バレットワークス
大気が希薄な星独特の静けさの下、スカベンジャー達がコーポボットからレアアースを取り出していく。この低重力の環境で軽快に動ける秘密は、彼等特有の装備、引・斥力ジャイロにある。
ジャイロの鳴らす独特な有機的な音の数を確認すると、ゴミ山を滑り降りた。
うずたかい廃棄物の山に散らばっている彼ら全員を視界に捉えることはできないが、ジャイロの音は20程度か。
スカベンジャーの群れは分隊から小隊の中間程度の人員で動くことが多い。目の前にいる彼らもその例に漏れることはないだろう。
俺の目当てと彼らの目当ては別だろうが、その存在に気づいた時、見逃すことは考えられない。今までもそうだった。面倒な相手だが、倒す必要がある。
セイムグローブに触れる。薄い革越しのザラリとした感触。細かい鱗のような表面加工は、排熱処理と最低限の耐久性を兼ね備えたものだ。
マスク越しに大きく息を吐くと、グローブに電源を入れ、両手を袈裟に振る 。その動きに工業ベース双腕型マニピュレータZA-4―――デミ・モルスと呼ばれ、改造で打ち付けられたチタンプレートだけでも400kgを超える―――で周囲にいるスカベンジャーを2、3人まとめてなぎ倒す。
ひしゃげた全身のジャイロから火花と白煙ををちらしながら鉄くずの海を滑るそれは、すでに人と呼べる形にはなかったが、かろうじて機能していたジャイロが姿勢の制御を行うーーが、強引に変えられた重心に耐えられず身体が千切れる。
それと同時にアラートサインが鳴り響き、まだ聞こえていたジャイロの音が一斉に止まった。と同時に雄叫びが聞こえた。
何年か前の書きかけを供養。
続くことは恐らくないが、構想を書きたくなったら書くかも。
その時は近未来SFのダークヒーローという案なので、この作品から得られる情報とはかけ離れた作品になること請け合い。
よしなに。