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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第二章[運命の不協和音]
19/39

019[岩砂漠のゴーレム 1]

蛟の街方面から、北側にある岩山の隙間を入った場所。

その岩山に囲まれた岩砂漠を通る物流の流通路の入り口、

その直ぐ近くの場所に、少し広くなった3つの分岐が存在している。


メロウは最初の分岐地点に、ゴーレムの発生源が無い事を仮定し、

イデアと一緒に連れて来た水を消費して、岩壁に水鏡を作り、

ゴーレムが、それに反応しない事を確認する。

それから、岩山の隙間から、覗き見る予定の場所や近くに、

魔法陣やら魔法道具やらが無い事を調べて、

3つの分岐、その周辺の様子を道の真ん中に立ち、確かめる。


その鏡に映る光景を確認できるのは、無駄に視力が良い者か、

視力を強化し、遠くまで見る事が出来る者だけ……。

残念な事に、その場で見れる者は、メロウとイデアしかいない。

この時、2人は、溜息を吐きながら、

グロブスとイグニスの様な、厳つ霊側の主戦力が行商に出て、

この場に居ない事を残念に思いながら、ゴーレム達の観察をしていた。


東の噴火と言う意味を持つ「アオスブルフ」に続く道からは、

ゴーレムが出て来る気配は無く、そちらに向かうゴーレムもいない。

アオスブルフへの道に、ゴーレムの発生源は無い事は確かで、

確認しに行く事すら、無駄であろう。


分岐の真ん中にある登り道、入口から見える場所、

3つの洞窟の様になっている場所に続く細めな道からは、

見るからに、ゴーレム達が数多く出て来ている様子が見て取れる。


最後に、一番大きな道、

イグニスやシナーピの母国「フルグル」に続く道は、

他のより小さなゴーレムが往復し、時々、他のゴーレムが入って行く。

気になって1体に炎で焦がした印を付けたら、中央の道から出て来て、

入って行った。そう言えば…その道は、確か……。

細い道で、真ん中の道へと繋がっていたと思う。


そんな感じで、メロウとイデアは、

観察して得た感想と、推察を出し合い。話し合った。


結果、一番最初に確認すべきなのは、

「小さなゴーレムが行き来するフルグルへ続く道の先の分岐点」と、

メロウとイデアは見定める。小さなゴーレムの役割が気になるのと、

その道の先にある分岐点に、

ゴーレムの材料となる「石や岩が転がった崖崩れの跡」があったと、

メロウとイデア両方が記憶していたからだ。


『取敢えず、そう言う罠っぽい「小さなゴーレム」は壊さず、

捕獲して、何時でも壊せる様に、

水球の中心にでも閉じ込めて隔離しておこう。』と、

メロウが当たり前の様に言うので、イデアには出来ない芸当だし、

イデアの方は黙って従う事にした。


の、だが…そこに発生源が無かったら……。の場合の事も考え、

次の候補地へと思考を移す。


次の候補は、3つの洞窟の一つ。

洞窟を北・東・南と仮に名付けるとすると、「南」になる。

洞窟の一番奥の天井が崩落した場所。

メロウとイデア、2人の意見は、先程と同様に一致する。

第一候補と同様、広さと材料を考慮すると、間違いない場所だ。


意見のすり合わせをしたメロウとイデアは、適当に、

皆にその話を伝えてから、

『取敢えず……。

目の前のだけは、僕等が全力で排除しておきましょうか』と、

メロウが言うので、2人で細かい砂利を拾い。

イデアはメロウと手を繋いで、2人同時に1歩踏み出し、

集まってやって来るゴーレムに対し、互いに砂利を持った手、

繋いでない方の手を突き出して、水平に手を移動させ、

砂利混じりの水の刃で、目の前のゴーレム達を簡単に破壊する。


厳つ霊側の者達は静まり返り、

朱色をした瞳の蛟側のメンバーは、感嘆の吐息を吐いた。


『あぁ~…疲れたぁ~……。』とイデアが愚痴を零し、

メロウも少し疲れた様子で溜息を吐き、

『さて、そろそろ行動を開始しますよ!

各自、ゴーレムに囲まれない様に注意して下さいね!

囲まれたら、助ける事なんて、誰にもできませんから』と言い。

メロウがさっきと似た動作で小さなゴーレムを水球に閉じ込めた後、

イデアの手を放し、事前に決めた役割をこなし始めた。


メロウ達は、迷わずアオスブルフに続く道の手前のモノと、

入って来た場所のトラップの境界線を壊し、中央の細い道から、

壊れたゴーレムの山を乗り越えて来たゴーレムの対処をしながら、

魔力の供給源をも壊して、最初の分岐点の調査が終わり次第、

「フルグルへ続く道の先の分岐点」へ向かう予定。


イデア達は、小さいゴーレムを閉じ込めた水球の横を通り、

最初から「フルグルへ続く道の先の分岐点」へと向かう。

そして、イデアが向かったフルグルへ続く道の先の分岐点の先には、

壊れた荷馬車と、ゴーレムに追いかけられ逃げ惑う馬、

元人だったかもしれない肉塊と血溜まりが数か所に存在していた。


次は我が身な肉塊と血溜まりを目にして、厳つ霊側から動揺が走る。

イデアは呆れ、取敢えず・・・

ゴーレムより、暴れ馬の方が危険と判断し、蛟のメンバーが全員、

メロウと共にいる為に使える蛟のメンバーが苦手とする炎を使い、

馬を余計に怖がらせ、逆方向に走らせて、

フルグルへ続く道へと逃がす。


イデアがそんな事をしている間、厳つ霊の者達は、

使え無さをイデアに示してくれるが、

幸い、ゴーレムは知能の低いタイプである事が分った為、

イデアは、特に気にしない事にする。


先にトラップに掛かっていた馬がいなくなると、

後から入って来たイデア達に向かってゴーレム達は動き出す。

イデアは、刃毀れしかねない為に剣を使わず。素手と水だけを使い。

邪魔なゴーレムを破壊しながら、

『すみません!次の候補地を視て来ます。』と言い残し、

一人でゴーレムの発生源ではなかった場所を後にした。


ゴーレムが不定期に出て来る下の道を避け、

岩山にできた段差の上を歩いて進んだイデアが目にしたモノは、

犇めき合い身動きが取れなくなったゴーレムの群れ……。

どうやら、細い道に進むゴーレムが詰まって、

動けなくなってしまったかららしいが、ゴーレムの製造は止まらず。

どうしようもない状態になってしまったらしい。


イデアは無言で出てくる場所を目で追い。

想定していた「南」の洞窟である事を確認すると、来た道を戻り。

分岐地点で悲鳴を上げる厳つ霊の者達を無視し、

フルグルへ続く道の途中の頻繁に崖が崩れる場所へと走り。


イデアは、崩れやすい崖を幾度か滑り落ちながら登り、

天井の崩れた洞窟の上の方へと、一人で向かった。

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