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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第一章[子供の頃は……。]
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002[最初の接点 1]

「水の魔法」を持つ、水霊アルケー種の生き物。

アルビノ体で、朱色の瞳をした白蛇「ミズチ」が、

同族内の差別から逃げ、地上に上がり、初代宮司様との恋に落ち。


白蛇の名残の白い肌と朱色の瞳。

日差しの加減で水色にも見える銀髪美女な人型の姿で、

この地の地母神になってから、1000年目の大きな祭りの日。


蛟と血縁を結んだ初代宮司の子孫。初代の顔立ちと金髪。

蛟由来の朱色の瞳と肌の色を受け継ぐ31代目の宮司「ゲムマ」と、

火霊ヘラクレイトス種の血を色濃く受け継ぎ、

「火の魔法」とワインレッドの瞳を持つ。

火山地域から逃げて来た赤毛の女性「イデアル」。


この2人から生まれたストロベリーブロンドと言う、

珍しい髪色を持つ子供達、この世に2人だけの兄妹。


兄は、将来、32代目の宮司となる予定の6歳の少年。

蛟曰く、歴代宮司の中で一番、初代に顔が似ているらしい。

蛟由来の肌の白さと朱色の瞳を受け継ぐ「メロウ」。


妹は、今年から巫女1年生。

今日、初めて、巫女として奉納の初舞台に上がるの3歳の幼女。

完全な蛟由来は肌の色だけ、

瞳の色が、同化しない朱色の混ざるワインレッドな「イデア」。


今日、この2人は、神事の為に朝から遊ぶ事も無く、

真面目に蛟の話を聴き、神殿の参拝者に寄付の御礼の護符を配り、

血縁者ではないが、蛟の加護の洗礼を受ける権利を持つ者達、

蛟の水晶球に映し出される全ての蛟の信者に、こっそりと、

蛟の血族として加護を配り、大好きな蛟の為に必要以上に頑張る。


そして、祭りの終盤、黄昏時。観客席と蛟が住まう湖に向かって、

舞を奉納する為の、イデアの舞台デビューの時。

兄「メロウ」に手を引かれて「イデア」は舞台へと上がり、

今まで誰も目にした事が無い、最高の奉納の舞いをイデアは舞った。


それは、水に寄り添う火の灯で、水が煌めき、

灯で蒸発してしまった水、透明な湯気から生まれた蜃気楼で、

メロウとイデアの姿が揺らぐ、

摩訶不思議な演出が成された幻の様な奉納の舞い。


世にも珍しい、相容れる事が無い筈の水と火。

水霊アルケーと火霊ヘラクレイトスの両方に血を引く、

メロウとイデアの存在があってこその魔法が、通常以上に、

奉納の舞を観に来ていた観客を引き付けてしまっていた。


その日、その時・・・

イデアは、イデアが気付く事の無い、運命の出会いをしていた。


動植物を愛する土霊クセノパネスの大森林を水源とする川の下流。

水霊アルケーに属する「生き神様」が護る湖の畔。

地母神「蛟」を信仰する「蛟の街」に、

生き物の存在を拒絶する土霊クセノパネスの岩山を越えた場所、

南東にある草原と大きな砂漠地帯から、

厳つ神「雷霆ダエーワ」と「トリタ神」を崇拝する者達の集団、

「トリタ神軍の遠征部隊」でもある「行商団」が来ていた。


彼等は普段から、家畜を売りに来たり、

蛟の街特産の農産物や日用品、贅沢品を購入する為に来たり、

月に1度の大きな臨時市場に、他の地域の物品を運び込み、

大掛りな行商をしにも来ているのだが……。


今回は、蛟の街の1000年目の大きな祭りの日。


大きな祭りと聞いて「稼げるから」と……。もしかしたら、

厳つ霊の崇拝者たちは、全軍を率いて来ているのであろうか?

蛟の街から南東にある大きな平原に、頑丈なテントを張り、

蛟の街より大きな簡易の街を作り上げてしまっている。


その場所で放牧を生業にする者達は、迷惑そうにしながら、

勝てない戦いを挑む事無く、食えねば弱り死ぬ家畜の為に、

一時的に南の岩山を越え……。


厳つ霊の崇拝者達に集団で押し掛けられ、

横暴な行為に及ぶ、厳つ霊の崇拝者達に迷惑する蛟の街の住民も、

「戦争になっては勝ち目が無い」と諦め、蛟の加護を恃みに、

黙って事の成り行きを見守っていた。


そう、その日・・・

「トリタ神軍の遠征部隊の行商団」を率いる団長「グロブス」も、

誰から見ても、自分の息子と分る。そっくりな顔立ちの長男。

黒髪、黒い瞳、健康的に日焼けした肌の6歳の少年、

「イグニス」を連れて来ていた。


その時・・・

「行商の勉強」を名目にして、

父親達に遊びに連れて来て貰っていた厳つ霊の崇拝者の子供達は、

イグニスを含めた全員が、カルチャーショックを受ける事に為る。


蛟の街に住む朱色の瞳をした者達は、年齢性別に関係無く、

力の大小あれど、水の魔法を使う事が当たり前。

小さな子供でも、蛟の教えに従い。

観光客の起こすトラブルを極力、大人と力を合わせ、未然に防ぎ、

街の治安を守っていた。


特に目を引くのは、唯一無二のピンク掛かった薄い色合いの金髪。

ストロベリーブロンドの兄妹。

兄は6歳で、妹は3歳と言う事なのだが……。

トラブルを起こした厳つ霊を崇拝する大人を恥じてしまうレベルで、

礼儀正しく、機転が利き、精神的に大人でもあった。


と、言う事で……。

朱色の瞳を持つ子供等に興味を持った厳つ霊を崇拝する子供達。

ストロベリーブロンドな兄妹の雰囲気は、誰もが気後れして、

話し掛ける事も出来なかったが、

他の朱色の瞳の子供等に興味を移して、遊びに誘う。

すると、断られる事も無く。

『大人達がトラブルを起こしたら行かねばならないのだけど』と、

愛想良く受け入れられ、仕事で使う道具、

「トラブルが起こる兆し」と「場所」を示す水晶球を見せて貰える。


但し、その水晶球は、厳つ霊の崇拝者の子供達にとって、

ある種、ゲーム感覚で遊べる玩具のようだった。


『さっきのみたいに、正義の味方みたいな事が出来そう』と、

厳つ霊の崇拝者の子供達の中から声が上がる。

朱色の瞳を持つ子供等は同意し、

『これって意外と楽しいんだよね』と笑って、

『良かったら、一緒にやってみる?』と提案して、

厳つ霊の崇拝者の子供達を喜ばせ、治安維持の手伝いをさせた。


そんな楽しい日の終わりが近付く黄昏時、

『自分達も舞台に立つから、観て行って欲しい』と、

朱色の瞳の子等に連れて行かれた湖を背にする観客席。

厳つ霊の崇拝者の子供達は、奉納の舞を見て、

朱色の瞳の者達に完全に心を奪われてしまうのだった。

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