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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第一章[子供の頃は……。]
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009[大人の事情]

「魃」と言う「ひでりの神」の住む砂漠の近く。

厳つ霊を祭る国の草原が、旱魃かんばつに見舞わたのは、

1年半近く前の事。


その時、1000年を祝う蛟の街の祭りに遊びに行った子供等が、

半年前に貰って帰って来た「蛟の鱗の御守り」で、

「国の危機を救った」と言う事実は、

水源が復活したその日その時、その場に居た者を含む。

偵察の為、1000年を祝う祭りの日に蛟の街に行った者。

禁止されてなかったから、祭りの日に行き、たまたま、

蛟から「蛟の鱗の御守り」を貰った所を目にした者。

子供等から「蛟の鱗の御守り」を貰った事を聞いた者。

それぞれ全員に強いられた「トリタ神軍からの緘口令」の名の元に、

秘密である。


旱魃当時、「蛟の鱗の御守り」白い真珠の様に美しい蛟の鱗は、

子供等の願いを叶える為、「小さなアルビノの白蛇」に姿を変え、

『内緒だよ』と言って、水源となっていた場所に入り込み、

雨も降らないのに、水を湧き出させ、水源を復活させてくれた。

この事が・・・

蛟を「魔物だ!」と言い張る雷霆ダエーワの巫女達の耳に入れば、

蛟が復活させた水源を破壊される事は勿論、関係した者が、

魔物と手を組んだと、処罰されてしまう事は間違いない。


の、だが…しかし……。「雷霆ダエーワの巫女達」は、兎も角、

「厳つ霊を祭る国の国王」の方は、

2年前の「1000年を祝う蛟の街の祭り」以前から、

蛟の子供等の有効利用を計画しており、

「旱魃時の水源復活の件」以降、

トリタ神軍の一部を蛟の街の近くに配備する命令を出し、密かに、

蛟達との交友関係を構築しようとしていたグロブスを応援、

今では『面倒だから、命令を聴くタイプの子供を捕まえて来い』と、

ちょっと想定外な命令まで出してくれている。


「トリタ神軍の遠征部隊」でもある「行商団」の団長グロブスは、

厳つ霊の崇拝者としての立場で、

自分達の神、「厳つ霊の雷霆ダエーワの巫女達」を裏切り。

「厳つ霊を祭る国の国王」の命令にも、

『脅して自由にできる生き物では無い様なので……。』と、

まともに従って、普通に仕事はいない。


で…現在……。グロブスは困っていた。

「飛んで火に入る夏の虫」の如く、自分の腕の中に、

ちょっと毛色は違うが、蛟側の神官の娘がいらっしゃる。

そして運の悪い事に、今回、「雷霆ダエーワの巫女」批判派で、

「厳つ霊を祭る国の国王」のしもべである自分と同じ年の叔父が、

その過程を目にしてしまっていたりする。

その事を「厳つ霊を祭る国の国王」は、大喜びするだろうが……。

「この、何故か懐いてしまった子供を自国の国王に献上する事が、

自分にできるのだろうか?」等とグロブスが悩んでいる内に、

イデアが案内する神殿の前まで来てしまっていた。


イデアは笑顔で『降ろして!』と言い。

『ありがとう』と言って降り、神殿の入り口を見て指し、

『ここから先は、

血縁者以外、普通に入れないから、手を繋いで行こう』と言う。


その理由はグロブスには分らなかったが、

グロブスがイデアに従って、手を繋ぎ、神殿に入ると、

そこからは、空気感の違う空間が広がっていて、そこから、

グロブスが、身長の差から歩き辛い恰好で連れていかれた先、

蛟の血を引く朱色の瞳の者達の宴会場には、

色素の薄い朱色の瞳の集団の中に、一人だけ、色黒黒髪で目立つ、

グロブスの息子「イグニス」が、

楽しそうに飲み食いしている姿がある。


何にも知らず、悩む事も知らないであろうグロブスの息子は、

『すげ~!本当に親父を連れて来てくれたんだ!』と、

グロブスを見て喜び、

『ありがとう!イデア!こっちにおいでぇ~』と、

イグニスは高いテンションで、イデアに手招きをする。


イデアは、グロブスを見上げ、

グロブスの手を軽く引っ張って、グロブスと目が合うと、

『奥に蛟様が居るから、行ってみて!

きっと、オジサンが悩んでいる事を一緒に考えてくれるから!』と、

蛟の居場所を指し示し、手を離して、

イグニスとメロウの居る場所に走って行ってしまった。


グロブスが眺める中、イデアはイグニスの近くまで走り寄り、

手前で立ち止り、メロウの一押しで、イグニスがイデアを抱き締める。

グロブス的に、それは謎の行動だったのだが……。

『まぁ~…普通は、分らないですよね……。』と、

不意を突いて、グロブスの隣にやって来たメロウとイデアの父、

「ゲムマ」に、その事情を唐突に説明される。

メロウとイデアの母親は、強いタイプの火属性で大丈夫らしいが、

蛟の子孫の中では、兄のメロウ以外、属性的な理由で、

イデアに触れられる者がいないらしい。


『私は、力の制御の出来た妻と息子には触れるんですが…

残念な事にそれが出来てない娘のイデアには、

触れる事も出来ないんですよ……。触れると、重度の火傷をして、

父と娘で、互いに苦しむ事になるので』と、ゲムマは辛そうに笑い。


特に大きな前触れも無く、

『あぁ~、グロブスさん!イデアを抱っこしてくれたんですか』と、

心を読まれた様な言葉を掛けられ、グロブスは動揺する。

それも、ゲムマは見越した様子で、何かを言われる前に、

『すみません……。私、役職的な理由で、相手の強く思った事や、

感じた事、考えた事は、見えたり、聞こえてしまうんですよ』と、

笑いながら、『グロブスさん、悪人になり切れない人でしょ?

2年間も、子供等を守る為、子供等が接点を作らないように、

裏工作を頑張ってくれるなんて、私は脱帽しました!

今後は一緒に、子供達の将来の事、考えていきませんか?』と、

ゲムマは、グロブスを腕を取り、蛟の居る場所まで連れて行き、

『今夜は帰しませんよ!』と、酒と肴を手渡し、

『私の妻の手料理は如何です?

ウチのデルは、焼き物料理が得意なんですよ!火属性だけに!』と、

メロウとイデアの母親「イデアル」の料理を勧めていた。


その頃、その子供達は…と言うと……。


メロウは、自分達の父親のゲムマとグロブスの様子を見て、

『イグニスは今夜、僕等の部屋にお泊まり決定だぞ!』と、

『3人でい一緒に寝ような!』と色々、

ゲムマと同じ様に、今夜の事を勝手に決定して宣言する。


イグニスは、ゲムマに翻弄されるグロブス同様、メロウに翻弄され、

グロブスの様に勧められるがまま、勧められる物を口にしてしまい。

親子共々、食べ過ぎ飲み過ぎで、今夜は、そのままダウンして、

ゲムマとメロウの宣言通り、泊まってしまうのであった。

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