その5
今回もよろしくお願いします
やっべぇ寝れる気がしねえ…
そう悟ったのが午前7時45分のことだ。
そうして俺は…寝るのをあきらめた。
「おーいリン」
と呼んだところでリンがソファで寝ていることに気づく。
そっとしておこう、というのは兄としての当然の判断であろう。
しかし寝るのをあきらめるといったからと言って眠くないわけではない。
近くのコンビニでメガシャキか眠眠打破でも買おう…
着替えて家を出る。
5~8分歩けばヘブンがある。
ちなみにへブンイレブンの由来は7時から11時営業ですという意味だということを覚えておいていただきたい。
24時間ありがたや
と眠い目をこすりながら店内に入る。
「いらっしゃいませー」
ん?聞き覚えのある声だぞ?
まあ眠いのでスルーしよう。
メガシャキと眠眠打破とコーラを店員に差し出す。
刹那。店員と目が合う。
そこで気づく。
なんでここに西条が!?
「なんでここに世羅がいるのよ!?」
まあそういう反応になりますよねぇ
「徹夜で妹とゲームしたから眠くてこれらを買おうと思ってな…」
こういう返答が欲しいのではないということはわかるがあえてな、
「そうじゃなくてなんでこのコンビニに来るのよ!?」
「いや、ここが一番家から近いんだよ…」
「っ~~!」
「そんなに知られたくなかったのかよ…金がねえのか?」
急に黙る西条…さっぱりわからん
「まあおれ帰るわ…」
「ちょっと待てい!」
は?
「んだよ」
「私も家この辺だから、いっしょにかえろ?」
「お前バイトはもう終わりなのか?」
「うん」
「そうか…外で待ってる。」
「わかった…」
と、言ったものの…お外暑いよう!
やっぱり店内に入ろう…
ん?バイト募集?誰でも歓迎?適当だなあ、西条はこれ見てきたのか…
というか西条のワンオペなの?ひどくね?
と…奥から声が聞こえてくる
「はい…すみません…」
「まったく困るんだよね。こういうのさ」
「はい…」
んん?
西条の声とおっさんの声が聞こえてくる。もうちょっと聞いてみよう。
「君がやらなきゃ誰がやるんだよ?ほんと傲慢だね」
「でも、それは…」
「なに?言い訳?君ほんとに高校生?そんなこともわからない?」
「でも、レジ打ちは初めてで…」
「ふつうこんなにミスするかなぁ?」
「でも、教えてもらわなかったので…」
「ああ?んなもん自分で考えろ!」
西条は黙ってしまう。まあ状況は理解できた。
あとは俺がかっこよく救うだけだな。
「差額はきっちり払ってもらうからな!」
「……」
「ったくどうしてくれんだよ、責任はお前が取れよ!」
今だな。
「本当にどうしてくれるんですかねえ」
「せらくん?」
「お前誰だよ!?」
「聞こえませんでした?彼女が言った言葉?」
「いいから出て行けよ!」
「いや、僕は彼女と帰るんですけど、ちょっと話してるみたいなので待ってましたが、あまりにも長いので来ちゃいました。だから理不尽なこと言ってないで早く終わらせてくれません?」
「理不尽だと?私は当たり前のことを言っただけだ!」
あーこのおっさん生理的に無理…早く終わらせよう。眠いし
「そうですかそうですかそれは素晴らしいですね。どうすれば許してもらえるんですかね?」
「金を払え」
「いくらです?」
「10万だ。払えない場合は…身体で払ってもらおう。」
西条の表情がこわばるのと同時におっさんが西条を見る。
「学生に払える額じゃないもんな、じゃあ君、脱ぎま…」
「ちょっと待ってくださいね。ちょっとレジを見せてもらえませんかね」
「ほう、別に構わんが?」
「じゃあ遠慮なく。」
お?
「このコーラ700本って何です?業者でも来たんです?」
「ああそうだ。悪いか?」
「いえ、でもこの店から700本なくなってますかね?それにあなたさっきレジ打ちミスって言いましたよね?どういうことなんです?これレジ打ちミスじゃないんですか?」
「そうだが?」
「あれぇ?さっき言ってることと矛盾してますね。あ、矛盾ってご存じ?」
「ぐっ」
「あれ?何も言えないんですか?つまりこれはあんたが仕組んだことで、ただ彼女の身体目当ての罠ってことですか?最低ですね」
「っこのクソガキィいいいいいい」
は?このおっさん金属バット?え?まずい、死ぬ?
「えいっ!」
間一髪西条がおっさんの頭部にメガシャキをぶつける
おっさんの動きが一瞬止まる。
「すきありぃ!」
おっさんの顎にアッパーを入れる。
すぐに首筋に手刀を入れ気絶させる。
否
おっさんは気絶することなく俺の腰をつかむ。
そして投げられる。
商品棚にすごい勢いでたたきつけられ意識が飛びかける。
しかし奇跡は起こるものだ。
飛ばされたのは文具コーナー、カッターを拾いすぐにおっさんのところへ向かう。
が、おっさんの油断か俺の耐久力か知らんが俺が気絶したと思い込んでいるらしく、
無抵抗の西条に金属バットを捨てカチャカチャとベルトのあたりを触りだす。
ちっ性欲の塊か糞ジジイ
やるなら今、そう思う前に体は動いていた。
カッターの刃はおっさんの首を直撃。
否
貫通した。
油断していたのであっさり殺せた。
殺せた?
ころした?
コロシタ?
誰が?
オレガ?
そこから先の意識はない。
起きると真っ白い天井が見えた。
「おはよう、お兄ちゃん。」
そう言って俺の手を握っていたのは涙目のリンだった。
急に残酷になりました。