旅の再開
「痛い・・・」
俺はベッドに腰を掛けながら奈々に殴られた頬を押さえていた
「ご、ご主人様があんなこと言うから悪いんだもん」
奈々は頬を膨らませてそっぽを向いた
「旦那様、大丈夫ですか?」
桃はそう言いながら、おにぎりを1つ差し出してきた
「ありがと」
俺はそれを受け取った
「はい、奈々」
「ありがとう」
桃は奈々にもおにぎりを渡し、俺の横に腰掛けてきた
「そういえば、なんで奈々はパジャマを?」
「ああ、このパジャマは桃に貸してもらったの」
「桃に?」
俺は桃の方をみて言った
「そうよ、だって奈々の服が汚れてたから洗ったの」
「そうだったんだ」
「そうだ! 旦那様、おにぎり食べ終わったらお風呂に入りません?」
「え?」
「その間に服を洗いますので 疲れも取れますよ~」
その言葉を聞き俺は桃を助けた時のことを思い出した
走って汗をかいたな・・・
臭いとか大丈夫か!?
俺は恐る恐る自分の服の臭いを嗅いでみた
よかった・・・
臭いは大丈夫みたいだが、お風呂に入っておこう
「じゃあ、お風呂に入ろうかな」
そう言って俺は食いかけのおにぎりを一気に口に入れて立ち上がった
「奈々はもう入ったのか?」
「ええ」
「分かった 桃、お風呂どこ?」
「そこです かごの中に洋服を入れといてください」
そう言って桃は玄関の近くのドアを指差した
「了解」
俺はそのドアを開いて中に入った
服を脱ぎ、奥のドアを開けるとそこにはお風呂があった
早速、俺はお風呂に入った
「最高だ」
俺の口からは自然にその言葉が出た
ちょうどいい温度のお湯で癒された
「旦那様 申し訳ありませんが、服が乾くまで私の服で我慢してください」
ドア越しに桃の声がする
「ごめん ありがとう」
「いえいえ」
数分後、外から桃と奈々の声がしてきた
「奈々、それじゃ洋服にしわができちゃうわよ」
「え? じゃあどうやるのよ桃」
洋服を外に干しているらしい
あの2人、仲良いじゃん
そんなことを思いつつだんだん眠くなってきたので俺は風呂から出ることにした
バスタオルで体を拭き置いてあった服を見た
その服は思っていたより普通で俺は安心した
服を着て俺はドアを開けた
だが、家の中には誰もいなかった
「外かな」
俺は濡れた髪をタオルで拭きながら外に出た
「桃、これってここでいい?」
「そうそう」
2人はまだ服を干していた
「俺も手伝うよ」
そう言って俺は2人に近づいていく、だが・・・
「もう終わりますから」
「ご主人様はゆっくりしてて」
即答だった・・・
「はい・・・」
そう答えるしかなかった
数分の沈黙が訪れた
なんか話題ないかな・・・
「そうだ! 服はどのくらいで乾きそう?」
「う~ん、私と旦那様が結婚するくらいには乾くかと」
「そうか・・・ じゃないよ!!」
「そうよ、そうよ!」
桃の言葉に俺と奈々は反応した
「この天気だったら午後には乾くかと」
桃は今度は普通に答えた
「そうか~、ありがとう」
「なんか急ぎの用事でもあるんですか?」
「鬼退治さ」
「鬼退治!?」
「ああ、そのために俺と奈々は旅をしているのさ」
「そうだったんだ・・・」
「ああ」
「だったら・・・」
「だったら?」
桃は急に口ごもり数分たち
「旦那様!私もついて行きます!!」
「「え!?」」
思いもしない言葉に俺と奈々は声をあげた
「桃!? 危険なのよ?」
「奈々だって行くんでしょ だったら・・・」
「駄目だ!」
俺は桃に言った
「なんでなの旦那様、ずっと一緒に居ようって言ってくれてたのに」
「言ってねー」
「私の始めてを旦那様にあげたのに…」
「え!?」
俺が反応する前に奈々が反応した。
「ご主人様!桃に何をしたの!!」
「何もしてないよ!」
「本当のところ、どうなの桃?」
奈々は桃に聞いた。
「そんなの、恥ずかしくて言えないわ」
頬を赤く染めて奈々は言った。
「そう……」
奈々がそう言ってから俺の方にゆっくりと歩いてきている。
このままじゃやばい!
「も、桃、ウををつくのは止めてくれよ」
「私はただ旦那様の傍にいたいだけなの」
奈々はどんどん近づいてきている。
「わ、わかったから奈々を止めてくれ」
「はい、旦那様」
そう言い、桃は奈々の前に立ち塞がった。
「どいて桃、私はご主人様と話があるんだから」
「さっきのは全部嘘よ」
「え?そうだったの!?」
奈々は驚きつつも何故か嬉しそうだった。
「ま、まあ、私はご主人様を信じていたけどね」
うそつけ!!
と言いたかったが、言うとまたややこしくなりそうなので止めた。
「旦那様、私も着いて行くから」
「わかったよ。でも、無理とかはするなよ」
「分かりました」
結局、桃も一緒に旅をすることになった。
午後になり旅の準備を始めた。
服を着替えて準備が完了した。
「じゃあ行こうか」
「ええ」
「はい」
桃はとても元気だった。
こうして俺達の旅が再開した。