第2話 文芸部のお昼休み
第二話です。とりあえず白雪の出番は……最後辺りになります。
白雪「私、いつになったらちゃんと出れるの?」
小雪「というか一応これって、私と白雪が主人公だよね?なのに白雪の出番が少ないって……」
いや、今回はちゃんと出しますよ。ちなみに今回も新キャラ登場です。
お昼休み、桜ちゃんと机をくっつけて一緒にお弁当を食べようとした時だった。いきなり携帯のブザーがなったのに気が付き、開くとメールが来ていた。差出人は蕾さんだった。
『今から文芸部室に集合。お昼ごはんを忘れずにね』
というメッセージが書かれていた。メールを桜ちゃんに見せ、一緒に文芸部室へと向かうのであった。
文芸部室は旧校舎のある。私達は文芸部室の扉を開け、中に入るとそこには蕾さんと雪兄、皐くんが来ていた。
「いらっしゃい。二人共」
「もう蕾さん。いきなり呼び出さないでくださいよ。」
「ごめんなさいね。四時間目にフッと思いついたのよ。それに桜ちゃんも渡しに行く手間が省けていいでしょ」
「あ、は、はい。あの、雪那さん、これ、」
「ん、いつもありがとうな。桜ちゃん」
桜ちゃんの手作りお弁当を受け取り、そう言う雪兄。桜ちゃんはというと凄く嬉しそうにしていた。
「い、いえ、料理の腕をあげるためにこうやって……」
「よかったわね。桜ちゃん。所で小雪ちゃんは愛しのあの人にお弁当を作ってあげたりしないのかしら?」
蕾さんがいたずらっぽく笑いながらそう言った。すると皐くんが……
「小雪ちゃんの愛しの人って?」
「えっ!そ、それは……その、」
何だか正直に答えるのが難しい。だって、「私の愛しの人は皐くんだよ」って言いづらい……
(赤瀬先輩、真導先輩って……)
(ちょっと鈍感なのよね。でも、無意識に小雪ちゃんのこと好きみたいなのよ。ほら、ちょっと嫉妬してるみたいでしょ)
(そうですね。)
桜ちゃんと蕾ちゃんが何か内緒話をしているのには気づいていたけど、今は皐くんにどう答えるか悩んでいた。そして……
「え、えっと、私の愛しの人は……私の身近にいる人ですよ」
「身近にいる人?それって……」
皐くんは雪兄の方を見て、こう言った。
「雪那、さすがに義理の妹だからって、手を出したらダメだと思うよ。」
「皐、頼むから人のことをシスコン扱いしないでくれないか?」
(やっぱり鈍感ですね。)
(まぁ、小雪ちゃんの言い方がちょっとね。)
そんなこんなでみんなでお弁当を食べ終わると、蕾さんが立ち上がりあることを言い出した。
「それじゃ、新入部員が入ったということで、みんなにちょっと報告しておくわね。」
「って、あの、私達まだ文芸部に入ってないんですけど、」
桜ちゃんの言うとおり、私達は文芸部に入ろうと思っていただけで、まだ入部届けすら出してないんだけど……
「でも、入ろうとは思ってるんでしょ。だったら入ったも同然じゃない。まぁ、うちはほとんど自由だから、本読んだりトランプしたりしても大丈夫よ。」
蕾さんはずっと前から思っていたけど、こういう性格の人だ。本当に自由だからね……
「は、はぁ、」
桜ちゃんも何となく納得しちゃっている。とりあえず私は蕾さんの報告を聞くことにした。
「午前中の休み時間にね。おねえ……じゃなかった。生徒会の副会長に学校新聞に載せる文集を書いて欲しいって頼まれたのよ。だから、放課後にどんな文集にするか決めようかと思って……」
「あ、ごめんなさい。今日の放課後はちょっと……」
放課後、ちょっとした用事がある私は放課後残れないことを伝えた。すると皐くんは……
「小雪ちゃん、放課後用事でもあるの?」
「うん、ちょっと病院にね。」
「病院?もしかしてどこか悪いの?」
「全く、皐ったらいつの間に小雪ちゃんと小作りしたのよ」
「って、僕らそんなことは……」
「皐くんがね、この間襲ってきてね。」
「ほう、人の妹を襲うとはな……」
「あの、雪那。嘘だってわかってるよね。だから、胸ぐらを掴まないでよ。それと小雪ちゃん、赤瀬さんの悪乗りにのらないで……」
ついつい、悪乗りにのってしまった私、桜ちゃんが雪兄を落ち着かせて、本当の話をした。
「ちょっとお見舞いに行くの。だから、別に病気とかじゃないから」
「そっか、でも、お見舞いって……」
「私の大切な人のお見舞いだよ。」
午後の授業が終わり、昇降口へと向かっている途中、長く伸びた黒髪の女の子と出くわした。
「あら、小雪ちゃんじゃない。こんにちわ」
「花蓮さん、こんにちわ。生徒会のお仕事中ですか?」
「えぇ、今から職員室に行って、色々と書類を貰いにいくのよ。」
この人は赤瀬花蓮さん。蕾さんの双子の姉である。双子の姉なので、同じ姉である私はよく相談したりする。
「小雪ちゃんは今から帰り?」
「はい、お見舞いに……」
「そう、所で蕾は部室かしら?」
「はい、学校新聞に載せる文集を考えてますよ。」
「ごめんなさいね。あぁいう妹だから色々と苦労するだろうけど、いい子なのよ」
「いえ、全然苦労してないです。」
「そう良かったわ。それじゃ、また今度ね」
花蓮さんはそう言って、私と別れた。花蓮さんと蕾さんは対照的な姉妹で、蕾さんは自由気ままで、さらに腹黒な感じだけど、花蓮さんは礼儀正しい人だ。ちなみに二人のファンクラブが存在するらしい。
病院に着き、白雪が眠る病室に入った私は、途中買ってきた花を花瓶に差し、眠る白雪の手を握った。
「顔色良さそうだね。白雪。今日ね、朝皐くんと会って色々と話したんだ。それからお昼も一緒に食べたの。」
私の話に白雪は何も答えない。だけどそれでもいいんだ。こうやってお見舞いに行くたびに私は白雪に学校でのこと、家でのことを話すようにした。とはいえ、皐くんと出会ってからはずっと皐くんのことばっかり喋っている。
「ねぇ、白雪。早く起きてよ。私ね。白雪と一緒に学校に行きたい。白雪と喧嘩だってしたいんだよ。普通の姉妹らしく……」
少し涙が零れそうになり、持っていたハンカチで涙を拭う私、
「ごめんね。つい、変なこと言って……だけど、私ね、白雪に恋だけはして欲しいって思ってる。恋って本当に凄いんだよ。心が温まるの。もし白雪に好きな人ができたら……私全力で応援しちゃうから」
私は笑顔でそう言うと、少しだけ白雪が笑顔になった気がした。
その日の夜、何故か白雪が夢のなかに出てきて、私に何か言っていたけど、あまり聞き取れなかった。
「お~い、こゆ。早く起きろ」
雪兄の声を聞いて、目覚めようとした私。だけど何故か身体が動かなかった。
(風邪かな?でも、あんまり熱っぽくないし……)
「……お姉ちゃん。ごめんね。」
(あれ?白雪の声……でもどこから……)
すると雪兄がノックし、部屋まで起こしに来てくれた。
「おい、こゆ、早くおき……ろ……」
何故か雪兄は私を見て、驚いていた。何だろ?凄い寝癖でもあるのかな?
「こゆ?いや、違う。お前誰だ?」
(誰って、私は小雪だよ?一体どうしたの?)
だけどこの時、ようやく異変に気がついた。今、私は自由に身体を動かすことができないのに、勝手に身体が動いた。まるで誰かに身体を支配されているような……
「……初めましてになるのかな?私は白雪。よろしくね。お兄ちゃん。」
私の身体を支配していたのは……病院で眠っているはずの白雪だった。
というわけで、新キャラである花蓮とようやく登場の白雪でした。
花蓮「それにしても、身体支配しちゃったの?白雪ちゃん?」
白雪「……支配っていうか、ちゃんと話したつもりなんだけど……やっぱり夢のなかでの話だから……覚えてなさそうだね。」
とりあえず次回は白雪が現れた理由について触れます。あと、何だか女の子ばっかり出てきちゃってるので、男の子を一人登場させようかと……