00-『始まりは唐突に真っ暗闇から。』
2015 10/03 Start。
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「…あれ?ここってどこだ…?」
辺り一面真っ暗闇な空間で、俺――《近衛 悠》は目を覚ました。
あれ?俺って、確か友達から預かったゲームをやろうとしてたんだよな?何でこんな場所に居るんだ?
俺がやろうとしてたゲームは、友達がとある有名なゲーム作成ソフトで作ったゲームで、俺にテストプレイをして欲しいと頼まれたので受け取ったゲームだ。名前は確か《ダークワールド・クリエイティブ》だったかな?
手書きの説明が書かれたメモには、設備や軍を整えて、色んな事ができる。侵略や農耕、果ては世界征服も思いのまま!って書いてあった気がする。
「…あれ?ポケットに何かある。」
ポケットからカサカサと音がしたので取ってみると、一枚の紙きれだった。例のメモ書きかと思ったが、その説明文のメモではなく、また別の友達作ゲームの説明書のようなメモだった。
「何々…このゲームは、辺り一面真っ暗闇の、何もない空間からスタートします…ってちょっと待て!?」
俺はあたりを見渡した。…あたり一面真っ暗闇だ。何もない。
俺が今踏んでる地面は、暗闇にぽっかり浮かんでる浮島みたいな存在だ。だが、肝心の広さは2畳程度しかない。
嘘だろ?まさかここってゲームの世界?…いや、違う。あり得んだろ。よく考えろ?俺はさっきまでPCの前に居たじゃないか。
「それで、えーっと…貴方は手に入る資源を使い、施設や土地を開拓、生成し、自分だけの世界を作り上げる事が出来ます、か。…って、うわっ!?」
と読み上げた瞬間、突然目の前に変なウィンドウが現れた。えーっと…これは資源管理表か?
そこには、各種資源の保有量とかかれたウィンドウが宙に浮いていた。
==各種資源の保有量==
低級金属...0/1000 中級金属...0/1000 上級金属...0/1000 自然素材...50/10000 魔法素材...0/50
俺は目の前のウィンドウを眺めながら確信した。
…俺、友達が作ったゲームの世界に入っちゃってるわ。と。
「…どーすんのよ、これ。」
ゲームの世界に入っちゃった!っていうライトノベルとかは見た事ある。
…まさか、現実でも起きちまうなんて聞いてねえぞ。
しかも、向こうの主人公はまだしっかりとした世界に足を踏み入れてるのに対して、俺は三歩前に出たら暗闇に真っ逆さまな場所に居るんだぞ。どうしろって言うんだ。
「では、様々なコマンドを駆使し、ゲームをお楽しみください、か。…楽しめねえよ。」
メモはそこで終わっていた。何を楽しめというのか。こんな何もない世界で。
…だが、俺は諦める訳にはいかない。――だから、俺はこのゲームをクリアする事にした。