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SNOW/SNOW  作者: 六甲水
9/12

番外編 バレンタインデー

という訳でバレンタインなので、番外編をやろうとおもいます。


雪那「というか、本編は?」


えっと、本編はもうしばらくお待ちください。

それは放課後、蕾さんからの突然の呼び出しであった。


「さて、女の子全員集まったかしら?」


蕾さんが笑顔でそう言うと、桜ちゃんが質問した。


「あの先輩。今日は何で女の子だけの集まりなんですか?」


「良い質問ね。桜ちゃん。今日は何日かしら?」


「えっと、2月13日です。」


私がそう答えると、蕾さんは急に抱きついてきた。


「正解よ。さすがは小雪ちゃんね。」


「あ、あの、お願いですからいきなり抱きつくのは……ちょっと……」


「あぁ、ごめんなさいね。そう、今日は2月13日。そして明日は乙女にとって大切な日!!バレンタインデー!!ということで今日は男子はさっさと帰らせて、女子みんなでどうやってチョコレートを渡すか考えようと思います」


そういえば、明日ってバレンタインデーか。渡す相手としたら……雪兄に、白雪に、桜ちゃんに、蕾さんに、花蓮さんに………そして本命として………えへへ~


「はぁーい、小雪ちゃん。一人でトリップしてないの。当然みんなはチョコの準備はしてあるのよね。」


「はい」


桜ちゃんが元気よく返事する中、白雪だけは頭に?マークを浮かべていた。


「どうしたの?白雪?」


「うん、あのね。お姉ちゃん。チョコの準備って、既成品じゃダメなのかな?」


「う~ん、みんなに配るんだったら既成品でもいいけど、好きな人にあげるのはやっぱり手作りじゃないと……」


「……そうなんだでも、どうしよう。私、全部買ってきたものなんだけど……」


「それだったら、帰ってから一緒に作ろうか?」


「あら、小雪ちゃん。白雪ちゃん。別に手作りに拘らなくってもいいのよ。心さえこもってれば、だからこそ、渡し方を考えたほうがいいわね。」


「……渡し方ですか?」


「えぇ、それも裏月をそりゃ、メロメロにするほどのね。」


なんだろう?このままこの人に任せてたら……偉いことになりそう。


「あ、あの、蕾さん。うちの妹に変なことを教えないでくださいね。」


「変なことって?」


「えっと、体中にリボンを巻いて……その、『わ、私がプレゼントだよ』って言うのとか……」


「あら、小雪ちゃん。なんていやらしい子!?」


「こ、小雪ちゃん」


「……お姉ちゃん」


お願いだから、みんなしてそんな冷めた目で見ないで………


「安心しなさい。そんなエッチな事はさせるつもりはないわ。うちの男性陣なら……『風邪ひくぞ』で終わらせるわね」


あぁ、何だか思い浮かぶ。確かに雪兄や裏月くんあたりそう言いそうだな。皐だったら………


『こ、小雪ちゃん。その、その格好じゃ……風邪引いちゃうよ』


『それじゃ、皐くん。温めて?』


『そ、それじゃあ、小雪ちゃんが溶けちゃうよ』


『だから、溶ける前に食べてほしいな』


なんて展開に………


「きょ、今日の小雪ちゃん。何だかおかしいね」


「何か悪いものでも食べたのかしら?」


「……ちょっとお兄ちゃんに電話して、薬の準備を……」

















一方、男性陣はというと……


「はっくしゅん」


「どうした?皐?風邪か?」


「いや、別にそんなことは……」


「どうせ、誰かが噂してんだろう。」


裏月がそう言った。確かに誰かが噂してる可能性があるかも……


「にしても、明日はバレンタインデーか。赤瀬の奴。こゆ達に変なこと教えてたりしてないだろうな………」


「変なことって?」


「いや、体にリボン巻きつけて、『私がバレンタインチョコ』とか……」


「…………シスコンだけじゃなく、変態だったのか。お前……」


裏月が冷たい視線で雪那を見つめるのであった。僕はただ苦笑いするしないけど……


「お前ら、赤瀬だったら、そういうこと教えるかもしれないって、話だよ。」


「いや、雪那。そんな事を一瞬で思い浮かべる時点で、お前は変態だ。早く病院に行け」


「裏月。そんなに殴られたいか?」


「ほう、だったら丁度いい。お前を病院送りにして……ついでに変態も治してやる」


今にも喧嘩しそうな二人。この二人って本当にこういう喧嘩するの好きだね……


「二人とも、やめなよ。直ぐに喧嘩につなげるのとか……」


「まぁ、皐の言うとおりだな。喧嘩して怪我でもしたら……あいつらに泣かれるし……」


「そうだな。」


何とか喧嘩する寸前で止めることが出来たけど……そういえば……


「そういえば、小雪ちゃんって誰に渡すんだろう?」


僕がボソッと呟くと、二人は何故か呆れた顔をしていた。


「なぁ、雪那。お前自身、妹が誰かと付き合うのは認めてるんだよな」


「あぁ、というかお前ら二人が付き合ってくれるんだったら凄くいいんだけどな。大切にしてくれそうだし、任せられそうだけど……」


「まぁ、俺も白雪の気持ちに気がついてるけどよ……」


「皐はなんであそこまで鈍感なんだ?」


「さぁな。お互いに好きあってるんだよな。」


「でも、お互い片思いだって思い込んでる。」


「「鈍感すぎだろ」」


「あれ?何か二人して僕の悪口言ってるのかな?」

















そして、次の日の放課後。僕らは部室に集まるように言われ、部室に集まっていた。


「来たのはいいけど……誰も居ないね」


「そうだな。」


「というか、呼び出した本人すらいないぞ。」


裏月がそう言うと、雪那が机に置かれた三枚の封筒に気がついた。


「なんだこれ?」


「何か僕らの名前が書いてあるね。」


「開けてみようぜ。」


それぞれの封筒を開き、中に入っていた手紙を読むと……


「えっと、『図書室に来てください』だって」


「こっちは『中庭』だ」


「俺の方は『自分の教室』だ」


僕は図書室、裏月は自分の教室、雪那は中庭。とりあえず、僕らは指定された場所へと向かうのであった。
















雪那サイド


中庭にたどり着いた俺はベンチに座る桜ちゃんを発見した。


「あ、先輩。来てくれたんですね。」


「あぁ、そりゃ、来ないと赤瀬に怒られそうだからな」


「そうですね。先輩、言ってましたもん。『来なかったら、しばらく腕時計を見れなくするから、顔の方をね』って……」


「あぁ、本当に来てよかったよ。殺されたくなかった。それで、桜ちゃん。呼び出したのは……やっぱり?」


「はい、その、これ。良かったら受け取ってください」


桜ちゃんはそう言って、ラッピングされたチョコレートを渡してきた。


「あ、ありがとう。後でゆっくり………」


「あ、待ってください。先輩。その、いまここで食べませんか?その、感想とか聞きたいので……」


「うん、分かった。」


俺はラッピングを外し、箱を開けると、桜型のチョコが入っていた。


「これって、」


「はい、その……赤瀬先輩が……昨日、2つほど話し合ったんです。一つは渡し方。もう一つは食べさせ方で……食べさせ方はその、くじびきで決めたんですけど……『自分の名前を現したチョコレートを食べてもらう』でした。だからその、わ、私をあ、味わって食べてください!!」


「あ、赤瀬ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」















裏月サイド


教室にたどり着くと、何故か白雪が俺の机に座っていた。


「あ、裏月くん。」


「何で俺の机にいるんだ?お前は?」


「えっと、部長さんが待ってるならここがいいって……」


「アイツの差し金か。それで、チョコを渡すんだろ」


「う、うん、」


白雪はそう言って、カバンから小さなハート型のチョコを一つだけ取り出した。


「ごめんね。昨日、頑張って作ったんだけど………」


「いや、俺にはこのサイズのが一番いい。大きすぎるのは嫌だからな」


「良かった。それにね。このサイズなのはもう一つ理由があって……」


白雪はそう言って、チョコを咥えるのであった。こいつ、何をするつもりだ?


「ふぁい、どうぞ………」


白雪はチョコを咥えて、こっちに向けた。これって、まさか………


「くっ、ちょっと待て、それも……アイツの差し金か?」


白雪はただ頷くのであった。


「ふぉうした方が、裏月くんが喜んでくれるって……」


「……………あの野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
















皐サイド


図書室に入ると小雪ちゃんが一人だけいた。


「あ、皐くん。ごめんね。呼び出して」


「ううん、それで、用事って?」


「うん、あのね。今日バレンタインだから、皐くんに……あ、あげようって思って……」


小雪ちゃんは顔を真赤にしながらそう言った。


「あ、ありがとうね。小雪ちゃん。」


「う、うん、それでね。蕾さんが食べさせ方も指定してきてね。」


「う、うん」


た、食べさせ方って何だろう?まさか昨日、雪那が言ってた小雪ちゃんがプレゼントとか……もしくは漫画で読んだようなチョコを咥えてどうのこうのとか……


そんなことを思っていると小雪ちゃんはカバンから瓶を取り出した。中には茶色の液体が入っていた。


「えっと、丁度良い温度かな?」


小雪ちゃんは瓶の蓋を開け、人差し指をその瓶の中に入れた。そして、指を突き出し……


「こ、これが私のば、バレンタインチョコです!な、舐めてください」


「……………はい?」


「だ、だから……その、このチョコを………舐めて……」


こ、これって、雪那が言っていたのとか、チョコを咥えてとかよりも物凄く恥ずかしい。


「は、早くして……は、恥ずかしくって……死んじゃいそうだから……」


「う、うん」


僕は言われるまま、小雪ちゃんの指のチョコを舐めるのであった。


「ん、」


小雪ちゃん、顔も真っ赤だし、何だろう?ちょっと涙目だった。やっぱり凄く恥ずかしんだろうな。僕もかなり恥ずかしい。


チョコを綺麗に舐めた僕。すると小雪ちゃんは……


「そ、その、どうだった?」


「え、えっと、凄く甘かったよ。それに、小雪ちゃんの指も………」


「にゃ、にゃあああああああああああああああああああああ、そ、そこまでは言わなくていいから……の、ノルマも達成したし、こ、これ、普通のチョコレート。はい。」


小雪ちゃんは白く丸いチョコを渡してきた。


「え、えっと、ホワイトチョコで……その、私の名前をイメージしたものだから、さ、さっきのチョコよりは凄く甘いから……」


「あ、う、うん。」


こうして、バレンタインデーは幕を閉じるのであった。ちなみに、小雪ちゃんたちにあんな事をさせた本人はというと……


「あ、あはは、何で二人共、鬼の形相なのかな?」


「いたいけな後輩に余計なことを教えた先輩にどんな罰がいいと思う?裏月?」


「そうだな。姉に今回のいきさつを伝えて…‥……お説教だな」


「そ、それだけは、ほ、ほら、みんな甘酸っぱいバレンタインを……」


「「覚悟はいいか?」」


「い、いやああああああああああああああああああああああ」


と雪那と裏月の二人の説教+花蓮さんのお説教を味わうのであった。

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