4 初めて学ぶ魔法
今日と言う一日は、私にとって大変な時だと思う。
休み時間になって、一休み。
学園生活が始まったばかりなのに、なんか疲れてしまった。
――どうしてだろう。初めてのことばかりだからかな。
私は疑問に思うが、それは身体に聞かないとわからない。
そして、そんなふうに過ごしていると、一限目の授業が始まるチャイムが鳴った。
みんな一斉に教科書を出した。
私も同じように出した。
これから本格的な授業が始まるのだと思った。
でも、その前にいろいろと決めるものがあるはずなのに、しょっぱなから授業の開始というつらさがあるが、それを乗り越えなければいけないと心の中で思った。
そして、教師は、
「教科書の二ページを開いて、今から数学の勉強をするぞ。中学の復習はしないから、バンバン進みから覚悟しておけよ」
そして、この教師は、男。
すんなりとした体に、メガネをかけている。それにスーツを着ている。大体、三十七歳くらいの年齢だと思う。
結構厳しそうな教師に見えるけど、そこの所はわからない。
それに、始めての授業なのだから、わかりっこなどない。
私は、一生懸命に授業に参加することを決意した。
そして、数学の教師は、
「それじゃあ、第一章の数と式から進めていくぞ。じゃあ、最初は整式の整理だぞ。ここは、少し中学の内容と同じだから、バンバン進めるからなぁ」
そんなことを言って、魔法ペンを持って、黒板に書き始めた。
――第一章数と式。第一節整式。〇整式の整理。着目した文字の部分……。
と続けて書き始めた。
やはり、黒板に書かないだけきれいに見える。それに、見やすい。
さすが、お嬢様学校と言える。
それでも、私がついていけるかは見当がつかない。それでも、頑張るだけ。
そして、ハードな授業に耐えた私は、五十分後にはダウンしていた。
休み時間になって、私は中学までと違う速さに驚かされた。
また、黒板に書かれている文字の多さにもびっくり。
そして、先生は
「次行くぞ。次行くぞ――」
の繰り返し。
勉強なんかついていけないと思っている私に、知美がやってくる。
「どうだった、あの授業?」
「早くって、追いつかないよ」
「そうなの。あれが普通だよ」
なんていうけど、私は、
――あれが普通だったら、飛ばしたりしたら無理だよ。
普通に思った。
そして、その前に休み時間なのに、勉強している人たちがいるのにも、びっくり。
すると、
「これが普通だよ。この学校ではね」
と言ってきた一人の女子生徒。
それも、同じクラス。
そして、私も知らないと思ったとき、
「あれ、結衣じゃないの。同じクラスだったんだ」
と知美が言った。
私は、
「誰?」
と質問を投げかけた。
知美は紹介するように話した。
「この子は、小学校の時同じ学校だったんだよ。名前は、浅井結衣っていうんだよ」
ということは、知美の友達だ。
私は一安心した。知美以外に、友達ができたことに……。
時間になったのか、チャイムが鳴り、二限目の授業が始まる。
五十分が経過した。
まだ二限目が終わったというのに、疲れは六限目が終わったくらいなのだ。
でも、本当の六六限目まで耐えなくちゃいけない。
それよりも思ったことは、いまだ魔法の勉強をしていないことだ。
そして、私は教室に貼られている時間割をチェックした。
すると、次の授業は初めての魔法基礎と言う名の科目だった。
どんな内容だかわからないので、教科書を捜した。でも、教科書がなかった。
そのほかにも、魔法関係の教科書が見つからない。
私は不思議に思った。科目があるのにないということが……。
そして、授業が始まるチャイムが鳴り、私は席に着席をした。
そして間もなく教師が入ってきた。男性だった。
普通ぐらいの体系に、イケメン顔をしていた。年は若そうに見える。
そして、教師は、
「それでは、始めます。号令をどうぞ」
その合図で、
「起立。礼、着席。」
みんなが座ったのを確認して、教師は話し始めた。
「それでは、授業を始めますが、その前に僕の名前を教えておきます。覚えてください。僕のことは先生でも、名前でもいいです」
と言って、教師は名前を書き始める。
――中島祐介。
この教師の名前らしい。
教師は話し始めた。
「これからよろしくお願いします。それでは、授業に入りますが、授業の仕方について教えます。このことは魔法の科目には同様のことが言えますので、覚えているようにお願いします」
私はそれよりも教科書がどういうのなのか知りたかった。
だけど、祐介先生は話を続けるみたいだ。
「魔法とは、どういうものなのでしょう。異常現象なのか、それとも使う道具なのかどうか、わかりますか」
それを聞いた一人のことが、
「使う道具じゃないですか」
「なるほどね、それは半分正解。そして半分は、使いこなす道具でもあるということです。これだけは、知っておきましょう。そして、この魔法は世界を滅ぼすこともできるし、どんなこともできてしまう恐ろしい道具でもあるのです。それも覚えておきましょう」
私は、
――恐ろしい道具? じゃあ、教えなくちゃいいじゃないの。
なんて思った。
すると、祐介先生は、私の心の声が聞こえたのかのように、
「もしかしたら、そんな道具を教えなければいいじゃないみたいなことを思う人もいるでしょう。だけど、今の時代では教えなくちゃいけない内容になっているのです。また、魔族が攻めてきているという状況です。それに対抗できるように作られたものでもあるのです。ですから、正しい使い方をしましょう」
私は、ここで魔法がどのくらい危険なのか、魔族の力が魔法がなければどうにもならないことをすべて教わった。
そしてこれから、授業について語られることになった。
「それでは、授業の話に戻します。魔法の科目はすべてこのペンで行います。じゃあ、全員に配ります」
と言って、祐介先生はみんなに魔法のペンを配った。
これこそが、すべての魔法を使うことができるようになっているものである。
たとえば、そのペンを持っていると、習った魔法や、ペンを使って戦うことができるようになるという。それに、飛ぶこともできるようになるというが、それはもっと使い方をマスターしないとできないらしい。
と言うことは、このペンで、魔法全般の技などができてしまうということだ。だから、こんだけ、詳しく教えているのだ。
そして、まだ祐介先生の話は続く。
「そのペンを使って授業をしますので、必ず離さずに携帯してください。それでは授業に入ります」
だけど、授業に入る前に教えることを覚えだしたらしく、困っている生徒に言い始めた。
「ごめん、その前に教えることがあったよ。それは教科書の開き方。ペンのてっぺんにボタンがあるから、それを押して、『open magic book』と唱えると教科書の形が出てくるのです」
みんな、すぐに理解したらしく、すぐさまやって見せた。
そして、私もうまくできた。
あれから、三十分くらいたったところで、チャイムが鳴った。
そして、授業を終わりにする前に、また祐介先生は話す。
「教科書を閉ざす時は、『close magic book』と唱えると、教科書が消えるからね。それでは、授業を終わりにします。ありがとうございました」
と言って、教室を出ていた。
私は魔法の勉強ができてよかったと思った。