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夢で遭いましょう  作者: 神夏美樹
■第4章 崩壊・そして脱出
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・第8節 攻撃

 最後の夜を迎えた。


 静かな夜だった。寮の部屋から見えていた近隣の明かりもまばらになっていて、人通りも少なくなっていた。星の住人の大部分が脱出したからであろうか。元々人口の少ないこの星において、全人口が脱出すると言う行為は、意外と簡単に出来るのであろう。シャトルも大幅に増便されて宇宙空港は、大型の国際空港並みの混雑状態を呈している様だった。

 あたしは、悪だくみ同好会の面々と一緒に再び、コロナの元を訪れた。

 「どう、準備は出来てる?」

 「ありがとう、ニーナさん。準備、ほぼ終わりました。明日の朝には、飛び立てると思います。

 「ねぇ、コロナ…コロナの星って、どんな星なの?」

 あたしの問いに、コロナは少しはしゃいだ様な口調で答えた。

 「とても住み易い星ですよ。空が綺麗で、私達の様な、機械生命体と、純粋な生命体が、お互いの事を思いやって暮らしてる星です」

 「へぇ…」

 「空気も綺麗だし、でも、エネルギーは潤沢に有って、一時期、二酸化炭素が問題になった事は有りますが、ライフスタイルの変化や、技術革新も有って…自然も有るし、ハイテクもある。そんな星です」

 ニーナは思った。要するに、昔の地球みたいな環境なので有ろうと推察された。地球は機械生命体は実用化されて居ないから、機械と人間の共存と言うのは、未だ先の話で有ろうが、そう言う関連の技術は盛んに研究されているし、何時かそういう時が来るのかも知れないとニーナは思った。

 「ニーナさん」

 コロナが少し改まった口調であたしに向かってそう言った。

 「ん?なぁに?」

 「本当にありがとうございます。なんとお礼したら良いか。正直、私は、この星で、エネルギーが尽きるまで暮らさなければイケないかと思っていました。正直、この星の人には、好きになれない方もおられましたけど、でも、ニーナさんは私の事を真剣に考えてくれて…」

 あたしは、なんだかくすぐったい気持になった。機械にこんなに褒められると言うのも、ちょっと経験出来ない体験で有る事は断言できる。第一に『良い人』と言われる事自体が、恥ずかしかった。

 「お、ニーナ、褒められてるぞ」

 ケイラがあたしをちょっと茶化す。あたしは、恥ずかしさで、後頭部をぽりぽりと掻きながら照れ笑いを作って見せた。


 『警報!』


 室内に危険を知らせるアラームが鳴り響いた。コロナは、何か危険を察知したらしかった。

 「どうしたの、コロナ」

 あたしはちょっと慌てて、コロナにそう尋ねた。

 「武装した兵士が降下して来ます。目標はどうやら、ここの様です」

 あたし達は皆で顔を見合わせた。おそらく宇宙軍が投入した兵士だろう。そしてコロナの奪還作戦が開始されたのだ。

 「コロナ、未だ飛べないの?」

 コロナは少し考えてから、少しさびしそうに答えた。

 「はい、残念ながら、まだエンジンのチェックが終わっていません。このまま飛び出したら、跳躍航法が出来ない可能性が有ります」

 宇宙軍は、コロナが動けないのを良い事に、力で制圧するつもりだろうか?いや、軍の考える事だ、可能性は有るだろう。

 「どうなさいます、ニーナ…」

 ナルルが少し気弱な表情であたしを見詰める。しかし、相手が軍隊では、ただの女子高生風情に太刀打ちできる訳が無い。しかし、何か手立ては有る筈だ、あたし達にも出来る手立てが。

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