FXを始めよう! ~秒速で億を稼ぐたった一つの方法~
「金が欲しい」
「お金なんかなくたって私がいるじゃない」
「確かに君は最高だ。だが、君が完全にお金の代わりにはならないだろう。君のおかげでおいしい料理は食べられるし、風俗にはいかなくて済むし、オナホールは買わなくて済むが、お金の代わりと言えるのはそれだけじゃないか」
「私の存在価値ってそれだけなの?」
「何を言ってるんだ。札束で自慰が出来るわけじゃないんだ。君がいないとどうにもならない。何事にも役割がある。君もお金も、どちらもないといけないんだ」
「確かにそうよね。じゃあFXなんてどうかしら」
「FXってなんだい?」
「秒速で億が稼げるらしいわよ」
「いいね。早速始めよう……このレバレッジって何だ?」
「何倍かにすればより高い金が得られるんじゃなかった?」
「なら100倍だ」
「その調子よ」
○
「なんとか始められた」
「これでたくさんのお金が入って来るわね」
「ああ、すべて君のおかげさ」
「そんな照れちゃう」
「さあ景気づけだ」
アンアン
○
「あの女も帰ったことだし、エロ画像でも探すか。時代はトレジャーハント」
「なんだ? メールがきてる」
件名:性行するだけでお金も貰える――【サトウ ノリコ 様からの招待メール】
こんにちは。Fカップで29歳の人妻です。
私の旦那は年収3億、一流企業に勤めています。
お金もたくさんあって順風満帆に聞こえるでしょう?
でも夜の方はそうはいってないの……誰か助けて……
お金を差し上げますから夜のお相手をしていただけません?
もちろん体にもそれなりに自信があります。
せめて私の体を見てから私とエッチしてくれるかどうか決めてください……
「何ということだ……世の中にはこんな話もあるのか。こんなこと書かれていたらあの売女だけでは物足りなくなってきた」
「考えてみればFXで数字が大きくなることに喜ぶよりも、SEXでイチモツが大きくなることに喜ばれる方がサガにあってそうだ」
「さっそく添付された画像を……ん? パソコンが動かない。早く開いてくれないだろうか」
○
「なんて馬鹿な人。ウイルスにやられるなんて……でもそんな性欲旺盛な所も好きよ」
「いや、別に性欲なんてない。あのメールの女が助けてと言うからせめて顔を見てからでも決めようと」
「素晴らしいわ。いつも人助けをすることを考えているのね」
「俺は常に人助けをしたいと思ってる。西に色情症の女性あれば騎乗位で性欲をおさめてやり、東に売れない売春婦あれば後背位でお金を払う。そういう困った女性を助ける人間になりたいのだ」
「よし。これで直ったわ」
「久々にパソコンが使えるようになった。一週間ぶりだ」
「毎日直しに来たのに直せなかったもの。あなたがあんな邪魔をするから」
「そんなこと言ってるとまた下の口をふさぐぜ」
「もう、やだ……ところでFXは順調?」
「そういえば見てなかったな。言われなければトレジャーハントをしているところだった。久しぶりに見てみるか」
「わあ、凄いわ。資産が8ケタ目になってる」
「数字の前にマイナスがついてるけどね」
「さて、ロスカットしましょうか」
「ロスカット?」
「これだけの借金をして引くことよ」
「諦めるのはまだ早いだろう? ちょっとかしてごらん。俺の指捌きに見とれていてくれ」
「そうよね。あなたは粘り強さが取り柄ですもの。なにもベッドの上に限ったことじゃないわ」
「よし。金額を増やして一発逆転だ。ん? 緊急ニュースだ。よくわからないが、相場が一気に変動したぞ。おい! なんてこった、数値が一気に増えやがる! 勝利の女神が俺にケツを捧げだしたぜ!」
「忘れてるの? 数字の前にマイナスがついてるのよ」
「ベッドの上では絶倫だが、どうもこいつは不感症なのか俺のフィンガーテクが通用しないらしいな。ロスカットだ。諦めよう」
「そうしましょうか」
「……いつも言おうと思っていた。結婚しよう」
「なんでこんな時に?」
「なんでって。君とは一蓮托生だ。愛してるし、それにFX勧めてきたのは君だからな」
「そんな……」
「一緒に借金を返していこう。もちろんいいよな」
「ええ、いいわ」
「さあ早速この婚姻届にサインと印鑑を。別に連帯保証人でもいいんだけど」
「わかった。サインさせてもらうわ。それと私からも一ついいかしら?」
「何だい? 今借金が返済できるヴィジョンが見えてきたんだ」
「私があなたにやらせたのはFXのシュミレーションよ。実際今のあなたに借金なんてないの」
「何だって! ということは借金生活とはおさらばかい?」
「そういうわけにもいかないの。私、投資詐欺に遭っちゃって借金がすごいことになってるの」
「そんな……何ということだ」
「私とあなたとは一蓮托生よ。愛されているし、FXを勧めたのは私だもの。さあ婚姻届を提出しに行きましょう。頑張ってお金持ちに逆転しましょうよ」
「そんなの絶対に嫌だ」
「もう遅いわ。あなたの台詞はもう耳から子宮まで全てに響いているもの。ほら、おかげでビショ濡れだわ。さあ結婚しましょう!」
「結婚はいい。だが金持ちになることが嫌だ。どうやら金持ちになると夜はうまくいかないらしい。そんな生活を君とは過ごしたくない」
「じゃあ……借金まみれの私と結婚してくれるの?」
「それはいいに決まってる。まあ二人で頑張って借金を返済し平凡に暮らそう」
「あなた!」
「おいおい。流す体液が違ってるぞ。さあ景気づけだ」
アンアン