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the god of death  作者: hayate
2/17

命令ゲーム2 気付き

真実たちの目の前で教師は死んだ。


人の死を始めて目で見て、肌で感じた。

テレビや漫画なんかとは訳が違う。

今まで人であったものが、ただの物になってしまった嫌な感覚。


「…………………」


言葉が出ない。口が重い。

好きなんかじゃなかった。むしろ、嫌いだった。

なのに、最後に思い出すのは先生の優しさばかり。

先生が死んでから13秒後、先生の死体は白い靄に囲まれ、靄が消えると同時に消え去った。

『なっ⁉……』

口に出して驚く者はいなかったが、心の中では誰もが驚き、恐怖していた。


「♪〜♪〜♪〜」


静かになった教室で、荒れた息と着信音が耳障りに響く。


「もしもし。」


電話に出て着信音を止めたのは、真だった。


「1番ペア成功です。なお、片原 智はこのゲームの存在に気付き、止めようとした。このゲームの参加者以外がこのゲームの存在に気付き、ゲームの妨害をしようとした場合、その人間には死んでもらいます。……まもなく10時です。2番の人は命令を実行してください。命令違反者も死んでもらいますので注意を。」

「…………………」


何も言い返せないまま……電話は切られた。

先生の死について、ゲームの終わらせ方、何故こんな風に人を殺せるのか。

言いたいこと、聞きたいことはたくさんあったのに、結局、真は何も言えなかったのだ。

さすがの真も、まだ先生の死の直後で冷静ではなかったのだろう。


「命令に従わない者、ゲームの妨害をしようとする者は殺されるらしい。」


真の発言を聞いて、ほとんどの者が顔を下にして呟いた。


「そんな理由で……」


納得出来る理由なんか、あるわけないことは分かっていた。

それでも、それを期待していた。


「はぁーふぅー」

大きく深呼吸をすると、さっきまで青ざめていた真の顔は、いつもの力強い真の顔に戻った。


「いつまでも泣いてるだけじゃ変わらない!このままじゃ俺たちだって死ぬかもしれない!全員気合い入れろ!!」


同じく青ざめていた皆の顔にも気合いが入った。

『こんな時なのに真は本当にすごい奴だ』と真実は心の中で呟いて涙を拭った。


「よし、まず手を繋げばいいことは変わらない。2番は手を挙げてくれ!」

すぐに2番の本田 美紀子が周りを見ながら言った。

「2番は私よ!早くしなさいよもう1人!」

「お前かよ。」

神川 神也が美紀子に近づいて嫌々手を出した。

「お前らこんな時まで喧嘩してんなよ。」

神也と美紀子のやり取りを見て皆は笑った。

こんな時なのに、いや、こんな時だからこそ、いつもの仲の悪さが可笑しくて笑った。

「私で悪かったわね!」

美紀子も怒りながらも、手を出して、神也の手を握った。


「♪〜♪〜♪〜」


もちろん、電話が掛かってきた。

もちろん、真が出る。


「手は繋いだぞ!」

「はい。2番ペア成功です。」

「お前は何なんだ!何のためにこんなことをしている!」

必死の思いで真は声を出した。

しかし……無情にも答えは返って来なかった。


「何だって?」

皆の期待した顔をまっすぐ見れず、真は目を逸らて答える。

「2番ペア成功。それ以外は何も言わなかった。」

「そっか……」


皆の残念そうな顔が、真の心を打つ。

「ごめん……」

自分が悪いわけじゃないのに、真は頭を下げて謝った。

「真君のせいじゃないでしょ!気にしないでよ!」

女子がすかさずフォローする。


「でも……これからどうすれば……」

真は珍しく弱気に言った。

それを聞いて、今度は真実が珍しく強気に言った。


「おいおい!完璧超人の宮崎 真がそんなんじゃ皆がまた、青ざめちまうだろ!俺も皆も、お前の凄さに期待してるし、信頼もしてる!だから頼むぜ!」


それを聞いて、真は大笑いして返す。

「……何言ってんだよ!俺は逆に、お前に期待してるんだ!お前はこういう時こそ光るものを確かに持ってる!お前が皆を引っ張れよ!なっ!」


「俺が⁉」

真実は『何を馬鹿なことを』と思ったが、皆は真実を見て頷いていた。


すると、実が真実の肩を組んで言う。

「そうだぜ真実!2年前の遠足で俺が迷子になった時、お前は俺を完璧な推理で俺を見つけてくれた。お前はこういう時にこそ力を発揮するんだよ!俺はお前の言う通りにするぜ!」


真実が周りを見ると、皆が、笑顔で言う。

「俺も!」

「私も!」


それは言うまでもなく、真実への信頼と期待からの言葉だった。

真実は嬉しかったし、この信頼に応えたいと思った。


「よし!これからは俺が皆をまとめる!まだ、11時まで46分もある。今のうちに、ペアをはっきりさせておこう!」


「賛成!」


こうして、全員が一ヶ所に集まった。

すると、ペア確認の前に聞きたいと言って、愛が質問した。


「皆は、電話でどんなこと言われたの?最初の時みたいに曖昧じゃなくてしっかりさせれば、何かあるかも……。」

「そうだな!」

「えーとたしか……」


注意して聞いていたわけじゃないから思い出すのは至難だ。

まるで、夢を思い出そうとするように、はっきりしない。

それでも、皆で話し合って、言われたことは出来るだけ思い出してまとめた。


「命令……あなたは◯番目です。◯時までに手を繋いでください。その人以外と手を繋ぐのは禁止します。猶予は1時間です。健闘を祈ります。だな。」


ほとんど違いはないし、電話の内容は同じものだったと考えられたが、人によっては、始まりが違かったと言う人もいた。

まぁ、それも、勘違いだろう。ということになり、結局、何も得るものはなかった。


「よし!今度こそ、ペアを確認しよう。」


1番 今田由美と山本光太『9時』

2番 本田美紀子と神川神也『10時』

3番 安藤咲と石川敦士と上田光介『11時』

4番 斎藤優気と橋本奈々子『12時』

5番 青木龍と川口早苗『13時』

6番 渡辺実と平野千秋と宮本花『14時』

7番 山村真実と井上心と春村恋『15時』

8番 大野信二と鈴木美穂『16時』

9番 高村彩と山田太郎と佐藤裕二『17時』

10番 竹中香織と坂本龍也『18時』

11番 岡本桃子と宮崎真『19時』

12番 川村真矢と森田彩奈と中村健二『20時

13番川島久美と戸田明人と菊池瞬『21時』

14番玉村愛と奥田栄次『22時』


話し合った結果を真実はメモしたがその結果、誰と誰がペアで自分がいつ手を繋ぐのかだけでなく、あることに皆が気付いた。








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