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君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第二章[運命の不協和音]
17/39

017[戦いへの道標]

水の元素を司る神「水霊アルケー」の中でも、とても珍しい。

アルビノ体の白い肌と朱色の瞳、

日の光の加減で、水色にも見える銀髪美女の姿をした蛟が、

地母神となって護り続ける「蛟の街」で、喜ばしい事が発覚する。


蛟と血縁を結んだ金髪の初代宮司の血脈と、

火の元素を司る「火霊ヘラクレイトス」の赤毛の血脈を継ぐ、

ピンク掛かった薄い色合いの金髪、ストロベリーブロンドの兄妹。

蛟と同じ朱色の瞳を持つ21歳のメロウと、

朱色の混ざるワインレッドの瞳の18歳になったイデアを産んだ母、

火霊の血を引く40代になるイデアルが、今日になって、

『来年には、弟か妹が生まれるわよ』と言い出したのだ。


蛟との結婚間近なメロウと、同じく、同じ日に、

水霊や火霊とは違う種類の存在定義となっている神、

厳つ霊を崇拝するイグニスと結婚する予定のイデアは、

喜びながらも、母イデアルの体調を気にする。


イデアルは、

『今朝から体調が悪いのは悪阻の所為よ!問題無い!』と言うが、

蛟は、眉間に皺を寄せて、

『私が今まで以上に強く加護を与えるけども、

悪阻が落ち着いて、子宮の中で胎盤が完成する妊娠16週まで、

大人しくしててよね!まぁ~、それは無理だろうから、

最低でも、妊娠4カ月越えるまでは、無駄に動き回らないでね?

35歳から高齢出産って言われてるのに、

もう、40代でしょ?体も心も子育てに向かなくなってるんだから、

胎児の為に、考えて行動する様に、努力して頂戴!』と言う。


多分、蛟の言う様に、

イデアルには、無理をさせてはイケナイのであろう。


結婚して直ぐに、夫となるイグニスと一緒に、

行商の旅に同行する予定になっていたイデアは少し考え、

自分の目で見なければ、ココまで苦しむ事の無かった筈の現場、

夜空みたいな黒い瞳で、イグニスが自分以外の女性見詰め、

その女性に瞳と同じ色の髪を触らせキスをするシーンが脳裏に過り、

蛟にイデアルの妊娠の安定期は何時からなのか確認したイデアは、

『私、結婚諦めて、母上の傍にずっといても良いよ』と言い出した。


イデアの言葉が、マリッジブルーから来るモノであろう事は、

相手が思っている事が、イメージ的に伝わってしまう蛟は勿論、

近しい力を持つイデアルとメロウも、

イデアが一瞬、無防備に垂れ流したイメージから気付いてしまう。


不可抗力で、

マリッジブルーを発動させてしまったイデアルは慌てふためき、

イグニスと2人で、サプライズプレゼントを企画し、

結婚式を手前に、イグニスが遠くへ行商へ行き、帰って来れない、

マリッジブルーが発動しやすい状況を作ってしまったメロウは、

蛟とイデアへのプレゼントの調達を託した手前、必死で、

イグニスの事を擁護しながら、イデアに「大丈夫」と言い聞かせ、

イデアにトラウマを作ったイグニスに対し、

「早く帰って来い!」と理不尽に思い、願った。


そのタイミングで、イグニスの母ピペルとイグニスの妹シナーピが、

久し振りに、蛟の街を訪問する。


それは、正式な「外交」だった。

イグニスと同じ黒い髪と目のシナーピは、

蛟の街の巫女の衣装とは違う。飾り気の無い衣装、

一見して巫女と分るシンプルで質の良い服を身に付け、

似た衣装を着た黒髪黒目の2人の少女を引き連れて、

ピペルとピペルに似た顔立ち男性率いる傭兵集団を引率し、

蛟の街に対して、まずは書状で、

「物流の重要な交通路を守る為、蛟の街の力を借りたい。

交渉の席を求む。」と言って来た。


蛟はそれを受ける。シナーピは自分が連れて来た他の者達に、

蛟の街の外で待機するように命じ、少女2人を共に、

蛟と、宮司のゲムマその妻イデアル、メロウとイデア、

朱色の瞳を持つ蛟の子孫達、蛟の街の代表者達の前に立ち、

事情を説明し始める。


その話に寄ると・・・

魔物の出る森を抜ければ、安全に来れない事は無いが……。

厳つ霊を崇拝する平原地域と蛟の街を結ぶ山岳地域、

大きな道の有る岩山、岩砂漠部分に、大量の魔物が出現したらしい。


行商団的には、そこの魔物を退治しないと、蛟の街への行商は勿論、

東にある火山地域への行商にも行けず、物流が滞ってしまうと言う。


既に東の地域に使者を送り、援軍の要請は断られたが、

一般人の出入りを制限し、岩砂漠の北の道に来た魔物の始末は、

それなりに対応して貰える事になっていて、

南にある厳つ霊を崇拝する平原地域側からの道は、

戦えない者が入り込まない様に、

魔物が出て行かない様に護りを固めてあるらしい。


残るは、蛟の街の南にある北側からの道だけで、

警備をする者の派遣と、援軍が出せるなら、援軍が一番嬉しいが、

それが無理でも、蛟の街の他に存在しない、

回復魔法が使える者達を派遣して欲しい。と言う事だった。


最初の方、蛟は・・・

力を制限されてしまう水の無い場所への「子孫の派遣」を渋り。

力の制限を受けないが、近々、自分の夫となるメロウ。

メロウとの婚姻で妹になる予定の、元より大切に扱っているイデア。

妊婦のイデアルの派遣を断固拒否した。のだが…しかし……。


朱色の瞳をした。銀髪の蛟や金髪の初代宮司の要素を継ぐ、

色素の薄い蛟の子孫の者達は、

『水が無い場所で、力に制限が掛かるなら、邪魔ですね。

足手纏い以外の何者でもないなら、必要無いです。』との、

シナーピが口にした言葉に、過剰反応してしまい。

蛟の街の主戦力メンバーが、討伐隊参戦を表明してしまう。


そこに責任者兼、引率者として、ゲムマが出る事にしたのだが・・・

イデアが『父上は、妊娠中の母上と一緒に居て下さい!

水の無い場所で戦うなら、私の方が戦力になる筈です。』と言い。

『イデアは、僕かイグニス意外と連携取れないでしょ?

パーティープレイは連携取らなきゃ危険なんだよ?

僕のが適任だと思う』と、そんな話になって、安全策として、

ゲムマの代わりに、メロウとイデアが一緒に行く事となる。


その決定後、久し振りに直接話したシナーピは、

緊張した面持ちで、厳つ霊の主戦力となる者達の不在を告白し、

グロブス率いるトリタ神軍の遠征部隊が予定外の行商に出ていて、

戦力不足に陥ってしまい。必死だった事を伝え、

蛟とゲムマとイデアル、遠征に行く事になったメロウとイデアに、

静かに謝罪してきた。


メロウは、その予定外の行商の原因を担う1人だった為、

申し訳なく思い。シナーピに他の事は何も訊けず。

蛟は何か他にも、理由がありそうな雰囲気を感じ取ったのだが、

心が読めない事を理由に、断る事も出来ずに黙り込んだ。

ゲムマとイデアルとイデアは、

グロブスの娘さんで、イグニスの妹だからと安心してしまい。

今回の出来事を深く考える事は、無かった。

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