28話 『嵐のあと、そっと目を開けて。』
28話 『嵐のあと、そっと目を開けて。』
風が強く、
窓が小さく揺れていました。
透は目を閉じ、
胸の奥の鼓動にそっと意識を向けます。
「砂嵐の日はね、
しゃがんで心臓の音を聞いていればいい。」
その声は、
嵐の音にかき消されないように、
静かで、深くて、あたたかい。
文子さんが続けます。
「そして、風が止んだら、
そっと目を開けてみて。」
あなたへ。
もし今、
息が苦しくて前が見えないなら、
無理に進まなくていい。
その場に留まって、
自分の鼓動だけを感じていて。
嵐は必ず弱まる。
そしてそのとき、
あなたはまだそこにいる。
それが、どれだけ尊いことか。
文子さんが窓を少し開け、
外の空気をそっと部屋に入れました。
「風が止んだら、
少しだけ空気を感じてね。」
透が微笑みます。
「生きているだけで、
もう十分に強いよ。」
その言葉は、
嵐の音の隙間にそっと落ちて、
あなたの胸の奥に静かに灯りをともします。
ここまで読んでくれて、ありがとう。
嵐の中にいるとき、
自分が弱くなったように感じることがあるよね。
前が見えなくて、
息が苦しくて、
立っているだけで精一杯の日もある。
でもね、
しゃがんでいても、
動けなくても、
涙が出ても、
あなたはちゃんとここにいる。
嵐が弱まったとき、
あなたがまだそこにいることは、
それだけで尊いことなんだよ。
どうか、急がないで。
風が止むまで、
ただ自分の鼓動を感じていていい。
あなたは今日も、生きていてくれてありがとう。
また、ゆっくり戻ってきてね。




