序章
序章
「大祐、約束だからね。」
「・・・やだ、約束なんかしない。」
馬鹿だった、俺は捻くれてたから。
優香が居なくなる事だって、俺には信じられる事じゃなかった。
好きだった相手、初恋の相手だった、いつも笑っていて、いつも優しくしてくれる優香が、俺は好きだった。
「大祐、何で捻くれてるのよ。」
「別にそんなんじゃない、早く行けよ、真由子さん待ってるんだろ?」
「馬鹿・・・、大祐なんか大嫌い!!!」
俺は優香の見送りにも結局行かずに、最後まで優香と一緒に居たこの小さな公園で優香が乗ってるはずの飛行機が飛んでくるのを眺めてた。
素直じゃない俺は、「さようなら」って言う言葉さえ言ってやれなかった。
一番好きな人だったのに、いや、一番好きだったからなのかもしれない、だからこそ言えなかったのかもしれない、別れの言葉を。
『約束、してくれる?』
『どんな?』
『あのね、絶対また会えるって。』
俺は優香ほど幼稚じゃなかったから、そんな事絶対に無いってわかった。
引っ越して、俺と優香がまた会える確率なんか、そんなに大きい物じゃないと思う。
だから、約束なんかしたくなかった。
優香が傷付くかもしれないから。
あいつの涙を見たくなかったから。
でも俺は・・・・・・、結局優香を泣かせたまま別れてしまった。