2 知美との出会い
一週間過ごしてきた私だが、少し慣れない。
だけど、この学園は相部屋としても、まさかの主人公と一緒とはわからなかった。
まさかの先輩たちと相部屋になるものであるのに、物語が変わっているみたいだ。
びっくり仰天。
だけど、どんな結末になるのが、この世界で生きていくうえでの楽しみになるかもしれない。
そして、今日は入学式。
ホールで行うらしい。男子も一緒らしいのだが、どんな人たちがいるのか楽しみ。
それよりも異例なことが……。
この物語の記憶が少しずるあいまいになっているように感じる。
なぜだか知らないが、この物語だけの記憶がだんだんと消されている。
そんなことで、入学式までにはなくなってしまった。記憶が……。
それに、なぜか知らないが、新しい記憶がセットされた。
それは、この世界でのシナリオだ。
それが、自分の言葉になっている。
私は何が起きているのか全然わからない。
そして、私はこのときには、二次元の世界の人間だと意識し始めてしまったのだ。
そして、入学式では異例なことを言われた。
それを言ったのは、学園長だった。
「君たちは、魔法を使って魔族を排除する役目をしてもらいます。この国では本学園だけが魔法が使える人たちがいます。それに、魔族には魔法以外効きません。ですから、あなた方の試練になるということです」
私は少し混乱した。
いきなり、魔族を倒せと言われてもどうしようもないと思ったからだ。
そんな重要な情報がいわれた入学式は何とか終わり、寮へと戻る。
なぜだか知らないが、主人公である知美とは初めて会うような気がしたし、どこかであったことがあるような気がした。
私にはどっちの勘が正しいのは判断できない。
私も私で、意味が分からなくなっている。
それでも、一生懸命理解しようと頑張った。
自分の部屋へと戻ってきた。
相部屋は、二十畳程の広さに、テレビやエアコン、机からベット、本棚などの、生活に必要なものがすべてそろっている。
まさに、お嬢様学校と言った感じだ。
そんなことで、私は知美と話すことにした。
「ねぇ、知美ちゃんってどこから来たの?」
「私ですか。私は、田舎の方です。あまり裕福ではなかったのです。だけど、ある日を境にお金持ちになりました」
「そうなんだ。丁寧語じゃなくてもいいんだよ」
「そうですか。わかった、それじゃあ、優実はどこから来た?」
「それは……、スクエア都市から来た。そこはすごく未来でいいところだったけど、あまりにもうるさいんで、ここに来たいと思ったんだよ」
私は思った。
――何で、思ってもいないことがバンバン言葉として出てくるの。異例だよ。これ~。
この現象が起こっているのは私だけなのか、少し不安。
そして、まだ会話は続く。
「それで、ここに来たのは、何でかな?」
「それは……、最高の高校生活ができると思ったからなんだよ」
「そうか、私はなんかあごがれてかな」
そんなことを話しているうちに、話が盛り上がってしまった。
「それより、すきなひととかいるの。私知りたいな」
と聞いてみると、
「う……うん、いるんだけど、私と釣り合うかは……」
そんなとき、頭の中にはこんな言葉が浮かんできた。
それは、自分が考えたものではない。
やはり、二次元の世界と言うこともあって、設定などの物は原作者が考えているものだと思った。
だから、私はこの世界に転送されて、物語が変更されたのかもしれない。
記憶がなくなっても、普通のことは覚えている。
と言うことは、すべてのこの物語の記憶だけが消えただけだった。
そんなことで、私は考え事をしていた。
そして、
「どうしたの? なんかボーっとしてたよ」
「あ……ああ、大丈夫。少し考え事をしていただけだよ」
「そうなの? でも、大丈夫ならよかった」
私はなんか友達に心配されて、少し心が温かくなった。
そして、私は
「すきなひとにアピールできるといいね」
と言った瞬間、知美は顔を真っ赤に染めてかわいいかった。
こんな話で盛り上がって、夕方になっていた。
そして、夕食の時間になり、食堂へと集合と言われて行くと、今までに見たことないほど、豪華だった。
すしや肉から、和洋中がすべてそろっている。やはり、お嬢様学校と言うだけある。
それに、デザートなどもあって、とても豪勢。
――こんなにも、いろいろなものがあるなんて、さすがだね。
私は、この学園に来てから、驚かされることばかり。
さすがだな、なんて思っちゃう。
そんなことで、私は知美と一緒に食べて、部屋へと戻った。
そして、お風呂の時間になり、大浴場へと足を運ぶ。
ここもすごい。
お風呂の数が十個くらいある。
それに、すべて体にいい、お風呂だというこだわりぶり。
びっくりすることばかり。
私は、お風呂に入って、部屋へと向かう。
そして、少し勉強をして、フカフカのベットでぐっすりと眠った。
この世界は、とても大変だというのは、今このときはわからない。