ノーライフキングは登山がお好き 1 ~マンドラゴラを愛でる~
吾は、屋敷から125キルテ、1アワ30ミニほど飛んだ、山の裾野の森の中にいる。
ここから植生が変わる。樹木1本1本の含有魔力量が増えるからだ。
それにも原因があるのだが、、。
多くの錬成素材が豊富な場所で、
水晶が採れる所まで226キルテほど離れた場所に居る。
水晶の採れる山までひとっ飛びで飛べばすぐに目的も果たせそうなところをわざわざ歩くのか?
この森に入るとすぐ目に入る高く太い杉、ゴーマンスギには1メルテの蜂、コラプトスビーが棲息している。
縄張りの生息圏を飛んでいるものを見つけて100匹以上集団で襲いかかり死骸を巣に持って帰り死体を腐乱させて食べる特性の持った蜂がいるのだ。木の高いところに巣を作るため巣の近くはとてつもない悪臭がする。
臭い集団が襲いかかってくるなど考えるだけでも恐ろしい。
この森の制空権は蜂やらハーピーやら劣等竜やらで飛んでいる方が敵に襲われるのだ、ヤツらの素材回収以外で戦闘はしたくないのが本音だ。
屋敷を夜半過ぎに出発して1アワ30ミニ、あたりが明るくなってくる。
昼間シャリスに作ってもらった聖属性の結界を張る魔道具を持ってきている故、分厚い遮光マントを羽織らずとも太陽の下を歩けるというものだ。
それに吾の眷族たちが使う前に不具合はないかどのくらいの時間効力を発揮するのか等など調べなければならぬしな。
森の中に入ると、頭上はるか上に蜂の巣の匂いがここまで漂ってくる。ここは足早に抜けてしまうのがいちばん良い。
匂いがだいぶ薄くなってきた。木々は杉より白い木肌のトブナが多くなって来る。
ホッとして歩き出すと地面から生えた草が何株も吾の方に近づいてくる。
葉は斑入りのハート型ポストの様な葉をゆさゆさと葉を揺らしながら吾に近づいて来る。
吾の前に整列するといちばん良い葉が生い茂りみずみずしい株が
葉を腕のように使い、土から出て来ようと地面から抜け出そうとしている。
その姿はとても愛らしい。
ここで吾が手を貸してはならぬ。他の者の手で抜くと、その者の魂が抜ける程の声で泣くのだ。
根の上の部分に愛嬌のある顔があり、根の下は二股に分かれており足の役割をする。
彼らはマンドラゴラという魔力を持った植物で、薬効成分が豊富で万能薬を作るのに用いられる材料のひとつだ。
この長い考察中にやっと足が1本抜けた。他のマンドラゴラが集まってきて手を、もとい葉を貸している。まるで『大きなカ〇』の様だ。手伝ったマンドラゴラの魂は抜けないのだろうか?同種なら良いのか?
まだ葉が2本しか無い若い株が手を貸そうと、もとい葉を貸そうとするが、葉の多い株に馬鹿にされているようだ。
若い株が、やってみなければ分からない。
と言っているかは分からぬが手を、もとい葉を貸すと、スポッと大きなマンドラゴラが抜けた瞬間大きな声で泣き出した。
同種でも、ダメではないか。
手を貸したマンドラゴラたちが枯れ始める。
あぁ大変だ。
吾の魔力をマンドラゴラに与えると完全には枯れずにすんだようだ。
ナニヨリ、ナニヨリ。
まだ元気はないが、そのうち元気になるだろう。
抜かれた葉の多いマンドラゴラに吾の手を差し出すとちょこちょこ我の手によじ登りちょこんと座った。
「ダメではないか、手伝って抜いてもらったのに枯らしてしまっては」
葉の多い株のマンドラゴラは葉をゆさゆさ揺らす。
「ん?何、不可抗力とな、
仕方のないやつよ」
マンドラゴラが1本の手、もとい葉を差し出してきた。
「吾に葉をくれるのか、ソナタの大事な手、もとい葉であろうに」
マンドラゴラがわざわざ体ごとと揺らす
「ん、前リーダーだったマンドラゴラが吾に葉をやり魔力をもらって苗木なった、と。
そうか、吾はまた前に貰った葉が沢山あるからのう」
マンドラゴラの葉がシュンとなる。
「仕方がないのう、特別にソナタに吾の魔力をやろう、その代わり木になったら吾に実を分けてくれるのはどうだ」
マンドラゴラが嬉しいそうに葉を瑞々しく茂らせ吾の親指に擦り寄った。
マンドラゴラはリズミカルに葉を揺らしている。あまりに可愛くて、指で腹と思われるところを擽る。
嬉しそうに葉をワサワサと揺らす。
遊んでいるうちに日が昇ってきたようだ。木漏れ日が吾の頬を焼く。
結界の魔道具を吾の影から取り出し、魔道具に魔力を流すと魔道具がほのかに光り吾の周りに聖属性の結界を張った。
吾の半径1メルテが結界内のようだ。
魔力の減りは然程ではないな。後どれくらいこの結界が持続するかだな。
うむ、と頷きマンドラゴラに魔力を与え、苗木になったマンドラゴラに会いにいく。
「ではな、マンドラゴラよ、良い苗木になると良いなっ」
マンドラゴラを地中に戻して吾は先に進む。
いかんいかん、マンドラゴラで遊びすぎてしまった。
暫く歩く。フ、と立ち止まった。
そういえば手伝いをしたマンドラゴラにも吾の魔力を分けた与えたのだから、手伝いをしたマンドラゴラも苗木になれるのではなかろうか?
まぁ、良いか。 ソレはソレで。
吾はまた歩き出した。
読んで頂きありがとうございます。
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2025年6月5日




