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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第三章[アオスブルフの双剣]
28/39

028[生まれた決別の理由]

生き残った蛟の街の住人は42人。

内、アオスブルフの城に保護されたのは10人。

その内、朱色に瞳を持った銀髪の蛟の子孫は4人で…、

アオスブルフに来て妊婦が1人、男の子を生み落として亡くなり、

結局±0の4人の幼児・乳幼児だけしか、生き残らず。

アオスブルフに保護された残り金髪な6人も、皆、幼かった。


朱色の瞳の乳幼児は、

赤子を病気で無くした生粋の人間であるアオスブルフの女性が、

「優しく抱締める」と言う意味の「クシェル」と言う名を付け、

亡くなった妊婦の付き添いをしていた少女、

保護された中で一番年長の8歳「エミリー」と一緒に、

引き取って育ててくれるらしい。


そのエミリーの家の近所に住んでいた朱色の瞳の兄妹は、

「ブレイク」5歳と「ジェンナ」2歳。

その子等の人間の友達も似たような年齢で、

ブレイクの友達、お兄ちゃんの「カルロス」も5歳、

妹の「ケイト」は1歳で、ジェンナの友達「キャサリン」は2歳。

その子等5人は仲が良く、5人で行動し…、

イグニスを通し、イデアと顔見知りになった商人の子供達、

4歳の男の子、「セス」と「ウィル」は、2人で

朱色の瞳をした泣き虫な「レベッカ」3歳の面倒を見て、

3人で一緒に行動している様子だった……。


それには、理由が存在する・・・

アオスブルフの温泉の湯は刺激が強く、

「飲泉出来ない物が殆どで、飲み水に困っている。」と、言う事で…、

蛟の子孫、朱色の瞳をした3人の幼児達は、

アオスブルフの大人達に「蛟から遺伝的に受け継いだ力」を求められ、

友達と引き離さない事を条件に、

水霊の力を使い「飲み水を作る仕事」を引き受けたらしい……。

の、だが…、厳つ霊の者達や…蛟の街の大人達に裏切られた子等は、

「アオスブルフの大人達も完全には信用できない」、

そんな理由からだった……。


イデアは、その子供等の心を不用意に読んでしまい。

そんな状況でも、

自分を信じてくれている「この子等」を「裏切ってはいけない」と、

「裏切る事は許されない」と、心に刻んだ。


そして、自分が厳つ霊の者達に騙され、

出掛けている間に、蛟の街であった出来事をイデアが確認する為、

『他の蛟の街の住人は?』と双子に話し掛け、答えを待たず心を読み、

『城の南ですか…』と呟き、そこ呟きに驚く双子をその場に残し、

着替える為に道を戻り、アオスブルフの城の南に仮設された場所。

残りの32人が居る難民キャンプへと向かった。


そこでイデアは、

戦う事が出来ない朱色の瞳の者達を売って生き残った者達。

もしもの時の緊急避難場所。

子供達や弱者を護る為に準備していた場所の事を教え、

厳つ霊側の者達に助けを乞うた大人達ばかりが生き残った事を知る。


戦える朱色の瞳の者達も、護るべき相手から背後から襲われては、

太刀打ち出来ないのは当たり前だ。その事を追求したら…、

『仕方がなかったのだ!』と返答して来た……。

彼等が、彼女等が、どんなに必死に弁解しても、嘘を言っても、

心を読めるイデアには、真実だけが走馬灯の様に見え、

本音が聞こえて来る。


何だか馬鹿馬鹿しくなって来た。

『護って貰ってるのに、「仕方がない」で、裏切るってどうよ?』

イデアは小さく呟き、一時の感情任せに、

蛟が彼等に与えた無償の愛を奪う為、自分の命を削って、

同じ蛟の街の仲間を陥れた「32人」への「蛟の水の加護」を解く。


周囲に、何処からともなく、甲高い金属音の様な音が響き亘る。

生き残った32人は、耳を押さえる程のキツイ音と共に、

一気に襲って来た熱気に戸惑いオロオロするばかりだった。


イデアはその者達に背を向け歩き出す。

イデアを追い掛けて来た双子は、水霊としての本能で…、

グラシュタンは、水の魔物としての属性から…、

イデアが難民キャンプに居る32人に何かをして、

無駄に自らの命を削ってしまった事を知る……。


そんなイデアを見たグラシュタンは、取敢えず、

生き残った32人を残し立ち去って行くイデアの腕を捕まえ、

無表情のまま、一筋の血の涙を流すイデアの顔を見て、ゾッとし、

『何やってるんだよ!馬鹿!』と怒鳴り、慌ててイデアを抱き上げ、

そのまま、カルフェンの居る場所まで、

馬が持つ脚力を使い、全速力で走ったのだった。


グラシュタンの腕の中、

グラシュタンの焦りと、イデアの体の事を本気で心配する心が、

ストレートにイデアに届いた。

イデアは抵抗する事無く、グラシュタンの腕の中で、

肉体が求めるまま、目を閉じ、安心して仮眠を取り、

カルフェンが来て居る王城、

国王ユヴェーレンと、時代の国王予定のシュピーゲルが今居る、

カルフェン用に誂えられた謁見の間へと運ばれる。


イデアがそうなる事を事前に予測し、知っていたカルフェンは、

イデアを寝かせる場所をユヴェーレンに用意させて、待ち構えていた。


カルフェンは『おかえりなさい』と優美に微笑む。

そして、意識を浮上させたイデアに対し、

『大切な者の見極めは済んだ様子ね。

イデア、これからアナタは何をして生きて行きたいの?』と問い掛け、

辛そうな表情で黙り込むイデアの返事を待たずに、

『アオスブルフは、南東にある「フルグル国」と戦争をしているわ!

もし、参戦したくなったら、言ってちょうだいね』と、

イデアを御姫様抱っこしたままのグラシュタンの横を通り過ぎ、

『イデアをベットに寝かせてあげなさいな、坊や』と、

カルフェン用に誂えられた謁見の間の端に置かれたベットを指し、

ニヤニヤしながら部屋を出て行く。


謁見の間に残されたのは、イデアと、グラシュタンの二人。

イデアは『あの神様、ズルイよ……。』と溜息交じりに呟き、

グラシュタンによって、ベットに降ろされてからも、

『最初から、「フルグル国」の「トリタ神軍」と戦わせるつもりで、

あの双子を上官として紹介した癖に…』と吐露して、

鹿角で作られた物と、黒く変色したリングを抱締め、膝を抱え蹲った。


そこへ双子が姿を現す。イデアは双子を見て、

「そう言えば、自分と彼等を合わせても、蛟の血を引く者は、

7人しか存在しないんだよね。」と感慨深く思い。

「蛟様は、自分の血を引く子供等の死を強く悲しんでいた。

ほんの少しだけだとしても、蛟様の血を受け継いでいる二人は、

蛟様の総てを引き受けた私にとって護るべき存在だろう。

モーントとフェーブスも、あの子等と同じ様に護らなくては…、

例え戦場で、あの人の敵となって戦う事になったとしても……。」と、

打ちのめされる様な思いで決意を新たにしたイデアは、

抱えた脚を放し、ベットから降りる。


それから双子に対し、

『この国での上官に対する礼儀作法を教えて下さい』と申し出、

教えられた通り、剣を鞘ごと右に置き、右手、右膝を床に突き、

左足を立て膝にして、左手の拳を胸に当て、

『モーント様!フェーブス様!』と交互に双子のかを御見て、

『明日から私は、アナタ方の剣となりましょう。

以後、宜しく御願いします。』と言った。

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