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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第一章[子供の頃は……。]
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006[人探しの序章]

メロウはイグニスの手を掴み。『イデア!帰るよ』と、

イデアを呼び寄せ、街の東にある奉納の舞台から更に北東、

蛟の湖に流入する川の入り口付近に建てられた神殿へと、

イグニスを強引に連れて行ってしまう。


その道中、メロウはイグニスの言い分を聴く事も無く。

『2年間だよ…2年間!御礼を言おうと思ってるのに、

こっちに仕事があって、話し掛けに行けなかったり、

そっちが帰っちゃったりで、タイミング掴めなくてさぁ~……。

本当に、遅れ馳せながらありがとうな!

2年前、街と妹を救ってくれただろ?マジで感謝してる!』と、

繋いだイグニスの手を離す事無く、メロウは振り返り、

魅惑的な笑顔をイグニスに向けて放出し、イグニスを黙らせ、

そのまま神殿の中に連れ込んでしまった。


イグニスの近くを歩いていたイデアは、

『ごめんねぇ~、我が兄上様は、思い立ったら吉日の人なんだよ、

メー兄に悪気は無いから、許してやってね。』と話し掛け、

メロウが目指した目的地の扉の前に来る前…

声や音の響く、神殿に連れ込まれる前まで……。

『おい!ちょっと待ってくれ!

俺は、今から早い事、親父と合流できなかったら、次からはもう、

蛟の街で、自由行動させて貰えなくなってしまうんだぞ!』と、

必死に訴えていたイグニスの為に、

『取敢えず、イグニスお兄ちゃんは、

親父さんと合流出来たら良いんだよね?私に任せてくれる?

今日は、街中に松明と水瓶が準備してあるから、

人捜しなんて簡単だよ!ねぇ~!親父さんの事を考えながら、

少し屈んで目を瞑ってよ』と言う。


イグニスは、

怪訝な顔をしながらも、半信半疑でイデアの言う事を聞いてくれた。


「イグニスお兄ちゃんって、メー兄と同じ年って聞いてるけど、

旅をする人の割に、人を疑わないタイプの素直な人だなぁ~…

他人様の街の治安まで守るとかする偽善者だし……。

あ、そうだ!序だし、昔、助けられた御礼も兼ねて、

騙し打ちされて死にそうだから、加護も掛けちゃおうっと!」と、

余計な事を考え、実行する為、

イデアはイグニスの後頭部と首筋に手を回し、

イグニスの額に、回復魔法を使った時と同じ様な事をしてから、

『じゃ!行ってきま~す!』と、衣装を着替える事無く、

そのまま、来た道を戻って行ってしまう。


イグニスは不意打ちを食らって、呆気に取られてしまい。

一部始終を黙って見守っていたメロウは、溜息を吐き。

イグニスを温かい目で見ながら、

『お前…今、多分だけど……。3つも年下のイデアに、

迷子になった小さい子供を見る様な目で見られてたぞ、

ホント、マジで……。』と言う。


『え?冗談だろ?』と言ったイグニスも、

シチュエーション的に考え、『うぅ~わ、勘弁してくれよ』と言い。

『元はと言えば、お前が俺の話を聴かずに、

ここまで強引に、俺を連行してきた事に問題が無いか?』と不貞腐れ、

『所で、アイツ…俺の親父をどうやって見付けるつもりだ?

2年前に、顔は見ただろうけど……。覚えてないだろ?』と言う。


メロウは、一瞬、凄く驚いた顔を見せ、

『あぁ~…そっか……。魔法に関係する定義が違うんだっけ』と、

脱力した様な様子を見せて、

その場で唐突に、この世界での魔法の種類の話を持ち出した。


最初に確認したのが、厳つ霊の巫女が使う雷の魔法の類。

未婚の処女限定、修行して使えるようになる魔法の話。


そう言う話に免疫の無かったイグニスだが、興味津々で聴き入り、

知っている事を確認し合い。

「来年から、自分の妹が修行に入る事」をメロウに話す。


続いてメロウが、それと類似する宗教的な関連。

神や悪魔、精霊の類を祭って使える様になる魔法の話をする。

予断として・・・

魔法を所持するモノに気に入られ、加護と言う形で使える魔法の話。

祭るのではなく、支配して使えるようになる話等をした後で、

最後に、メロウは自分達の魔法の話をする事にした。


メロウやイデア、朱色の瞳を持つ者達の魔法は、

人外のモノとの異種間交配で使える様になった魔法である。


イグニスは少し戸惑いを見せながら話を聴き、メロウは、

『僕とイデアは、水霊アルケーと火霊ヘラクレイトス。

その2種類に分類される神の血を引いているから、

水と火の魔法が使えるんだ』と手品の様に、右手に水を溢れさせ、

左手に小さな火の球を出現させた。


メロウの魔法を目の当たりにし、イグニスは疑問を呈す。

『それで、どうやって僕の父親を見付けるんだ?』と……。


メロウは、イデアが使っている探索の魔法が

自分が使える魔法ではないのと、

理屈無しで、発見する事の出来る魔法であると言う認識だった為、

説明に困ってしまい。


目の前の目的地への扉を開け、中で祭りの打ち上げをしていた者達。

朱色の瞳を持つ集団に対して、

『なぁ~!イデアの探索の魔法って、どう説明すれば良い?

コイツ、魔法使えないから、理解し辛いみたいでさぁ~』と、

イグニスと顔見知りの子供等も居る場所にイグニスを連れ込んだ。


その場にいた者達は一瞬、メロウが連れ込んだ部外者に驚き、

イグニスと顔見知りの子供等を中心に、イグニスが・・・

蛟の街の慈善活動に参加していた少年と同一人物である事が知れ、

確認され、朱色の瞳の皆に受け入れられる。


受け入れられたイグニスは、料理を勧められる中で、

朱色の瞳の老女から・・・

イデアが、魔法を使う者として、

突出した大きな器と膨大な魔力を持って生まれた事を教えられる。


但し、その特性を全て台無しにしてしまうレベルで、

イデアには、それを使う為の魔法に関係する制御力が無い事。

更に、水と火に愛され、

水と火に対する万能的な相性の良さを持つ事。

それに伴い。少しの魔力で絶大な効果を得られてしまう事。


要は・・・

イデアの魔法は、魔力使用量の加減が難しく、

暴走してしまいやすくて危険だから、特に回復の魔法とかは、

「微かな吐息に魔力をちょっぴり乗せる形でしか使えず。

あぁ~ゆぅ~形に落ち着いてしまった。」と言う事を知る。


そう、イデアの魔法の事を知る事は出来たのだが・・・

「…だから…どうやって、俺の親父を発見して連れて来るんだよ?

本当にイデアに任せて大丈夫だったのか?このまま此処に居て、

来月から来れなかったり、自由時間貰えなかったら嫌だな~」と、

イグニスは不安を抱えながらも、食欲に負け、

蛟への奉納品の御裾分けを美味しく頂くのであった。

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