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その先に
月に照らされた砂浜で、少年はどこか遠くを見ていた。
果てしなく続くこの水平線はどこに繋がっているのか。
外の世界を知らない少年は毎晩そればかりを考えている。
輝く月に精一杯手を伸ばし、光を掴んで寂しげな表情で手のひらを見つめた。
「父さん……。母さん……」
海面に浮かぶ二人の幻想は、我に帰ると儚く散った。
「ライト、また……ここにいるの……?」
少年が振り返ると、心配そうな顔をした少女が立っていた。
「アイリ……」
「これ、大事な物でしょ?」
少女の手には少年が大事にしていたネックレスが握られていた。