表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と・・し合いたい  作者: 上木 MOKA
第一章[子供の頃は……。]
11/39

011[異文化交流 1]

その日、イグニスは、メロウの宣言通り、泊まる事になり、

水不足の地域から来たイグニス的に、毎日入る習慣の無い「風呂」に、

メロウによって、半ば強引に連れて行かれ、生まれて初めて、

頭から体から全身、微かに美味そうな匂いのする泡立つ湯で洗われ、

湯船と混浴の初体験をする。


そこからの更なるイグニスの初めては、血縁者以外との布団の共有、

メロウとイデアの兄妹の部屋で、3人仲良く川の字で寝る事だった。


イグニスが『食い過ぎで動けない』と言ったのに、

『半身浴にしとけば大丈夫』と、メロウに連れて行かれた風呂は、

湖を一望できる景色の良い、源泉掛け流しの露天風呂。


一緒に来たイデアは、

『今日は、にい達の洗濯物は引き受けてあげる』と

脱いだ3人分の衣類を持って先に風呂へ行ってしまう。


服を持って行かれて慌てるイグニスに対し、メロウは、

『服や下着は、朝までに絶対に乾くし、

寝る時の服は貸すから、安心してくれて良いよ』と笑い。


『そうそう、湯船に入る前のルールだから!』と、

メロウは、泡立つ湯をイグニスの頭に掛け、髪を洗い。

イグニスは、その湯に入っていた布である程度、洗われ、

顔と体をそれで洗わされる。


その時、使われた美味そうな匂いのする泡立つ湯の正体は、

「ムクロジ」と言う植物の果実の「乾燥させた果皮」、

それから出た「出汁的な物?」と言えば、良いのだろうか?

取敢えず、洗うのに使われたのは、

「乾燥させた果皮」を扱いやすくする為に、

荒い布袋に入れてから湯に入れ、ふやかした物と汁だった。


その効果の程は良く分らないが、

『汚れを落とす作用の有る物だよ』と、メロウは言っていた。

つまり、イグニス的には、「良く分らない」物だ!が…、

そう、イグニスには、

その良さが何だか理解できない物だったのだが、しかし……。


『灰石鹸って、汚れ落ちは良いけど、臭いがね……。』と、

愚痴るイグニスの母や、妹が「好きそうな物」ではあった。

イグニスは、その為に、

体を洗うのに使った「洗い袋」なる布袋と中身が欲しくなり、

「母親への点数稼ぎ」と「不仲な妹との関係構築材料」を理由とし、

それを幾つか、土産用に貰って帰れる様にメロウに頼んでおいた。


メロウはシスコンらしく、

『妹と不仲なのは辛いよね』と、異様な程、イグニスに同情し、

『仕方ないから、糠袋も付けてあげるよ』と、凄く協力的だった。


そして、髪や体を洗い。

残ったムクロジの洗浄液と、使った洗い袋を再利用して、

衣類の洗濯を終えたイデアが、同じ湯船に入って来て、

『イグニスお兄ちゃんにも、妹さんが居るんだね』と興味を示す。


イグニスは、その興味に答える為、

来年の厳つ霊を祭る夏祭りの日に、6歳で巫女デビューする妹、

「シナーピの話」をイデアに話して聞かせ、

『イグニスお兄ちゃんの妹さんは、私と同い年だったんだね…

で、妹さんと仲が悪いから…ウチの兄妹仲を見てたのね……。』と、

イデアは、何故か安心した様な表情を見せ、同時に、

申し訳なさそうな顔をする。


イグニスは不思議に思い。

『どうかしたのか?』と、イデアに訊ねると・・・


『ゴメン、イグニスお兄ちゃん…私ったらてっきり、

お兄ちゃんの事、メー兄を女の子だと勘違いして、

舞台を観に来ている人の一人なんだと、思っちゃってたよ!

良かったぁ~…跡取り問題に発展しなくて……。

イグニスお兄ちゃんってば、メー兄にされるがままだったから、

メー兄が男でもOKとか、そもそも、元からそう言う人種って、

そんな落ちを想像しちゃってたんだよ!』と、

イデアがイグニスに対し、

とんでもない想像をしていた事が発覚する。


因みに、その思考の感染源は、メロウ曰く・・・

『僕とイデアの母親だよ、

母上ってば、男が仲良く2人で話してるのを見掛けると、

必ず「出来てるのかしら?」って、口癖みたいに言うんだ』と、

明るく笑いながら教えてくれた。


イデアは、その事を肯定し、

『メー兄が長男じゃなくて…次男以降なら……。

無条件でメー兄とイグニスお兄ちゃんの仲を祝福してたよ』と笑う。


イデアの想像がどの程度のモノなのか?

それが判断できていないイグニスは、顔を少しばかり引き攣らせ、

イグニス的に喜ばしく無い事を口走るイデアを捕まえて、

『頼むから、忘れろ!俺とメロウで想像した事を消去しろ!』と、

イデアのこめかみに拳を当て、少し強めにグリグリと押し付ける。


メロウもイグニスと同意見だったらしく、

『イデア…正直、そう言うのは、僕も笑えないから……。』と、

助けを求めるイデアを助けませんでした。


そんな、御風呂タイムを終え・・・

イグニスが驚く程、柔らかいタオルで、髪や体を拭いて乾かした後、

メロウの未使用の下着と寝間着を借りて着たイグニスは、

メロウとイデアの寝室で戸惑う。

薄く、柔らかく、手触りの良い寝間着や下着にも、驚かされたが、

寝室のベットには、もっと驚かされたのである。


その無駄に馬鹿でかいベットの上には、そのベットから、

はみ出すレベルの大きな魔獣らしき獣の1枚物の毛皮が敷かれ、

その毛皮は、驚く程に手触りが良く、手入れも行き届いていた。


イグニスが、その手触りを確認しながら、『何の動物だ?これ?』と、

その部屋の住人、メロウとイデアに話し掛けると、

2人は『『蛟の街を襲った獣の魔獣の成れの果て』』と答え、

先にベットに上り、メロウとイデアは、イグニスに手招きをし、

イグニスを真ん中にして寝転がり、

『取敢えず、寝てみなよ』と、イグニスにも寝転がらせる。

それから、『寝心地最高だろ?』と笑い。メロウがイグニスの為に、

今では、花の香りが微かに香る寝床に変身した毛皮の詳細を説明し、

気付けば、3人は何時の間にか、寝ついてしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ