ノーライフキングのダンジョン攻略10 〜こちらエイベル茂みの中にて~
“こちらエイベル茂みの中にて待機完了”
と手信号で数メルテ離れた仲間に送る。
今は真夜中
ダンジョンの6階層は常に蒸し暑い。
そこら中にある温泉の池から常に湯気が立ち上っている。
周りかは常にカエルの鳴き声が聞こえている。
ここの地の栄養がいいのか温泉池がいいのかここの木は背が高く見上げても葉は見えない。湯気のせいでもあるけど。
下生えの草も勢いよく茂っている。そのおかげで身を隠すことが出来る。
灼熱大池の右側の端、10体のマジシャンネットウフロッグマンが確認された場所に居る。
今は10体のフロッグマンを倒すために若手のパーティから選ばれた5人が茂みに隠れて作戦の準備の完了を待っている。
池の中に手を入れるのは自殺行為なので決して池に入っては行けないと作戦前にモラグ町長が言っていた。
あの人、あんなに喋れるんだと仲間内で驚いた。
いつもカタコトなのに何故。
でも今、ダンジョン内の町長が考えている事も漏れ出ているから、いつも頭の中はあぁなのだろう。
納得している。
選ばれた5人は若手のマジシャンで魔力の多い者のマジシャンの俺と他のパーティのマジシャンのジャンとギルの二人と、攻撃力の高い剣士のデニスとジーンの2人で5人のパーティだ。
今回の作戦では灼熱大池には入らないため耐熱性範魔石は持たされていない。
目の前の灼熱大池の中にプカプカとネットウフロッグマンが浮いて眠っている。
5人が配置に着くと手信号が送られてきた。
作戦開始だ。
少し離れた茂みで微かに詠唱とトリガーワード、ヒュプヌーンと聞こえ眠りの魔法がかけられた。
これで多少のことでは起きない。
次は俺の番だ。
俺は地面に手をついた。
『精霊よ、我らを守護せし氷の精霊よ我の魔力を糧に願いを聞き届け灼熱の池を敵と共に凍らせ給え
コールドプリズンプール』
流石灼熱大池だどんどん魔力が消費されていくがまだ余裕がある。
徐々に辺りの温度が下がり池の表面が氷、池の表面から冷気がたつ。
池の表面にポコッと10体のフロッグマンが凍っている。
素早く剣士の2人が茂みから出て
凍りついたフロッグマンに次々と、とどめを刺す。
最後の一体にトドメを刺そうとした時、ジーンがその場から飛び退いた。
飛び退いたその場所に熱湯弾が着弾していた。
熱湯弾が着弾したところだけ氷が解けてしまった。
どこから攻撃された?
緊張感が走る。
当たりを見渡し気配を探るが敵の姿が見えない。
緊張で周りの音が消える。
耳が痛くなるような静寂。
デニスがまだトドメをさせていないフロッグマンに穴を避けて、
スッ
とフロッグマンに剣を刺す。
流石、ドワーフ製の剣を持つデニスだ。
「上だ」
静寂を破って俺は叫んだ。
剣士目掛けて上からいくつもの熱湯弾が降り注いだ。
デニスが駆け出そうとした時、氷に空いた穴から長い舌がデニスの足を絡めていた。
「デニス」
ジーンが叫んだ。
上から降る幾つもの熱湯弾、
動けないデニス、
空いた穴も徐々に氷が張り始めている。
しまった、水があれば熱湯弾の受ける氷を張れたのに。
今は水を氷にする魔法しか使えない、さっきの魔法の効果が続いている。
精霊に聞き届けられた魔法は精霊の気まぐれで、すぐ効果が終わる時もあれば、精霊が遊び疲れるまで居座る時もある。
呼び出した精霊が帰るまでは、呼び出した精霊の魔法しか使えなくなるのだ。
俺は水を氷に変える魔法しか今は使えない状態だ。なのに水がない。
使える水はどこかないか。
と降り注ぐ熱湯弾の僅かな時間で考えを巡らせる。
精霊よ我らを守護せし大地の精霊よ我の魔力を糧に願いを聞き届け大地を操りて壁となれ
《アースウォール》
ギルが大地の魔法を早口で唱え、
大地の壁がデニスの頭の上に張り出して、熱湯弾を防ぐ。
デニスは始めた舌を叩きっ切る。熱湯弾の弾幕が切れた瞬間、デニスは走り出し氷った池から抜け出した。
大地の壁がボロボロと崩れた。
上を見上げると卵から孵ったばかりのオタマジャクシが降り注いでいた。
氷の上をオタマジャクシがうねうねとしばらく這っていると、オタマジャクシの粘膜に氷の結晶を創りながら霜が降り、オタマジャクシの動きが弱まり出す。
好機と見てデニスとジーンが駆け出した。
「待って、上」
俺が叫ぶと二人は急停止し、5人は上を見上げる。
第二陣のオタマジャクシが口いっぱいに熱湯弾を貯めて落ちてきた。
幾つもの熱湯弾が着弾し凍った池の氷を溶かし砕いて、池が波立つ。
波立ったまま水が凍りだし、オタマジャクシも凍りつく。
手出しが出来ないまま俺の魔力を消費しながらオタマジャクシは5回も降ってきた。
一回に大体10匹前後50匹のオタマジャクシが降ってきたことになる。
今、目の前には氷河さながらの光景に50匹前後のオタマジャクシが凍りついて転がっている。
ジーンがハッとしてオタマジャクシにトドメを刺しだすと、デニスもそれに習いトドメを刺す。
そろそろ50匹のオタマジャクシにトドメを刺し終わるり、作戦も終了かと、皆か気が抜けた空気が漂い出すと、凍っていない池の奥の方から
ゴゴゴゴゴゴォ
と音がする。
皆がお顔を見合わせていると、
ジーンが、デニスを突き飛ばした。
グッ アァァ
ジーンが叫んだ。
腿から血が出ている。
デニスは何かの危険が来ると察知し、ジーンの肩を担いで池から引き上げる。
ジーンの腿から流れる血もこおりだしている。
「今何が起こったんだ」
デニスが叫んだ。
俺は眉間にシワを寄せ、ジーンの傷口が凍っていく様に目を惹かれ、傷口を凝視してしまった。
いきなり肩を掴まれるとグイッと横に引っ張られた。
その勢いで倒れ込んだ。
怒鳴られて我に返った。
「おい、何やってんだエイベル」
俺の目の前でギルがオーガような形相で俺の肩を掴みながら怒っている。
「ごめん、怪我が、、」
「ジーンも心配だが、今お前が死にそうだったんだぞ」
驚いて、目を見開いてギルを見る。
「あれを見ろエイベル」
俺の後ろを指さした。
その指先を追って、後ろを見た。
大きく地面が切り裂かれている。
魔法?なのか?
大地が裂かれた跡が2本ある。
「逃げるんだ、何かが近づいてきている」
ギルが叫ぶ。
でも、どこに。
「でもとりあえず、ジーンの手当をしないと」
「あぁ、ここを離れてからなエイベル、好都合なことにお前の魔法のおかげで止血はできている。
ここにいてジーンがフロッグマンみたいに凍ちまったら大変だ。エイベルさぁ、行くぞ」
「ごめん、もう遅いみたいだ」
俺の目線の先、凍りついた池の氷を巨大なフロッグマンが壊しながらコッチに向かってきている。
「あれが、ボスなのか」
ジャンが叫んだ。
「落ち着け、ジャンきっとあれがジェネラルだ、ボスは7か8メルテあるって言ってた。あれは、ボスほどでかくない」
デニスがジャンを落ち着かせる。
「でもさっ、あれをどうやって倒すんだよぉ」
「ジャン、まだ、精霊は、いるか?スリープの魔法をあいつにかけられるか」
「エイベルぅ、もう精霊さま帰っちゃったよ」
「ジャン」
「なな、なんだよっ」
「ジャンもう1回詠唱からやって」
「わかったよぅ」
「まずジャンがスリープの魔法をかける、デニスが巨大化し足止めする」
「お、おれが最初ぉ」
ジャンが自信なさげに呟いた。
「エイベル、巨大化できるけどオレそんなに長く巨大化できないぞ」
「いいんだ、デニス。
出来ればジェネラルに傷が付けられれば上出来だ。
そしたらギルがジェネラルの足元だけ6メルテくらいの穴を魔法で開ける。
そしたら俺がジェネラルの頭から氷の魔法で凍らせる。眠って凍りついたジェネラルをデニスが倒してくれればいい」
「「「わかった」」」
「おい、エイベル、オレはどうするだよ」
「ジーン、怪我人は見学だ」
「あと、30セカンで接敵するぞ」
デニスが秒読みする。
「えっ詠唱に入るぅ、もう作戦変更できないからねっ」
「大丈夫だやって、ジャン」
『精霊よ、我らを守護せし時の精霊よ我の魔力を糧に願いを聞き届け敵を眠りの底に落とし給え
ジェネラルが陸地に這い上がって来た。
でかい。
3メルテと言われているが、プレッシャーからかもっと大きく見える。
ジャンの射程距離内に届くとジャンが叫んだ。
ヒュプヌーン』
と当時にデニスも叫ぶ。
「巨大化」
グググ
デニスが巨大化し大きくなった剣でジェネラルを切りつけるが傷はつかない。
ジェネラルの皮膚は丈夫だ。
舌を出して攻撃するがデニスは寸での所で舌を避ける。伸びきった舌を切り落とした。
切り落とした舌が、はねて暴れている。
普通のフロッグマンならこの時点で倒せるのにジェネラルは倒せないらしい。
デニスは剣でジェネラルの動きを止めるがデニスが押されている。
いきなりジェネラルが膝をついた。
ようやくスリープの魔法が効いてきたようだ。
『エグザクトフィット ホール 』
ギルがトリガーワードを叫んだ。
精霊が帰っていないため詠唱は省略出来る。
ジェネラルが穴に落ちる時ジェネラルの舌が再生し、デニスの首を目掛けてジェネラルの舌がのびた。
『ウィンドアロー』
ジーンの声がして、風の矢が風を巻き込んで飛んでいき舌を貫き肩を切り裂きウィンドアローが消えた。
矢で貫かれた舌は明後日の方向に伸びてダランと地面に落ちる。
「二枚舌だったのか」
ギルが呟いた。
デニスと一緒にジェネラルが穴に落ちていった。
「デニス無事かー」
穴を覗き込んで呼ぶ。
「大丈夫だー、エイベルージェネラルを凍らせてくれ」
デニスの声が穴の中で反響してこだましている。
「わかった、当たったら危ないから壁際に逃げてて」
「おー?、当たる?当たるって何が?」
デニスの声がコダマする
「行くよ」
『コールドプリズンアロー』
十数本の矢がジェネラル目掛けて降り注いだ。
「あっぶね」
穴の中からコダマして聞こえた。
「ジェネラル凍ったかー」
ギルが叫んだ。
「凍ったぞー今からヤルー」
「任せた」
ジャンが穴を覗き込んでいる。
俺はジーンに近寄った。
「ジーンのおかげでジェネラルを倒せたよ、ジーンのあの魔法でジェネラルに傷をつけられるって教えてくれたから、勝てたんだ。ありがとう」
「まぁ、オレはウィンドアローしか使えねぇけどな、それに後2、3時間は魔法使えなねぇ、魔法使うの疲れる」
「確かにね、傷手当てするね」
「おう、頼む薬を持ってるのか」
「んぅん、装備の内側に縫い付けてある」
「すげーな、オレは砥石だ、戦う前に研がないときもちわりぃ、ジンスクみたいなもんだ」
「野営で包丁が切れなくなったら、ジーンに包丁研ぎ頼めるね」
「だっダメだ、オレの剣が他の刃物に砥石を使ったら機嫌を損ねるだろ」
「なんだよ、それ」
「いいんだよ、オレのジンスクなんだから」
「分かった分かった」
「それ分かってないやつだろ」
「もう、良いから傷見せて」
「おう、よろしく頼む」
俺は屈んで傷を見る。
右の太腿の外側がパックリ裂けている。
「ジーン薬かけるよ、我慢して」
「わかった素早くやってくれ」
「大丈夫だ。ご領主様の薬は良く効くから」
装備の内側に縫いつけた水と止血剤、化膿止め、傷薬の小瓶と包帯をだし、手早く処置して包帯で巻いて終わりだ。
そうびの内側はみんな何かしら縫い付けていて、俺は傷薬セットを縫いつけている。ジャンは干し肉を袋に入れて縫い付けていたはずだ。
穴のそばでギルとジャンが俺を呼んだ。
「どうしたんだ」
「エイベルぅ、デニスを上に引き上げたいんだ、なにか良い案ない?」
「ん?じゃんが土の操作で階段を作ればいいんじゃない」
ギルが残念そうに項垂れる。
「精霊さまは帰ってしまわれた。
呼び出せる魔力が残ってないよ」
「わかった、しょうがないなぁ」
『クリエイトアイスステップ』
「デニス、氷のステップを上がってきて、良かったなデニスその場所に血があって」
「これ血で出来てるのかよ、乗って大丈夫なのかー」
「巨大化解けば大丈夫、壊れない、はず」
最後の二文字だけ囁き、誰にも聞こえないように言った。
「巨大化とっくに解けてるよ、今行く」
数分してデニスが上がってきた!手にはジェネラルのドロップ品の大きなカエルの皮を持っている。
「見てくれこんなでっかい皮、何人のレインコート作れるだろうなぁ」
「あぁすごいな、、ごめん俺魔力切れた」
「「「「エイベルー」」」」
エイベルが茂みの中に倒れ込んだ。
次回の更新は21日8時10分を予定しています(*^^*)
よろしくお願いします。
申し訳ありませんでした!予約設定のミスにより上記に更新できせんでした。m(_ _)m
なので昨日分と今日の分を更新致します。
8時10分と15時10分に更新致します
よろしくお願いします_(._.)_
読んで頂きありがとうございます
少しでも良かった、先が気になると思った方は是非、高評価と星をお願いします。
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楽しんで貰えますように
2025年6月20日相晶三実




