顕現
「おはよ..」
少年が2階から降りてくる。
「おう、おはよう」
父が答える。こうして今日が始まる。
「そういや今日でお前も15歳か、はやいもんだ。思えば生まれる直前に流産とか言われて焦ったこともあったなハッハッハ」
「父さんまたその話かよ」
呆れた声で呟いた後、カップのコーヒーを一気に飲み干し家を出た。もうその話は何回聞いたかわからない。
「おい、永多起きろ」
先生の怒鳴り声で目が覚める。いつも通り眠たい教室だ。
「全く、なんでこいつは寝ても偏差値が70を超えるんだよ」
あまり授業では寝たくないがいかんせんつまらない内容だ。カフェインは摂ってきたのだが、2限で切れるようでは使えないな。
少年は背伸びをしてまた夢の中へ旅立った。少年はこのクラスの順位は1位だ。止める生徒は誰もいない。
そうこうしているうちに4限終了のチャイムが鳴り響く、そして少年はゆっくり起き上がる。
「起立、気を付け、礼」
会長の号令で昼休みが始まる。
「ここ机合わせようぜー」
「隣で食べよー」
クラスメイトが群れて弁当を広げる。少年は自己主張が苦手で、他人との接触を快く思ってないため昼休みは常に単独行動を貫いている。いつものように弁当を取り出し広げようとする、が突然手が止まった。身体が言うことを聞かなくなったのだ。
「トイレに行ってきます」
自分の意思ではない言葉を口にし、自分の意思ではない行動をとった。そのまま身体はトイレに行くことなく、階段を疾風の如く駆け上がり、屋上のドアを開き十月の空に放り出された。するとようやく自由が戻ってきた。そして何気なく柵にもたれた。
「お前は誰だ」
少年は薄々自分が何かに憑かれている事に気付いていた。屋上に来るまでに脳内で常にハイテンションな声が聞こえたからだ。
「「あちゃぁ、バレてましたか」」
脳に直接響くような声で誰かに語りかけられ、少年は首筋から何かが抜け出す感触を感じた。
初投稿で緊張しています。作者です。この作品はとあるLINEグループで趣味で小説を書いていたのですが、ここらでここに投稿してもいいんじゃないかと思って投稿したものです。至らぬ点やちょっとした誤字がもしかしたらあるかもしれませんので、生暖かい目で見守ってくれれば幸いです。今後ともよろしくお願いします。