ノーライフキングと出会うまで 3
もう私は以前のように洗脳も
秘魂の呪も怖くて出来なくなってしまった。
私は教皇猊下の自室に呼び出されて教皇猊下に洗脳も秘魂の呪もしたくないと訴えた。
教皇猊下はいつものように優しく私の頭を撫でて「今回の聖女はよく持った方だ。年間5500人の洗脳と30人の秘魂の呪を施した。それを10歳の時から10年間よくやってくれた。素晴らしかったよ、シャリス今度はお前が勇者パーティの聖女だな」そう仰った。
程なくして私も当代の勇者一行と共に竜の谷の向こうの魔王討伐に行くことになったのです。
見目の良い個性豊かな男子たちとの旅は予想以上に大変でした。
男子達は勇者でしたが性格は破綻していました。
道中なじられたり、暴力を振るわれたり私も昔を思い出し、勇者たちに萎縮していました。
食事も十分に摂れなくなりました。
面倒な事は全て私の役目でした。ただ性的暴力は受けませんでした。
教皇猊下が私達を送り出す際聖女の魔法は処女性にあると仰っていました。勇者達は癒しの魔法が使えなくなることを心配していたのかもしれません。
嘘です。
私は処女ですよ。
教会の見えないところでは他の聖女達魔法適性の少ない子は子を成すことも、お役目のひとつでしたし、もちろん私は免除されていましたが。
2年の歳月をかけてようやく竜の谷に着きました。
竜の谷の一番近い村に着いた私達は、宿を取りました。私達は事前に竜の谷を渡ることが難しいという情報を手に入れていました。
そこで勇者は私に秘魂の呪を施すようにいいました。
勇者達は嫌がる私に無理やり秘魂の呪を施させました。
勇者達は魂がただ半分になる魔法だと思っているようでした。
私達は既に魂の半分を取られているのに。
勇者は半分になった魂を何重にも結界を施しました。村からセイクリッドロードを掛けて大きな橋を作り、なるべく竜の魔力の薄いところを通って森に侵入しました。
それでも所々変容していましたが、私の癒しの魔法と半分にした魂を食らうことでなんとか人の形で森に入ることが出来ました。
私はその時点で既にマジックエナジーをほとんど使い果たしてしまいました。
勇者達は私などもう用済みのようでした。夜になると森は不気味になりました。そこらじゅうからアンデッドやスケルトンの骨などの音が聞こえてきます。
森の中で火を起こしたら、木々の間から暗闇より暗い闇の塊が私達に問いかけました。
「何用で来た」かと、
勇者が答え、私に聖属性の結界を張るようにいいました。
その結界内では10%のステータス上昇に、傷つくと勝手に『ヒール』が掛かります。暗闇を切りつけますが勇者は空気を切ったように空振りをしていました。
魔法使いが炎の攻撃を仕掛け拳闘士が殴りかかりますが攻撃は一向に当たりません。
闇より暗い闇は攻撃が通用しないのだから帰るように言い聞かせていますが、勇者達は一向に耳を傾けませんでした。
私たちを風で吹き飛ばそうと魔法を放つと、勇者達は私を盾にして魔法の攻撃を避けました。
このときです、私の服が破れたのは。
何やら怒った様子の闇より暗い闇は瞬時に勇者達に闇のソードを次々と突き刺して行きました。
これは助からないと思い、私の最高攻撃魔法をかけます。
私が死んでも聖痕がこの魔物を殺してくれる、そう思ったのです。
束の間。
全く苦しむ様子がありません。
最後に聖属性の魔法リジェクトをかけようと思いました。アンデッドにはよく使われる癒しの魔法です。
私の残っているマジックエナジーの全てを掛けて詠唱を始めた瞬間私の口を塞がれ必死に抵抗していたら急に体が暑くなり意識が朦朧としてきました。
闇より暗い闇も次第に聖痕が効きだし聖痕が輝くと闇より暗い闇が苦しみ出し私の前で蹲る。
ようやく私の役目も終わると思った時、勇者が最後の力で私ごと剣で闇を貫こうとしていた。
闇より暗い闇から手が出て強い力で引っ張られ、私は倒れる瞬間に勇者の頭がぶっ飛ぶのを見て完全に気を失った。
「シャリスこんな事を頼むのは酷だとわかってるでも、お前に頼むしかないんだ」
あの時のあの言葉が蘇った気がした。
私は心地よいベッドの上で目を覚ます。
夢?を見たような。
ギュルルルル
どうにもならないほどの空腹で、夢もすっかり忘れていた。
次回の更新は6年4日8時10分です
よろしくお願いいたします。
やっと終わったこの語り口、あまり好きではありません。皆さんも苦行に耐えてアルファード、間違えたアルサード?ん!アルクード?
アルラード
「ミツマメよワザとであろう?吾ととこしえに過ごしたいのだな、待っているが良い」
ミツマメ
「スイマセン、すいません、私は人としてこの世界をハッピーエンドにして終わらせてから死にます!キット」
もとい
アルラードとシャリスのドタバタ劇をお楽しみください。
皆さんのお目に止まりますように
楽しんで貰えますよう
2025年6月3日 アキラ ミツマメ