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ノーライフキングはシャリスに選択を迫りたい





ダイニングの扉が勢いよく開いた。

スケルトン達によって扉が開かれたようだ。


そこには薄紅色のサマードレスを着てピンクブラウンの髪をハーフツインに縛った、シャリスが覗き見る格好で立っていた。


素晴らしい布に、素晴らしい仕立てだ。


エルマとアイビルの頭を撫でつけると喜んで腰を振る。盛りのついた犬のようだ。4人はシャリスに気が付かず吾に群がっている。ミイシャはチラリと目線をシャリスに向けたが吾の首を後ろから噛み付いたまま離れる気はないようだ。


覗き見の体勢でシャリスが叫ぶ。


「淫乱、破廉恥、如何わしい、卑猥、嫌らしい、なんて淫らなの」


よくこんな言葉が出てくるものだと感心する。


吾は目でシャリスを堕落とし、右手をシャリスに向ける。指を起こすと、その動作に連なってシャリスの体が吾に近づく。1メルテに近づいたところでミイシャが吾から離れた。


シャリスの後ろから羽交い締めにし爪を長く出し刃物のような鋭さの爪がシャリスの首に食い込む。


シャリスに対する警告と吾に対する警告だ。これ以上血をくれてやるな、と。


吾は目配せをしてミイシャを下がらせた。


吾は血の供給を止めると、4人はまだ足りないらしく頬を膨らませたまま席に着いた。


「シャリスよ目覚めはどうだ」


「この服とっても素敵ありがとう」


エルマとアイビルが照れる。


「後、傷の手当もお世話をおかけしました。ありがとうございま

す。

皆衣服が乱れて居ないのね、皆さんのお食事?を邪魔してしまいごめんなさい、とても恥ずかしいです」


「イヤ、、そのまま突入することもある、今日はシャリス、ソナタが居たからな」


シャリスが頭を抱えた。


「やっぱり淫乱だった」


シャリスは首まで真っ赤にして屈みこんでいる。


「シャリスよ、ソナタは今選択出来る状態にある。


ひとつは祖国に帰る道。


ふたつ吾の血を受け入れ吾とここで共に暮らす道だ。


どうするシャリスよ」


シャリスは立ち上がりスカートを握り、意を決して話し出した。


「私はもうブロリアンジュ王国には帰れません、魔王討伐という名の処刑なのです。


私は最高位の聖女でした。なので教皇猊下にお会いすることも他の聖女より多かったのです。


私は教皇猊下の秘密を見てしまったのです。国と教会に認められた聖女を国内で処刑するのは民の反感を買ってしまうのです。

それを引き金に信仰心が離れてしまうことを恐れているのです。


都合の悪い聖女や教会に疑問を持った有能な冒険者は秘魂の呪を使って帰ってくることのできない魔王討伐に行かされるのです。


例え国が認めた魔王を倒せそうになると半分の魂を操って仲間同士で殺しあいをさせたり、わざと隙を作らせて攻撃を受けさせたりと様々な手段を取らせて討伐を失敗させるのです。


運良く魔王を討伐しても帰る途中て暗殺者によって殺されてしまうでしょう」


「では、吾と共にするか? 」


シャリスは俯いて口を閉ざした。


「まだ、帰れない理由で言いたいことがあるのであろう。吾の目を見よ、心が軽くなるぞ、さすれば口も軽くなろう」


シャリスは俯いたまま顔を上げる気配がない。




しびれを切らしたミイシャが音もなくシャリスの後ろに立ち、ボソッとシャリスの耳に囁いて動揺したシャリスの頬に食い込ませた長い爪で前を向かせる。


「さぁ前を向きなさい」


ミイシャにしか聞こえない程の氷のような冷たい声がシャリスの耳に届く。


吾はシャリスを目で堕落とす。

そこから語りだしたシャリスの言葉はまるで懺悔だった。


シャリスはハラハラと涙を流しながら語り出した。


「わ、私は教会に疑問を持った人達に教会を信仰するように洗脳の術を施してきました。

それでも言うことの聞かない人達には、勇者や聖女と称して禁呪である秘魂の呪を数えられない人に施しました。そして、決して倒せない強大な敵の討伐を命令して処刑の旅に旅立たせたのです。


勇者達は民の教会の信仰をかうためにも使われました。


本人達は何も知らないまま強大な敵に立ち向かい死んでいきます。


私はもう耐えられませんでした。洗脳も秘魂の呪ももう使いたくない、そう教皇猊下に訴えました。教皇猊下は、私の頭をひと撫でして言いました。


『今回の聖女はよく持った方だ。年間5500人の洗脳と30人の秘魂の呪を施した。それを10歳の時から10年間よくやってくれた。素晴らしかったよ、シャリス今度はお前が勇者パーティの聖女だな』


と仰って私に秘魂の呪をかけました。私の半分の魂は教皇猊下がお持ちです。ずっと見張られているのです、今も猊下の元にある私の魂を操られたら私は貴女方に刃を向けてしまうかもしれないのです。



あなたの討伐に何度も勇者を派遣してきました。この森の西端の竜の峡谷を渡る術さえ与えられません。ご存知かもしれませんがあの峡谷に近づくと人の形を留めておけません。

それは、教皇猊下のお持ちの半分の魂もそうです。異形となった半分の魂を野に放って町や村を襲わせ、教会が派遣した冒険者や勇者に倒させ教会の信仰心集めに使われているのです。


私はあなたの眷族にはなれません、今も教皇猊下に見張られて今にも襲い掛かるかもしれないのですから」


シャリスはハラハラと涙を流し辛そうに俯いている。


「うむ、よくもまあ4000年も飽きずに同じことを繰り返しできたものだ、竜の峡谷が出来たのは2000年前だ。

その前は秘魂の呪の半分の魂に4000年前の教皇ハマル アクルクスの悪意の魔力を込めて変容させていたのよ。

吾も変容してというより秘魂の呪の魂の干渉力を反転してハマルの魔力奪ってやった結果がこの姿よ。





ははは。迂闊であった。


魔力とは魔物の持つ力よ、あやつの操る力は魔力、やつ魔物なのだ。そしてその魔力を奪った吾もな」


「じゃあ、、皆さんも魔物」


「シャリスよ普通に考えてみよ、血を主食にする者は人か」


「いいえ、ヴァンパイアは魔物です」


シャリスの目に怯えを感じた。


「ヴァンプは女のヴァンパイアの事をいうが、ここにおるものは吾の血で変じた為に吾の為に存在する吾の眷族である。そして吾の血しか飲めぬ、そう吾が創ったからな。

どうだソナタも吾等と共にあらんか?さすれば秘魂の呪の影響はここに居る限り受けんぞ。

エルマは500年前はブロリアンジュの聖女であった」


シャリスはヴァンプ達を見ると、

エルマが頷く。


「エルマは古代竜を倒しに行って死にかけているのを吾が拾ったのだ。


この家には吾の魔力で構築した結界が張ってある。エルマは500年この家から出ていないのだ」


「ご主人様、私は外に出ることを望んでいないのです。ご主人様の庇護下にあることで私は幸せなのです」


エルマが訴えかけた。

吾はエルマの目を見て落ち着かせた。


「東の町や村の人間たちと貿易するために労働力のアンデッド達が普通の人間に見えるように幻覚を見せる目的の結界も吾の森に張っておる、ソナタに頼みがあるのだ、シャリスの聖属性の結界を張ってくれまいか」


意を決した様子でシャリスは吾を正面から見た。


「もう誰かに支配されたままになるのはまっぴらです。もう誰にも支配されたくない、魂をブロリアンジュに取りに行きます。


眷族に誘っていただいたのにわがままを言ってしまってすいませんでも、私は決めました。

私の命は私のものです。目的が達成出来なくても悔いなく私の命を使いたいです。


私はあなたの眷族にはなりません」


「うむ、そうか、だが吾の眷族になっておけ、多少丈夫になるぞ。人の攻撃では死なんし、ソナタならば人間の食事のままでも空腹は満たされる。


このまま放逐してシャリスが人間を見て吸血衝動を起こして襲ってしまえば人の血を飲む目的だけで存在する魔物になりかねないからな。


吾の結界に聖属性の結界を足してくれれば、ブロリアンジュまで送り届けよう、道半ばで暗殺される危険が無くなるぞ」


「何?今サラッと恐ろしいこと言った?吸血衝動って何よ、人の血が美味しそうに見えるってこと?まるでヴァンパイアみたいじゃない」


「何を言っておるソナタは既にヴァンプだと言っておろうに」


ここに居る全員、吾、吾のヴァンプ、給仕のスケルトンが一斉に頷いた。


「う う、嘘よ、イヤ私、だめよ、うそウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソ、、、、、。


シャリスは糸の切れた操り人形みたいに経たり混んで口から同じ言葉を零し続けた。


吾はスケルトンに目配せして壊れたシャリスを部屋まで運ばせた。


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