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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第一章[子供の頃は……。]
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008[視覚的な判断]

人間が本来、使える魔法は「神術」と「魔術」の2種類。


神の力を借りて行使する「神術」を使うのが、

御子や巫女を含む神子。

流派によっては、僧侶・修道士・司教・神官・牧師等……。


それ以外から力を借りて実行する「魔術」を使う者は、

魔術師や魔導師を含む魔法使い。

これには、使う魔法によって、多種多様な職業名が存在する。


「神術」や「魔術」以外の魔法を使う者達は、

厳つ霊を崇拝する者達にとって、人間以外と認識さる。


「蛟」は、厳つ霊を崇拝する者達の認識では、神ではなくて、

「水霊系の魔物」だった。

蛟を「神」として信仰する、朱色の瞳の者達は、

その信仰事態が、既に罪で、

自分達が持って生まれた力を魔法の様に使う「異端な存在」だった。


厳つ霊を崇拝する者達にとって、蛟の街は・・・

水霊系の魔物「蛟と人間の交配種」が治める異端の街と言う。

厳つ霊を崇拝する崇拝者独自の共通認識がある。


「獣頭人身」・・・

コボルト・蜥蜴人リザードマン・ミノタウロス。


上半身人間、下半身動物な「半獣人」・・・

人魚・ケンタウロス・ラミア。


動物の姿に変身する「狼男、人虎」等の「獣人・人間もどき」より、

朱色の瞳の者達の「存在する罪」と、

「水霊系の魔物、蛟」を「神」として信仰する罪は軽い方だが……。

厳つ霊、雷霆ダエーワの判断によって、トリタ神の名の元に、

淘汰したい存在だった。


2年程前その事に疑問を抱き、1年半近く前、

「蛟の鱗の御守り」白い真珠の様に美しい蛟の鱗の力を知るまで、

グロブスも、そう思う方に属していた。


グロブスは、目の前の魔性の血を引く筈の幼女「イデア」が、

ブルーペクライトの中で、特に青色の鮮やかな物、

水属性の浄化の力を持つ「ラリマー」と、

濃い赤の中に透けて見える妖輝な煌めきがある鮮やかな血色の物、

きっと、紫外線に対して発光するであろう、

火属性の退魔の力を持つ高品質な「ルビー」を所持している事。

所持していて平気な事を再確認して、

本当は、魔性と呼べない存在だと再認識する。


雷霆ダエーワの御神託に、嘘偽りがある訳が無い。

これは、雷霆ダエーワの御神託を間違えて聴きとった巫女の失態か?

巫女に悪意があったか?のどちらかである。

そんな、巫女の言葉の間違いや、

巫女の言葉に「嘘や偽り」があった事の証明になってしまう事柄は、

厳つ霊を崇拝する者達にとって一大事なのだが……。


グロブスにとって異教徒なイデアは、グロブスの内心等を知らない。


グロブスの内心を知らないイデアは、

無邪気に「イグニスの父親を発見出来た事」を本気で喜び、

踞んで目線を合わせてくれたグロブスは、

「イグニスの様に良い人であろう」と信じ切って、

グロブスの腕にしがみ付き、『お迎えに来ました!』と、

上目遣いでグロブスを見詰め、嬉しそうにしている。


その場に居たグロブスの部下達は、少し離れた場所から、

イデアの行動と、上司であるグロブスの対応を見守っていた。


グロブスは外方を俯き、大きく溜息を吐いてから、

黒髪を掻き上げ頭を掻き、苦笑いして、

『もしかして……。

家の馬鹿息子が、そっちに迷惑掛けてるとか無いか?』と言う。


イデアは複雑そうな顔をしてから俯き、暗い表情で、

『いえ、寧ろ…私の兄のが……。

イグニスお兄ちゃんに迷惑を掛けておりまして…

このままだと、イグニスお兄ちゃんの名誉に係わるのではないか?と、

はぜさんじ……。馳せ…参じました……。』と、

悩みながら言葉を紡ぎ出した。

グロブスは勿論、その部下達も、暫く沈黙した。

その様子にイデアも、黙り込んでしまった。


暫くの沈黙の後・・・

自分の娘のシナーピも、巫女になる予定の来年に向けて、

敬語を練習している事を思い出したグロブスは『あはは』と軽く笑い。

『無理に敬語を使わなくて良いぞ』と、優しく微笑み。

イデアの柔らかい手触りのストロベリーブロンドの髪を撫でてから、

自分の腕の上に座らせるように、イデアを抱き上げて、

『息子の居る場所まで案内してくれ』と言う。


イデアが『それなら、ここから街を抜けた東……。』と、

神殿の方向を指し示すと、グロブスは歩き出し、直ぐに立ち止り、

振り返ってから、一緒に行こうとする部下達の一人、

グロブスと似た感じのするグロブスと同年代にしか見えない男に対し、

『叔父上、皆を頼む。』と真面目な顔をして言い。

『こんな夜遅くに、小さい女の子を一人で帰らせれねぇ~だろ?

どんなに強力な退魔と浄化の力を纏っていても、

危険は変わらんだろうし……。

それに、手前てめえの8歳の息子を放置するのも、教育上に悪いから、

少しばかり様子を見に行って来るよ』と笑い、最もな事を言って、

部下達に先にキャンプ地に戻るように命じ、再び歩き出した。


街中、屋台の並ぶ通りに2人が戻ると、

夜遅くなったのにも拘らず。

月に一度の御祭騒ぎの熱は、収まる事を知らず、まだ賑わっている。


その中には、蛟の街の地元民も多く、

イデアを発見して、イデアに声を掛けようとして躊躇し、

イデアを抱き上げているグロブスに対して、

不安そうな視線を向ける者が後を絶たなかった。

イデアは、それを少し不思議に思いながらも、

抱き上げられた事による見晴らしの良さにテンションを上げ、

嬉しそうに視界に入る景色を楽しんでいる。


街の住民達は、イデアの様子を見て、

無理やり捕われたのではない様子に胸を撫で下ろし、

それでも、不安を払拭しきれず、2人を目で追っていた。


グロブスは「街中を通るのは失敗だったか?」と、

少しばかり後悔しながら、イデアの楽しげに様子に思い直し、

それでも、喜ぶ理由が気になって、無粋と思いつつ、

『何か面白い物でも見えるのか?』と質問する。


イデアは幸せそうに、

『この高さから街を見るのは初めてで、全部が面白いよ』と言った後、

少し悲しそうに、『私はメー兄みたいに火の属性を制御できないから、

抱っこも負んぶも肩車も、完全水属性な父上にして貰えなくてさ。

これが、初めての父上と同じ目線なんだよ!今、これを楽しまなくて、

何を楽しむの?』と真剣に言う。


グロブスは、『そうか……。』と言いながら、

イデアの衣装に注意を払う。

胸元には、竜種の蛇が一粒の大きなルビーを抱くデザインのブローチ。

両手首に、ラリマーの嵌め込まれた蛇モチーフの輪。

衣服の裾に、アメジストとラピスラズリ、水晶の小さなビーズが、

無数に縫い止められているのが分った。

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