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現代的男女同権ハーレム 列伝2  作者: 今谷とーしろー
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北女会

 十月某日。北女の出身者を条件にした女子会が開かれた。

 企画者は一時帰国中だった御堂真梨世とその嫂美紗緒である。真梨世の目的は声楽部で世話に成った一年時の部長であった庄原楓芽との会食であった。それが大規模になったのは主に美紗緒の目論見で、お祭り好きな性格は夫の春真とも共通する所である。

 場所は某ホテル最上階のレストランの個室。同じホテルの大会議場では南高校友会の定期会合が開かれていた。同校の卒業生である春真はそちらに参加している。 

 参加者は年齢順に自己紹介をしていく。

「久世希理華です。今は御堂大学の薬学部で学んでいて、この三月に卒業見込みです」

 高校時代は生徒会長を務め、また剣道部で高校三連覇を成し遂げた、伝説の美少女剣士である。その美貌は美人揃いのメンバーの中でも跳び抜けている。また、夫となった瀬尾矩総は若き官房長官であり、未来のファーストレディと見られている。

「バレー部で主将を務めました菊池羽衣音です」

 高校時代は南高の壁に阻まれて結果を残せなかったが、大学ではその南高の主将だった鶴田愛とチームメイトになった。セッターに転向した愛とコンビを組んでエースとして活躍した。今いる面子の中では一番の長身である。

「四月に卒業しますが、実は御堂ウェルネスから内定を貰っています」

 御堂ウェルネスはスポーツ用品を扱う御堂家の系列会社である。ここには御堂家の関係者が複数いた。

「私は声楽部で部長を務めた庄原楓芽です。M音大をこの四月に卒業して」

 と少し溜めて、

「御堂交響楽団に新設される声楽隊から声を掛けて頂いています」

 と言ったら、

「御堂家の関係者ばかりね」

 と希理華が笑った。

「楽しそうですね」

 とここで遅れて来た野田刹那が登場した。身長は羽衣音よりも少し高い。

「丁度あなたの順番よ」

 と希理華。

「自己紹介ですか。野田刹那、北女には中等部だけ通って、高校は南高に入りました」

 刹那は南高の校友会に顔を出してからこちらに移動してきたのである。

「御堂大学体育学部の四年で、来年度からは体育教師として働きます」

 これは世界大会で金メダルを取った際のインタビューでも話したことだが、

「競技は続けるのでしょう?」

 と羽衣音に訊かれ、

「そう言う貴女の方はどうするの?」

 と聞き返す刹那。

「バレーは趣味として続ける予定なのだけれど」

「さーやに紹介しようか?」

 と希理華。

「さーやって、日野沙也加さんですか?」

 今は結婚して西条姓を名乗っているが、コート上の小さな女王様と呼ばれた伝説のセッターである。

「今はアマチュアの、いわゆるママさんバレーのチームで選手兼監督をしているわ」

 続いて、

「室町美紗緒です。高校時代は吹奏楽部でフルートを吹いていました。縁あって在学中に入籍したので、卒業証書は御堂姓で貰いましたが」

 と言うと先輩二人が頭を下げて、

「お世話に成ります」

「辞めて下さいよ」

 と困る美紗緒。

「なんだか、御堂大学の割合が大きいわねえ」

 と刹那。

「御堂大学の学友会が開けそうねえ」

 と言う希理華の言葉は後に実現する。

「御堂真梨世です。北女は高校からで、声楽部では庄原先輩に大変お世話に成りました。生徒会長も務めて、卒業式を欠席した義姉の卒業証書を代わりに受け取って届けました」

 とオチを付けると、

「お世話に成りました」

 と応じる美紗緒。

「確か、お祖父さまのご不幸があったのよね」

 と楓芽。同じ音楽系の部活動なので在学中から面識があったのだ。

「美紗緒さんは、御堂の御曹司とはいつから付き合っていたの?」

 と羽衣音。

「知り合ったのは私の十八歳の誕生会です」

「名家にありがちなお見合いかしら。それにしても随分とスピード婚ね」

「まあ色々と有りまして」

 と照れる美紗緒。

「その経緯については私も少しだけ関与してるのだけれど」

 と希理華。

「夫の初出馬の時の対抗馬だったのが美紗緒さんのお父さんで、五校の生徒会は挙って協力してくれたのだけれど、春真君は向こう側について働いたらしいわ」

 希理華は、まだ結婚はしていなかったが交際相手として、また同時期に生徒会長を務めたモノとして支援した。真梨世も現役の生徒会長だった。そんな中で春真は敢えて敵陣営に与したのである。

「そのお陰で、離党して徒手空拳で戦った父が恥を掻かない程度に善戦出来たわ」

 つまり供託金没収にならない程度の得票率と言う事だが、

「うちの兄はええカッコしいですからねえ」

 と実の妹は素っ気ない。

「そこは義侠心に厚い。くらいに留めてあげましょうね」

 と苦笑交じりでフォローに回る希理華。

「それは少し違うんですよね」

 と返す真梨世。

「春真兄さんにはきちんと勝算があって、それを敢えて隠して敗者に甘んじた」

 それを評してええカッコしいと言ったのであるが、

「それは聞いても良い話なのかしら」

 と気を回す希理華に、

「ここには御堂家に縁のある人しかいませんし」

 と周りを見回す真梨世。今更だが席次を紹介しておくと、上座の中央に最年長の希理華、右隣が楓芽で左隣が羽衣音。希理華の対面が真梨世で、楓雅の向かいが美紗緒、羽衣音の前に刹那である。

「ここだけの話ですよ」

 と声のトーンを落として語りだす真梨世。彼女の声は普通に話してもよく通る。

「まず政治家にとっての勝利とは何かと言う事です」

「選挙で議席を取る事。では無いわよね」

 と美紗緒。

「それはあくまでも手段の一つですよね」

 例えば引退した政治家は、議席は無くても社会的な影響力を残す。瀬尾総一郎もそれを嫌って露出を押さえているのだが、

「自分が議席を持たずとも自分の政策が実現すれば勝利。とここまで言えば希理華お義姉様にはお判りでしょう」

「美紗緒さんのお父様は選挙後に瀬尾矩総の秘書になった」

 それにより矩総を通じて政策を実現できることになった。

「民自党時代には父の推し進める政策は中々受け入れてもらえませんでしたからね」

 それが離党してまで勝負に出た理由であるが、

「全然知らなかったわ」

 と漏らしたのは羽衣音。

「美紗緒さんのお父さんって政治家だったのね」

「そこから?」

 と全員から失笑された。

「私は参議院から鞍替え出馬したことは知っていましたけれど、辞めた後の事は初耳でした」

 と楓芽。

「二人とも選挙の時には地元に居なかったからね」

 と刹那。

「当時の一般的な認知度はその程度だったのでしょうね」

 と希理華も頷く。

「一期目の兄さまは、総理大臣瀬尾総一郎の息子と言う扱いでしたから。その秘書にまで注目する人間はいませんでしたね」

 当人も敢えてその立ち位置を利用していた。当選一期目だから役職には就かず、フリーの立場で動き回る事が出来た。彼が憲法審議会において主導権を取っていたと言うのは、国会提出の後に知られるようになった。

「父が旧姓に戻したことも影響しているのでしょうね」

 美紗緒の両親は夫が改姓した事もあって、戸籍の筆頭者は妻の方だった。一度籍を抜いて旧姓に戻した戸籍を作り、復縁に際して夫の戸籍に入り直している。美紗緒の婚姻を御堂と室町の縁組にしたかった関係で、両親の復縁は美紗緒の入籍の後になっている。

「お嬢様も大変ね」

 と羽衣音に言われて、

「私は真梨世ちゃんほどお嬢様育ちでは無いですけれどね」

「私もあまりお嬢様エピソードは無いですよ」

 と真梨世が言うと、

「無自覚って怖いわねえ」

 と刹那が苦笑する。

「そうねえ」

 と希理華。

「例えば…」

 希理華が持ち出したのは猫の話。猫が飼いたいと言い出した真梨世に提示された代案は、地域猫の保護活動への寄付。斯くして周辺の野良猫はすべて彼女の庇護下に収まったと言う。

「やることが派手なのよね」

「それは私の所為ではありませんし」

 と拗ねる真梨世。

「私がおねだりしたのは一件だけ」

「それが例のフクロウカフェよね」

 と美紗緒。

「やっぱりスケールが違う」

 と一斉にツッコまれた。

「義姉さんだって、今年の誕生日には凄いモノを貰ったでしょう」

「あれはダーさんの考えた事で、それこそ私の所為では無いわ」

「何を貰ったの?」

 と興味を示す羽衣音。

「何と言うか、オーケストラの演奏会を」

「あれって、美紗緒さんへのプレゼントだったのね」

 と楓芽。

「私もあの演奏会は家族で聞かせて戴いたけど、特にアンコールは素晴らしかったわ」

 と真梨世に視線を向ける。

 御堂春真が妻美紗緒の為に楽団を一から組織して、自ら指揮棒を振って演奏会を行った。アンコールでは春真がバイオリン演奏して謎のソプラノ歌手の独唱で締めたのだが、

「間遠美芹ちゃんね」

 と希理華。

「私の姉の劇団で舞台に立った事もあって、名前も姉の命名なのだけれど」

「お姉さんがいらっしゃるのですね」

 と興味を示す羽衣音。

「年が離れているし、諸事情があって姉は母の旧姓を名乗っているけれど」

「希理華ねえのお姉さんは、一般にはあまり知られていないけれど、その筋では伝説の舞台女優を言われていたのよ」

 と刹那。

「今年演劇賞を貰ってそれも過去の話になったけれど」

 希理華の姉水瀬麻里奈はこれまで露出を嫌って演劇賞の打診を固辞してきたが、今年初めて受賞を受け入れた。役者としてではなく演出部門で、顔出しをしないと言う条件付きでだ。

 演出家としての水瀬麻里奈は有名な脚本家のモノであって大胆にアレンジを加え、更に舞台上で女優としてアドリブを交える。客の反応に合わせて臨機応変に対応するので、十五日間の公演で全く同じ舞台はないと言われるほどだ。それでも脚本家から文句を言われたことは一度も無い。舞台版を完成稿として他の劇場に掛けられたことも少なくない。その場合には麻里奈の劇団シレーヌの名前が共作者として元の脚本家と一緒にクレジットされる。その改稿版により売れた脚本家も何人かいる。

 役者の方も麻里奈以外は基本的にアマチュアであるが、たまにプロが無償で舞台に立つこともある。劇団で腕を磨いて世に出た役者も何人も居る。それが伝説と呼ばれる所以だ。

「マトウミセリって、アナグラムですよね。並び変えると御堂真梨世になる」

 と羽衣音が指摘する。

「まあ、判る人には判るような仕掛けだから」

 と希理華が笑う。

「実際の映像を見ますか?」

 と言ってスマホからデータを取り出す美紗緒。

「え、撮ってあったんですか」

 と驚く真梨世。撮影・録音機材は持ち込み禁止で、公式の映像は撮ってあるが、アンコールは除外されていた筈だ。

「驚くことは無いでしょう。あの演奏会は私の為なのだから」

 と悪びれない美紗緒。

 映像のメインは夫の春真だが、たまに歌姫の方も映る。顔の上半分が白い仮面で隠れているが、口元は兄や母によく似たアヒル口。その筋では御堂口とも言う。

「舞台上だと遠いから確証が持てなかったけれど、こうしてアップで見ればハッキリと判るわね」

 と楓芽。

「音が随分と綺麗に入っているのね」

 と希理華が指摘する。

「映像はスマホのカメラで撮っていますけれど、音については高性能集音器で録音したモノを併せています」

 と美紗緒。

「映像解析の分野では神林の方が優れていますけれど、音声処理に関しては御堂の方が上ですものね」

 と真梨世。

「それにしても、どうして顔を隠しているの?」

 と楓芽が訊ねる。

「麻里奈さんの劇団に客演していたのは在学中だったから、学校や親に知られるのを避ける為です」

 と真梨世。

「主にお母さまよね」

 と希理華。

「やっぱり反対されたの?」

「反対されると思い込んでいたんです」

 実際にはそれは杞憂だった訳だが。

「仮面に関しては姉の悪乗りも有ったのよ」

 麻里奈の秘蔵っ子として、隠し子疑惑まで持ち上がったのだから。

「姉はずっと舞台に立っていて妊娠出産をしている暇なんか無かったのにねえ」

「お姉さんは結婚されなかったのですか?」

「姉にとっては私が娘みたいなものだったから」

 麻里奈が結婚しなかった本当の理由はここでは語られない。

「刹那先輩って、三月生まれですよね。いつから大きかったんですか?」

 と美紗緒が話題を振る。

「中学で会った時にはもう私よりも大きかったわね」

 と羽衣音。彼女と刹那は体育の授業では必ず組まされた。

「小四の時には私と一緒にバレーの助っ人に呼ばれて、その時にはもう私よりも大きかったわね」

 と希理華。

「生まれた時から健康優良児で、学校に上がった頃には真ん中位。小三の時にはもう最後尾でしたね」

 いつから伸びたとかではなく順調に成長し続けた結果らしい。

「それにしても、希理華先輩もバレーもやった事があるのですね」

 と羽衣音。

「刹那とセットでね」

 野田刹那は身体能力こそ高かったが対面での駆け引きが不得手だった。それに対して希理華はその分野では突出していたので、セットでスカウトされたのだ。

「西条総美さんと日野沙也加さんのコンビですね」

「お二人がバレーを始めるきっかけになったのが東京五輪の試合で、その時の代表メンバーの一人が私の父だからね」

 刹那はその高さを見込まれてミドルブロッカーに、希理華は読みと反射神経を買われてリベロとして使われた。

「小学校の頃は男女混合で活動していたから、真梨世ちゃんの兄である春真君や神林の希総君も一緒だったけれど」

 と希理華が言うと、

「神林の御曹司の方は、弟がお世話に成ったので覚えていますけれど、御堂の御曹司もバレー経験者だったのですね」

「弟の静馬君は一個下だから、中学では一緒にプレイしていたのでは?」

 羽衣音の弟静馬が一年の時、春真は三年でチームのエースだった。

「弟も中学から始めたから、一年の時にはまだ初心者で三年の先輩との接触はほとんど無かったのでしょうね」

「春先輩は人に教えるタイプでは無いからねえ」

 と刹那も納得する。

「中学から始めて、三年で主将を任されたのだから大したものよ」

 とフォローする希理華。

「そう言えば、貴女の今の相棒であるマナちゃんも居たわね」

「当時の彼女はどうでしたか?」

「背は高かったけれど、名前通り細身だったわね」

 と希理華。

「名は体を表すと言うか、マナヅルさんと言う愛称だったわね。私は個人的にマナティと呼んでいたけれど」

 と刹那。

「別の動物に成っているけど」

 と笑う羽衣音。

「彼女が先に私をツナティと呼んできたから、海の動物繋がりで」

「親しかったの?」

 と希理華に訊かれ、

「体育の授業で組まさるれことが多くて」

 大柄の刹那と釣り合う女子は中々いない。中学時代にはその役目が羽衣音に回って来た訳だ。

「羽衣音さんはいつからバレーを?」

「中学に上がってからです。この身長だから、あちこちの運動部から声を掛けられましたが」

「決め手は何だったの?」

「緩かったからです。北女は、特に中等部は総じてそうでしたけれど、先輩後輩の締め付けが無くて」

「ごく一部の強い部を除いて、ね」

 高等部の話だが、元々強豪だった薙刀部や希理華が鍛え上げた剣道部はそれなりに厳しかった。

「お陰で一年から試合に出られましたけれど、そこで総美さんと沙也加さんが率いるK南中学に完敗を喫しました」

 羽衣音は一念発起して新チームの主導権を握って部の強化を図った。

「南高へ進んで二人の下でやってみたいとは思わなかったの?」

 と希理華が訊く。

「私も南高を受ける時に一緒に行かないかと誘ったのだけれど」

 と刹那。

「そこは反骨精神と言うか、二人に勝ちたいと思った。と言うのは建前で、私の成績ではあの当時の南高に受かる自信が無かったのよ」

 と笑う羽衣音。

「少ないながらも私のやり方に賛同してくれた仲間も居たし、中高一貫校の強みで高等部に行っても中等部の下級生を育てる事が可能だったから」

「そうね。ふうやさーやが中学時代に鍛えた子が、みんな南高に行った訳では無いしねえ」

 実際の所、二人が卒業した翌年は成績が低迷して、責任を感じたすぐ下の学年はほとんどがバレーから離れてしまった。その次の鶴田愛の学年が挽回したが。

「羽衣音さんが南高に来ていれば、マナティはセッターに転向出来て、新たなツートップ時代を作れたのにねえ」

「回り道をした気はするけれど、後悔はしていないわ」

「そうね。過ぎ去った過去に拘っても建設的ではないしね」

 この辺で視点をアスリート組からアーティスト組に変えてみよう。

「楓芽先輩はお付き合いしてる方はいないのですか?」

 と恋バナを振られて、

「私、許嫁が居たのだけれど」

「過去形ですか?」

 と美紗緒が喰い付く。

「父のお弟子さんで、将来を嘱望されたヴァイオリン奏者だったのですけど、家庭の都合で音楽を辞めてそれっきり」

「良くある話ですね」

 と話を終えようとする美紗緒。

「その方なんてお名前ですか?」

 と真梨世が何気なく訊く。

「安藤星矢さん」

「どこかで聞いた名前だけれど」

 と美紗緒が首を傾げ、

「その方、今おいくつですか。写真とかありませんか?」

「年齢は私より五つ上で、写真はこれだけ」

 と言ってスマホのツーショット写真を見せてくる。

 美紗緒はその写真を送ってしばらくすると回答が来た。

「その安藤さん。音大に戻って来ていますよ」

「え、どう言う事ですか?」

「詳細は後で夫から聞いてください。私から言えるのは一つだけ。三雲修斗さんはご存じですね」

「星矢さんと音大の同期の方ですけれど」

「その方はうちの楽団のコンマスなのです」

 安藤氏は音大在学中に父親が病床に伏したため帰郷して家業を継いだ。と言う所までは楓芽も承知していたが、状況が好転し(父親の病状が回復、家業も安定、成人した弟の協力)五年のブランクを経て戻って来ていた。彼の恩師である楓芽の父親も彼が復活できるかどうかに確信が持てず、娘には教えていなかった。

 楽団創設に際して安藤氏を紹介された春真は彼に奨学金を提供してその支援者となったが、彼の交友関係までは関知していなかった。

「まさか彼の許嫁が妹の先輩だったとは。世間は狭いねえ」

 と事情を知った春真も苦笑していた。


 菊池羽衣音と安藤星矢は無事に再会を果たした。二人がその後どうなったかはまた別の話。


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