その6
シリアスな展開でしたが…
「おはよう、お兄ちゃん」
起きるとリンが隣にいた。
4日眠っていたようだ今は4日後の世界
そういえば、俺は人を殺したのか?
「大丈夫?」
「あ?ああ、大丈夫だ。」
「よかった、すぐに西条さんから電話があって、駆け付けたら警察の人とかいっぱいいて、お兄ちゃんが救急車に運ばれたから一緒に来たんだ。」
「そうか、その間ずっとここに?」
「うん、あとさっきトイレに行っちゃったけど西条さんもいたよ」
「泊ってたのか、すまんな、西条も泊り?」
「いや、西条さんは玉に帰ってたり学校に行ったりしてたよ。」
「そうか、少し安心した。迷惑はかけられないからな。」
するとコンコンとノックが室内に響き渡る。
「どうぞ」とリンが返事をすると警察の人が入ってきた。
「世羅さん、おはようございます。具合は悪くないですか?」
定型文なのだろうかは知らないが、いずれにしろやさしさは感じた。
「あ、はい、大丈夫です」
「それは良かったです。」
それでは、と前置きを置いた警察は訪ねてくる
「世羅さん、あのことは覚えていますか?」
「あ、はい…殺したんですよね…」
「はい?何の話です?」
「へ?」
「やっぱり覚えてないんですか?」
「え?僕がコンビニの店長を刺殺したんじゃないんですか?」
「なんか変な夢でも見たんですかね?あなたは車にはねられたんですよ?」
「は?そんなわけ、だって俺が、首を」
言いかけたとたんのどの奥から不快感がこみあげてくる。
慌ててすべてを飲み込むが、状況が理解できない
「覚えてないのならいいんです。じゃあこれで失礼します」
もう何が何だかわからない。
「もう…なんなんだよ…」
「大丈夫だよお兄ちゃん。リンは全部知ってるから」
「なんて?」
「リンは全部知ってるよ」
「説明してくれ。頭がおかしくなりそうだ」
「ちょっと複雑だけど信じてもらえるとすごくうれしい」
「わかった」
「まずリンの本当の名前は…」
「三次リンだろ?」
何を言い出すんだ?
「違うの、本当の名前はクロノス=リン=クリスタル、今まで黙っててごめんね」
信じろと言われた以上信じざるを得ないが何があったんだ?中二病か?
「信じてもらえないのはわかる。だけど信じてもらえると思う。」
「根拠は?」
「この世界、もともとの世界とは違うのはわかるよね」
「ああ、この世界の俺はなんで怪我をしてるんだ?」
「西条さんを助けるためにかっこよく身を投げ出したことになってる」
「は、はぁ」
まあ助けたのはどっちも一緒か。
「で、前の世界ではお兄ちゃん西条さんを助けるために人を殺したの」
「すまんリン、そこのバケツ取ってくれ」
「はいどうぞ」
「おがっぇげぇっぇっぇ」
現実を直視させられるたびに不快感がこみあげる。何も食ってないのに
「大丈夫?続けるよ?」
「ああ、頼む」
「それで防犯カメラの画像とかでお兄ちゃんは正当防衛ってことになった。」
「そうなのか」
「でも学校で噂になってね。お兄ちゃんすごくいじめられたの」
「そうなのか…」
「でも西条さんと大塚って人は味方してくれたよ」
「そうか、救いだな」
「でもお兄ちゃんはいじめと自分が殺めたことで鬱になっちゃって自傷行為をし始めたんだよね」
俺がそんなことしてたのかよ?
「それとクロノス=リン=クリスタルに何の関係が?」
「もうお兄ちゃん自殺しそうだったし、私もすごく悲しかったから…」
「時を操って結果を変えたの」
「…なるほどな、だからクロノスか」
「信じるの?」
「ああ、信じるしかないだろ。俺のけがはどう見ても交通事故のものだ。自傷行為の後もない。つまりさっきのポリスの言うとおりだな。」
「信じてくれてありがとう。これで本題に入れるね。」
まだなんかあんのかよ
「私が能力を使えるのは3回。そのうちの一回を使い果たしたからあと2回だね」
「それだけなの!?」
「うん、実は私は六つ子でね…」
「まじか」
「6人で能力を分け合ったから不完全なんだ。」
「そうなのか、で、全員クロノスなのか?」
「いや、まず…」
言いかけたとたん再びノックが響き渡る。
「どうぞ」
入ってきたのは西条だった
「世羅君…」
「西条…」
書き始めたときは特殊能力は入れるつもりなかったんですけどね…