~プロローグ~
彩奈)スーースーー………。
執事)お嬢様、お嬢様。
彩奈)ん～～…。
執事)朝でございます。
彩奈)ん……もぅ？
執事)はい、学校へ行く
準備を致しましょう。
彩奈)そぅね…
今日もいつも通りの朝。
執事に起こされ、着替える。
執事)朝ご飯でございます。
彩奈)ありがとぅ。
ー椿嬢彩奈ー
今年から、中学3年生。
入学してからもう2年ちょっと
たつ、友達は結構いるし、
まぁまぁ充実した毎日を過ごしていた。
特別扱いされるのが嫌で自分がお嬢様だということを皆には
打ち明けられずにいる。
知っているのは、幼馴染の萊矢
だけなのが今、1番の悩みだ。
頭はそこそこ良く、背も高くて、スタイルも顔立ちもモデル級。
特技はピアノとダンスで、
将来の夢は歌手。
中1のときに染めた明るい茶色の
ストレート髪。
中1のときからわりと平凡な
生活を送ってきた。
普通に友達もいた。
それなりに恋もしたが、
付き合った人はいないから、
恋についてはかなりの初心者。
恋って…何？
そんなの…わかんない。
わかるのは、すぐに終わってしまうはかない恋、ただ、それだけ。
恋なんて別にしなくてもいい、
そう思ってたのに。
そんな中…君に出会った。
このまま平凡に終わるはずだった
彩奈の人生は、君に出会ったこと
によって変わっていく…。
いつものように学校へ行く準備を
していたとき。
執事に話しかけられた。
執事)お嬢様…
彩奈)なぁに？
執事)お嬢様とは、
今日でお別れでございます…。
ガチャン‼
スプーンを落とす
一瞬頭が真っ白になり、
動揺してしまう。
彩奈)…どうして？
執事)私はずっとお嬢様の
おそばについて
来られましたので、
私の使命が果たされたのです。
彩奈)出発の時間は何時ですの？
執事)今日の午後3時に
出発致します。
あまりにもいきなりすぎるじゃない…今までずっと側に
いてくれたのにどうして？
酷すぎる…。
それに光がいなくなったら
私の執事役はどうなるの？
彩奈)そんな、酷いわ…
攻めてギリギリの時間まで出発の
時間を遅らせられないのかしら？
執事)申し訳ございません、
残念ながらそれは出来ません。
彩奈)でも、光が居なくては
これから私の執事役は
どうされるの？
執事)それは、
ちゃんと手配しております…。
彩奈)そぅ、とても辛いわ…。
本当に行ってしまわれるの？
執事)はい。
「こんなにサラッと
済ませられるなんて、光は
どんな気持ちなんだろう？
でもどんな気持ちでも少しでも
長く一緒にいたい‼
今日だけならバレないよね…。」
彩奈)そぅ…じゃあ光リムジンを
至急用意してくれるかしら？
執事)はい…ですがどうしてで
ございますか？
彩奈)最後ですもの、学校の
近くまでリムジンで送って頂戴。
もう会えなくなるんだから
最後くらい良いよね…。
執事)わかりました
すぐご用意致します。
ブンブーンキー‼
リムジンの音
執事)リムジンが着いたよう
でございます。
ではお嬢様、
行ってらっしゃいませ。
彩奈)何を言ってますの？
あなたも行くのよ、光。
執事)え、私もでございますか？
彩奈)そうよ、早く乗って頂戴。
グィ‼
光の腕を引っ張る
執事)あっ!お嬢様‼
バン!ブィーン
ドアを閉めて出発
執事)お嬢様、どうして私まで…？
彩奈)私が学校から帰ったら光は
もう居ないのでしょう…
だから少しでも長く一緒に
居たいの…。
執事)お嬢様…(泣泣泣)
「泣かないでよ……最後は笑顔で
見送りたいのにもらい泣き
しちゃうじゃない…(涙)」
彩奈)……(涙)
キキー‼
学校到着
「今日は学校に着くのがとても
早く感じるなぁ
あ、どうしよう涙が
止まらないよ…。」
彩奈)光とはここでお別れね…(涙)
執事)はい、お嬢様…。
彩奈)…。
執事)お嬢様、
泣いていらっしゃるのですか…？
彩奈)いいえ、
泣いてなんか…ないゎ(涙)
執事)ですがお嬢様涙が…。
彩奈)わ、私は大丈夫ですゎ!
遅刻してしまうからもう行くわね
光、御機嫌よう…(ニコッ)
執事)はっはい、では///////
行ってらっしゃいませお嬢様…。
そしてさようなら…
でございます。
彩奈)ええ、御機嫌よう(ニコッ♪)
「最後は笑顔で見送って
あげれたから良かったけど、
さすがに寂しいなぁ…。
生まれたトキから私の傍には…
誰もいなかった…
母も父も仕事が忙しくて、
私はいつも1人だった…
そんなトキまだ小さかった
私を危ないからと母が
雇ってくれた執事が光。
その日から私は光にベッタリ
ずっと1人ぼっちだった私に
とって光は家族のような存在
だったから…。」
彩奈)光の代わりになる
執事なんているのかな…。
キーンコーンカーンコーン
教室にて
さすがにいつもみたいに教室に
入るのは無理があるけど…
せめて明るく入ろう。
【ガラガラガラ】
果奈)彩おっはー♡
教室に入って最初に話しかけて
きたのは同じクラスの果奈だ。
果奈は見た目も喋り方も
ギャルだが、素はとてもシャイな
とこがあって、友達思いで
優しいのだ。
彩奈)果奈、おっは…。
果奈)あれ？彩今日元気ねぇけど
大丈夫～？
彩奈)えっ!(なんでバレんの～‼)
あっ大丈夫よ…‼
ちょっと寝不足でさー…。
果奈)そっかー♡
ちゃんと寝ねぇと体壊すぞ～？
彩奈)おぅ、
ちゃんと寝るって♪(ニコッ)
果奈)あっ!彩やっと笑った♡
彩奈)え？もしかして…。
もしかして果奈私を慰めようと…
果奈)ま、まぁいいからっ‼
ほら、そういうのぅちのガラ
じゃないし‼
ねっ？
彩奈)あぁ、わりぃな心配かけて
果奈)大丈夫☆
実は寝不足じゃねぇんだろ～？
ホントは今日なした？
彩奈)実はさ、今日執……
じゃなくて!ちょい果奈トイレ
付き合って‼‼
果奈)あぁ？ちょ、彩‼
【タッタッタッタッ】
トイレにて
果奈)はぁ…はぁ…
いきなりなしたよ彩？
彩奈)……ちょい腹痛くてさ
果奈)えぇ？彩大丈夫～？
1時間目体育じゃん‼休んどきな‼
先行に言っとくからよ☆
彩奈)……おぅ、そうするゎ
果奈)じゃあ、うち授業行くゎ‼
ゆっくり休めよ～‼
彩奈)おぅ!ありがとな☆
体育館にて
結局授業サボっちゃった…
さっきはホント危なかったー
これからはもっと
気をつけないとなぁ…。
彩奈)はぁ…。
裕)よぅ!彩何してんだ～？
彩奈)あ、裕うち……
果奈)おい裕‼
彩は今具合わりぃんだから
話しかけんな‼
裕)あぁそんで体育出てねーのかー!
果奈) (ピキッ!
いいから来いっつーの‼
【グイッ!】
裕)イテテテ‼おい泉！
果奈)あぁ~⁉
たまには名前で呼べよ～？
裕)あぁ～？
お前もぅ忘れたのか？
俺は彩奈以外の女子は
名前で呼ばねぇっつっただろ？
果奈)そぅだけどさ～、
うちらいちおー友達じゃん？
だ・か・ら名前で
呼んで欲しいワケ!わかる？
裕)泉お前…………
俺にホレてんのか？w
果奈)はぁ~⁉
何でそうなんだよっ‼
うちには彼氏いるんだからな‼
裕)あはは‼冗談だってww
彩奈)はぁ～、アンタ達
ホント仲良いね～♪
果奈)はぁ～？
彩奈)ほら、
ケンカする程
仲が良いっつーじゃん？
裕)彩!俺達それとはまた別だゼ？
果奈)そぅだよ~‼
彩奈)そうかー？
まぁいーかーww
果奈&裕)良くねーゎ‼
彩奈)あっ!ハモったー‼ww
皆)あはは～♡
【キーンコーンカーンコーン】
果奈)ヤバッ!鳴っちった‼
彩またな‼
彩奈)おぅ!
裕)よし、俺達も行こうゼ☆
彩奈)おぅ!
授業中
↓
彩奈)(はぁ～、今日から執事
変わんのか～どんな執事だろー。
光より厳しいだろーなー
イケメンがいーな♡)
【キーンコーンカーンコーン】
彩奈)ふぅー、疲れたー‼
裕)俺も～、授業だる～‼
彩奈)だよねー‼
裕)あっ‼それよりさ、
彩今日一緒に帰れるか？
彩奈)えっ？いいけど…
裕)よし、泉もか？
彩奈)もち♡
裕)ＯK☆
じゃ掃除終わったら玄関なっ？
彩奈)了解‼
裕)じゃ、後で‼
【タッタッタッ】
教室にて
果奈)彩～‼
彩奈)ん？あぁ、果奈!
果奈)ゴメ～ン‼
うち今日緊急で部活に
なっちゃった～
彩奈)え～‼
じゃ、一緒に帰るのムリ系？
果奈)うん 一緒に帰るのは
またってことで‼
ホントゴメン‼
彩奈)大丈夫よ‼
じゃ、またね♡
果奈)うん‼じゃーねー☆
(タッタッタッタッ)
玄関にて
彩奈)裕遅いなぁ…。
裕)わりぃわりぃ～
今終わったゎ‼
彩奈)遅いしー。
裕)わりぃわりぃ
そんじゃ、行こうゼ☆
帰り道にて
彩奈)おぅ!
裕)あれ？果奈は？
彩奈)なんか急に部活に
なっちまったから
また今度だって～。
裕)あぁ？マジかよ～
じゃ、とりあえず行くか‼
彩奈)おぅ☆
しばらくの沈黙…………………。
裕)なぁ、
彩奈)ん？
裕)そういや、俺等2人で
帰るのなんて初めてだなっ‼//////
彩奈)い、いきなり何さっ‼
変なコト言うなょ!
なんか恥ずいじゃん…///////
裕)お、おぅ‼わりっ
彩奈)おぅ…/////
裕)なぁ、そういや俺彩ん家
行ったコトねぇよな…？
彩奈)えっ？あぁー!
そうだね～
裕)今日ついでに寄って良いか？
彩奈)え⁉
(ヤバイ‼家なんか行ったら
絶対バレるっ)
裕)ダメ…なのか？
彩奈)きょっ今日はムリだゎ‼
ゴメン
あとうちこの辺だからっ
じゃねっ‼
【タッタッタッタッタッタッ】
裕)あぁ？っておい‼
彩奈)ふぅー…
思わず走っちゃった～
変な奴だと思われたべな～…
【ガチャ】
彩奈)ふぅ、ゴホン…光、
ただいま~って…いないんだった…
あの～誰かいる～？
？)おまえが椿嬢彩奈か？
彩奈)えっ‼あ、はい!
私ですけど……。
えっ…この人誰？
しかもおまえ⁉初対面なのに
めっちゃ失礼!
でもすっごくイケメン…❤︎
？)なるほど…今回は猫被り娘が
俺の主人か…（笑）
さきからこの人なんか
ブツブツ言ってるケド…マジ誰？
？)申し遅れたな、俺は
風間千景という者だ。
風間千景…だから誰ー⁉
まさか不審者とか…‼
彩奈)あの…自己紹介とかしなくて
良いんで帰ってもらえません…？
千景)ぉ前まさか…聞いてないのか？
彩奈)変なことばっか言ってたら
うちの執事を呼びますよ‼︎
千景)ほぅ？呼べるものなら
呼ぶが良い(笑)
不気味な笑いだな…
てかイケメンなのに性格悪っ‼︎
彩奈)じゃあ本当に呼びますからね!
ひか…
そうだ…光はもういないんだ。
千景)で？お前の執事は何処だ？(笑)
彩奈)…ない…
千景)あ？
彩奈)いないの…(泣)
千景)ああ、知ってる。
彩奈)え？どうして？
千景)俺はお前の元執事の
白浜 光にお前の執事役を
任され、ここに来た。
彩奈)え‼︎光が⁉︎
千景)そうだ。
彩奈)ってコトはまさか…
千景)今日からお前の執事として
ここに住むコトになった
風間 千景だ。
彩奈)ウッソォーーーーーーーー‼︎‼︎‼︎
こうして、私の新しい執事との
新しい毎日が始まった。
