命令ゲーム4 命令ゲーム
泣き顔が笑顔に変わって、少しだけ皆の心が緩む。
真実はそれはいい事だが、緩み過ぎてはいけないと感じた。
だから、今度は笑顔を真剣な顔に変えて、皆に話した。
「クリアする事は決めた。でもまず、何で3人が死んだのかを解かないといけない。」
皆で絶対にゲームをクリアしようと決意した
まではいいが、決意だけでは何も変わらない事を真実は知っている。
だから、この時に今やるべきことを真実は言ったのだ。
「まぁ、とりあえず、4番の奴は手を繋ごう。」
「分かったわ。」
「僕ですね。」
2人しかいないことからの安堵の気持ちから
優気と奈々子は、また少し笑って手を繋いだ。
♪〜♪〜♪〜
「もしもし」
「4番ペア成功です。」
それだけを伝えて電話は切られた。
電話をポケットに閉まった真実が2人に向かって親指を立てる。
2人は再び少し笑ってから、真剣な顔つきに表情を戻した。
真実も同様だ。
「さて、俺もだけど、その前に6番の勇気たちが問題の3人グループだ。」
「同じ事になるけど、結局、答えが分かるまで考えるしかないだろ。」
真実に真が言い返す。
言ったのは真だが、皆思っていた。
死にたくなければ謎を解け。
選択肢はその一つしかないからだ。
真実は1人、目を瞑って思考を巡らす。
他の人も真実と同様の人がほとんどである。
約30人もの人間が一つの謎に挑んでいるにもかかわらず、問題は解けない。
解けていないのに、時計の針は無情にも止まる事なく回り続ける。
そして、逆らうことのできない時間という絶対が12時57分を指した。
♪〜♪〜♪〜
「はい。」
「まもなく13時です。5番の人は、命令を実行してください。」
電話が切れる。
それと同時に真実が言う。
「とりあえず、5番!!」
「分かった。おい早苗!」
「私ここ!!」
龍が、手を挙げた早苗のところに駆けつけて、その後は手を繋ぐだけ。
2人なら、たったこれだけ……。
♪〜♪〜♪〜
「はい。」
「5番ペア成功です。次は注目の3人グループ」
真実たちの死を楽しみにしているかのような言葉を残して電話は切れた。
真実はブチ切れたい気持ちを堪えに堪えて、問題を解く事に集中した。
しかし……
解けない。
13時30分……謎は解けない。
14時00分……電話が来た。謎は解けない。
14時30分……謎は解けない。
14時54分……謎は解けない。
謎が……解けない。
「もう無理!!」
「やばいよ……」
「もう、一か八か……」
実と千秋と花がそれぞれ言った。
そして、今度は声が重なる。
「「「もう時間がない!」」」
14時59分…ギリギリで実が花よりも近くにいた千秋の方に走りながら手を伸ばす。
「千秋!手かせぇ!!」
突然の中、戸惑いながらも千秋は実の手を握った。
♪〜♪〜♪〜
フラッシュバックはまだ、起こっていない。
死へのレクイエムなのか、生を勝ち取った宴なのか、教室を包むコールが鳴り響く。
真実が素早く電話に出てコールを止めると共に聞いた。
「どっちだ!!」
「6番ペア……成功です。」
「せい……こう…」
「うわあぁぁぁぁー!!やったぁ!!」
思わず3人以外の全員が手を挙げて喜んだ。
実と千秋と花は、力が抜けて地面に倒れる。
そして、大泣きした。
生きてる事。いつも当たり前に思っていた生きているという事が、ただ嬉しかった。
本当に嬉しかった。
皆がまだ喜んでいる中で、真実は1人、ある事を疑問に思っていた。
それは、手を繋いでいない花が生きていることである。
「手を繋げという命令で手を繋がなくても生きていられる……?」
真実は疑問をそのまま呟いた。
その自分の呟きで、真実は……すべてを解く鍵を思い出した。
「命令ゲーム!!」
次に出た言葉は、すべてが解けた事の証明の言葉だった。
そう。真実が思い出したものは、子供の頃によくやった…命令ゲームである。
命令ゲームとは、命令をする人とされる人を決めて遊ぶゲームである。
命令される人はする人の言った事は必ずやらなくてはならない。
しかし、命令をする人が最初に「命令」と言った場合のみに限定される。
逆に、「命令」と言われていないのに行動してしまった場合、その人は失格となってしまうというゲームである。
このゲームが真実が思い出したゲームと同じ
だったなら、「命令」と言われていない人は手を繋いではいけない。
だから繋いだ時点で失格=死。
逆に「命令」と言われた人は今日は「命令」と言われたペアの人としか手を繋いではいけない。
だから他の人と手を繋いだ時点で失格=死。
そして、残されたもう1人も手を繋げる人がいなくなるのでその時点で失格=死。
すべてが一つに繋がった。
すべてが解けた。
しかし……
「こんな事で…こんなふざけた理由で…あいつらは…」
謎が解けてあったのは、喜びではなく、悔しさだった。
そして、絶対クリアしてやるという気持ちが真実の中で大きくなっていった。