「叔父さんもこの事を知っているんでしょうか?」
「いや、まだ知らんじゃろうて。アーデンすら知らんかった事じゃでの。ワシの命が尽きる頃アーデンに代わってもらうつもりでおったが、アーデンの方から来てくれたで助かったわい」
「プシュカの方は良いんですか?」
「いや、もうワシとアーデンしかおらぬしな、わしが行って可哀想だが根絶やしにする方が良かろうな」
「ジジ様が?かなり遠いし険しい山なのでしょう?」
「ん〜〜〜ん、絵里子ちゃんは優しいのぉ」
「おいコラジジィ絵里子の尻を撫でるな!」ペシッ*
「フン、あ〜いやじゃのぉ心が狭いのぉ」
「何とでも言ってくれ。駄目なものは駄目だ!」
「チッ、心配せんでも良いぞ絵里子ちゃん、ワシこれでも魔法使いじゃからな」
「あ!そうでしたつい忘れてしまって」
「忘れて老人扱いじゃな………まぁえぇがの。と言う事で此処はお主らに任せるぞ、余り大きな家は建ててくれるなよ。それじゃぁの!」
「お気をつけて」「ジジ様………」
ジジ様は手を振った後霞の様に消えてしまった。
嵐が去った後みたいにドッと疲れたのは何故なんだろう?
横を向くと何だかんだ喧嘩しながらも仲が良いジジ様とアーデンなんだなと思わされる程寂しそうな顔の彼がいた。
私はそっとアーデンの手を握り
「アーデン寂しい?でもね、これからは私も側に居るからね。ずっと一緒だよ」
「あぁ、寂しいな。だがそれ以上に幸せだ」
そう言うとアーデンはそっと私を抱き寄せ右の手のひらで私の頬を撫でながらその親指でそっと私の唇をなぞると、触れるか触れないかの優しいキスをくれた。
「絵里子、君と出逢えて本当に幸せだ。この星で仮面を付けずお互いを見つめ合えるそんな事が俺に訪れたと誰が信じてくれるだろうか?絵里子はおれの全てになったんだ」
「アーデンはわたしの全てよ」
「そうだな」
「そうよ」
これからきっといろんな事が有るだろうけどどんな時も私はアーデンを信じ守りたい
「そうそう、言い忘れておった」
「ジジィまだ居たのか!」
「やっぱりジジィ言っとるじゃないかアーデン」
「さっさと要件を言え!」
「つれないのぉ、ジジは寂しい」
「良いから……早く言え」
「せっかく良い事教えようと思ったのにのぉ、もう教えてやらん!」
「ジジ様、どうしたんですか?」
「絵里子ちゃんは優しいのぉ」
「はぁ………」
「まぁいいわい、此処の樹々達は絶対に切り倒すなるなよ!話せばわかる樹達じゃからな。邪魔ならどいてくれと言えばいいし、薪が欲しければ分けてくれと言えばいいじゃからな絶対に切り倒すな!それがこの森を守る手段でも有るからの!分からない事がある時は樹に尋ねろいいな!それじゃあ今度こそさらばじゃ!」ブゥオン*
「今度こそ本当に旅立ったか?」
キョロキョロしているアーデンが何故だか可愛く見える。
「何気にだけどアーデンとジジ様って仲が良いわよね」
「俺の幼い頃から変わらずああして哀しみも笑いにしてくれた。俺には父も母も物心ついた頃には居なかった。血こそ繋がっていないがジジ様は間違いなく俺の家族だ」
「そっか、私も物心ついた頃には父も母も居なかった。お祖母ちゃんだけが唯一の家族だった」
「俺達はお互いによく似てるな」
「うん、でもだからこそ私はアーデンとずっと一緒に居たい本物の家族になれた事凄く嬉しいの」
「俺も名前を呼んでくれた事嬉しくて仕方ない」
「あ、そうだ!名前って私だけしか知っちゃいけないんだよね?」
「いや、妻になる人が呼んだ後はもう効力はない。だから人前で呼ぼうが誰かが呼ぼうが平気だ」
「そうなんだ!不思議ね」
「そうだな」
「アーデンはリオンって呼ばれたい?」
「絵里子の呼びたい方で呼んでくれ」
「私はアーデンって呼びたい。リオンは………特別な時だけにする」
「そうか」(ニコッ)
「うん」(ニコッ)
スペラが空から降りて来てアーデンの肩に止まり頭を擦り付けている
あれ?これって雨宿りの小鳥さんと同じね 親愛の表現なのかな?
スペラ、また空を飛べて良かったね!
しばらくボ〜ッと2人して泉を眺めているとエドナ草をお腹いっぱい食べて満足したのかオーディンがやってくる
[ネェネェ、ここにお家作るの?僕の小屋も有る?]
「「!」」
「オーディン?貴方今額を当てて無いのに私達に話しかけてるの?」
[あのね、エドナ草を一杯食べたし、泉の水も飲んだでしょそしたら何だか頭の中がポカポカして来てね、エリに話しかけたら聞こえたみたいだよね]
「泉の水とエドナ草………アーデン、これって」
「おい、スペラ済まないがエドナ草を食べてくれないか?」
ピピピッ パクパク
「良し、次はこの泉の水を飲んで見てくれ」
ピピピッ コクン
[これで良いいか?俺っちは元々こいつは苦いし余り好きじゃねぇがお前達と話すためには仕方ねぇよな]
「「!」」
「アーデン………」
「あぁ、この事は秘密だな」
「えぇ、内緒だね」
これはとっても賑やかに成りそうな予感がします。