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命運をかけた試験の始まり

 試験会場は広大なフィールド。太陽が照りつける中、約5000人の受験生たちはスタートラインに並んでいる。試験官たちが見守る中、この試験がただの障害物競走ではないことは誰もが理解していた。それぞれの障害が巧妙に配置され、受験生たちの強さだけでなく、冷静な判断力や機転、能力の応用力が試される。


 俺はその中に立っていた。試験の目的が明確に分かっているだけに、気を引き締める。視界の隅に、リュート・アークレイの姿が見えた。影を操る彼は、周囲の状況を冷静に見極め、すでに1位候補として名を挙げられている。その無駄のない立ち姿からは、余裕さえ感じられる。


「リュートか……やはりあいつは1位候補だろうな。」


 一瞬でも油断すれば、自分のペースを崩される気がした。だが、俺も負けてはいられない。これからの試験は、自分の力を証明するための大きな一歩だ。


 試験官が静かに腕を上げ、合図が響く。スタートの合図が鳴り響き、受験生たちは一斉に駆け出した。風の力を使い、すぐに加速。周囲を素早く観察し、障害物に対する対応を考える。


 最初に現れた障害は、巨大な人工魔物たちだった。目を赤く光らせ、怒り狂っている魔物たちが道を塞いでいる。その数は20匹以上。鋭い爪が地面を引っかき、凄まじい音を立てて迫ってくる。


「うわ、これはヤバいな……」


 魔物の攻撃を受けたら一発で終わるだろう。俺は風の力を使って体を浮かせ、魔物たちの上を越えていく。翼のように広げた風の力で、高速で飛び越える。しかし、途中で魔物の一匹が爪を振り上げ、その攻撃が俺の足元をかすめる。


「危ねぇ……!」


 すんでのところで回避したが、スリル満点だ。魔物たちは驚いて俺を見上げるが、追う間もなく俺はさらに先へと進んでいった。その間に多くの受験者も突破していく。


「一つ目は突破……次は何だ?」


 次に待ち受けていたのは、泥に覆われた沼地だった。足を踏み入れると、足元がずるずると沈んでいく。泥の中には不明な魔法トラップが仕掛けられており、次々と触手が現れて足を捕まえようとする。


「くっ……!」


 足を取られそうになりながらも、俺は風を使って自分を浮かせ、触手をかいくぐりながら進む。だが、また新たな障害が現れる。泥の中に眠る人工魔法生物が、突如として現れ、俺や受験者達に向かって襲いかかってきた。


「くそっ、まさかこんなところに人工魔物までいるのか……!」


 俺は風を使って急加速し、魔物の攻撃をかいくぐりながら前進。しかし、さらに後ろから現れる触手に足を捕まれそうになるが、風で瞬時に浮遊してそのまま回避。泥の沼地をなんとか抜け出した。ここで脱落した受験者もいたが大半は突破している。


「よし、もう一つ突破だ。」


 息をつく間もなく、次に現れたのは大きな岩壁。転がってくる岩の隙間を縫って進むが、その速さと不規則な動きには警戒が必要だ。風を使って軽やかに飛び越え、回避。しかし、足元を踏み外した瞬間、地面が崩れ、岩が転がってきた。


「おっと、危ねぇ!」


 その時、背後から聞こえる、大きな足音。振り返ると、ザリア・ブリムが力場を発生させ、転がってきた岩を簡単に押し返している。ザリアは2位候補として名を挙げているいわゆるパワー系だ。その力強さと冷静さには圧倒される。


「ふん、こんな簡単なトラップで私を止められるとと思うなよ!」


 ザリアはそのまま、岩の隙間を巧みに通り抜ける。力場を駆使して、障害物を自分の力で突破するその姿は、まさに圧巻だ。無駄な動きがなく、必要なときだけその能力を使いこなしている。


「ザリア、やっぱり2位候補は伊達じゃないな……」


 俺は彼女の後ろ姿を見送りつつ、次の障害へと進む。すると、今度は魔法陣が次々と発動し、周囲を爆発させるようなトラップが現れた。フィールドの地面が爆発し、爆風が吹き荒れる中、俺は風を使って素早く動き、爆発をかわしていく。ここまで行くと多くの受験生は脱落していた。


「よし、ここもなんとか突破」


 その先には、魔法生物の群れが現れる。恐ろしい形をした魔物たちが、俺を取り囲んでくる。だが、今度はザリアがすぐに前に現れ、力場を展開してその攻撃をすべて受け止めた。彼女は、その余裕の表情を浮かべながら、魔物たちを弾き飛ばしていく。


「そこの君、立ち止まっているとやられてしまうぞ」


 ザリアのその言葉が、俺の耳に響く。彼女の強さを改めて感じながら、次の障害へと進んでいく。


 そして、最後に現れたのは、巨大な魔法の塔だった。塔の上からは鋭い光が放たれ、魔法の矢が降り注いでくる。これを避けるためには、高い反応力と速度が求められる。俺は風を使い、矢を避けながら塔の周りを駆け抜ける。


 ゴールが近づくにつれ、体力が限界に近づいていた。それでも、何とか足を動かし続け、ゴールラインが目の前に見えた。最後の力を振り絞り、32位でゴール。合計128名の受験者がゴールした。


「リュート、ザリア、やっぱりすごいな。」


 リュートはすでにゴールしていた。その姿を見るにかなり前にゴールしたのだろう。ザリアは数分遅れてゴールし、堂々と2位でフィニッシュしたようだ。試験官たちがその結果を見て、静かに頷いている。


「リュート、ザリア、やはりあの二人が今期の注目株だな。」


「ザリアの力場の使い方、特にその安定感は見事だ。リュートは影の使い方が洗練されている。」


「他の受験者も悪くない。自分自身の能力を理解し、立ち回っているようだな。今後の成長に期待が持てる。」


「でも、彼らにはもう少し耐久力が必要だな。彼らの能力は素晴らしいが、後半の消耗が早かった。」


「だが、それを補うために調整できれば、かなりの伸びしろがありそうだ。」


 その中に1人、フィリアスに注目している試験官がいた。


「彼のあの能力…..本当にただ風を使っているだけなのか?フィリアス・アストラフィムと言ったか。覚えておこう」


 試験官たちが評価を交わす中、俺は次のトーナメントに向けて、自分の力をさらに磨かなければならないと強く感じていた。


 試験官たちが試験の進行を担当する広い観客席前で、ゆっくりと集まってきた受験生たちの前に立つ。数百人もの目が一斉に試験官に注がれ、その空気が一層緊張感を帯びる。試験官の中でひときわ目立つ人物が、手に持った魔法の杖を掲げると、静かながらも圧倒的な存在感を放ち始めた。


「さて、これから始まるのは、大規模なトーナメントです。」


 試験官の声が響き渡る。


「まず、参加者は奇数組と偶数組に分けられ、乱闘形式で戦ってもらいます。」


 その言葉に、受験生たちはざわめく。乱闘という言葉だけで、戦いの激しさが伝わってきたからだ。


「この乱闘戦では、相手を戦闘不能にするか、場外に出した時点で勝利となります。無理に攻撃する必要はありませんが、戦闘を避けて通過することも許されません。」


 試験官は一度間をおいて、真剣な表情で続けた。


「そして、各組の戦いで残った2名は、次の決勝戦に進むことができます。」


 視線を受け止めた試験官は、短く息を吐くと、参加者たちに注意を促した。


「くれぐれも注意して欲しい。万が一でも命に関わるような事態が起きれば、即座に試験を中止する。その場合は、失格となることを理解しておいてください。」


 その後、試験官たちは参加者に順位を伝え、順番にステージへと向かわせる。


「順番を間違えないように。」


 試験官の声が響き、受験生たちはそれぞれの組み分けを確認しながら、各自の戦場へと向かっていった。


 俺は偶数組に属しているのを確認し、戦いに向けて気持ちを引き締める。彼の前にはザリア・ブリムもいる。リュートは奇数組にいるため、その戦いを確認することになるが、今は目の前の戦いが優先だ。


「前世はここで脱落したが今回はそうはいかない。」


 俺は静かに呟き、拳を握りしめる。


 試験官の合図とともに、フィールドに立つ受験者たちが動き始める。周りの参加者たちの表情には、緊張や興奮が入り混じっているのがわかる。俺もその一人だ。冷静に周囲を見渡しながら、自分の体勢を整える。ザリアの姿を見つけた。彼女はすでに準備が整っている。無駄のない動きで、周囲を警戒しているのがわかる。俺は、彼女を意識しながらも、他の参加者にも気を配る。


「ザリアと戦っても今の俺じゃ太刀打ちできないだろう、避けながら戦うぞ」


 心の中で呟く。だが、俺はザリアと戦うつもりはない。彼女は強すぎて、今の俺では勝てないことを自覚している。だからこそ、冷静に他の相手に集中する必要がある。


 試験官が再度合図を送ると、静寂が破れ、戦いが始まった。


 戦闘が始まると、すぐに周囲が動き出す。俺もその流れに乗り、風の力を使って、まずは周りの参加者たちと戦い始める。風を使って距離を取ったり、相手の動きを封じたりして、なるべく無駄な接近戦を避けるようにしている。


「一気に片付けるぞ、だが目立ちすぎないように……後が厄介だ。」


 俺は小さく呟きながら、風を操りつつ、何人かの参加者を倒していく。風を使った遠距離攻撃が上手くいき、何人かが倒れていく。


 周囲を見ると、ザリアが相変わらず冷徹な眼差しで周りを観察しているのがわかる。彼女の動きもまた圧倒的だ。力場を使って物理的な攻撃を次々と無力化し、反撃に転じるその戦い方は、他の参加者たちにとっては圧倒的すぎて、相手にするにはあまりにも難しすぎる。


「ザリアは……やっぱり異次元だな。」


 俺は彼女を見つめ、改めてその強さを実感しつつ、戦いに集中する。


 俺が次々と相手を倒していると、気づけば周囲に残る参加者が少なくなっていた。だが、やはり気を抜くことはできない。どこからともなく、何人かが俺を取り囲んでくる。ちょうど3人だ。


「こいつの風は厄介だ!早めに脱落させるぞ!」


「うっとうしいな……」


 俺は冷静に風を使い、まずはその隙をついて一人を風で吹き飛ばす。だが、残りの二人が素早く動き、再び囲んでくる。やはり厄介だ。力を込めた攻撃が飛んでくるが、俺は風を使ってその攻撃をかわしながら、トラップを仕掛ける。


 俺は風の流れを操り、彼らを引き寄せる。


「なっ!体が引き寄せられる……!」


 引き寄せられた瞬間に、もう一方の風を使って相手を吹き飛ばす。この連携で、なんとか二人を倒すことができた。


「ふぅ、ようやく片付いた。」


 汗をぬぐいながら、俺は周囲を見回す。残る相手はあとわずかだ。だが、冷静に、だが確実に勝ち進むことを心がける。


 戦いも終盤に差し掛かると、俺はもう残り少ない受験者を見定めながら動き続ける。周囲は、俺と同じように勝ち進んでいる者たちが多いが、正直、強敵が残っている。ザリアもその一人だが、彼女との戦いは避けなければならない。だからこそ、残りの敵を確実に倒す必要がある。


「……あとは、こいつらか。」


 俺は冷静に、そして力強く周囲の敵を倒していく。風を使って相手の攻撃をうまくかわしつつ、逆に風を使った一撃を決める。だが、残る相手はなかなか手ごわい。


 その時、ふと視線がザリアに向かう。彼女は、依然として余裕を持って戦っている。周囲の参加者たちが次々と倒れていく中で、ザリアは一度も動揺を見せることなく、その力を存分に発揮していた。


「やっぱり、違うな……」


 俺は冷静に、周囲の敵を倒していく。風を使って相手の攻撃をうまくかわしつつ、逆に風を使った一撃を決める。その度に周りの受験者たちが驚く顔をするが、俺には何も感じることなく次々と戦いを進めていく。


 だが、残る相手はなかなか手ごわい。もう数人しか残っていないが、俺が一歩先を行くことでなんとか戦いを有利に進めていた。だが、ふと視線がザリアに向かう。彼女は、依然として余裕を持って戦っている。周囲の参加者たちが次々と倒れていく中で、ザリアは一度も動揺を見せることなく、その力を存分に発揮していた。


「やっぱり、違うな……」


 俺は少しだけ息をつきながら、再び戦いに集中する。ザリアを意識しつつも、目の前の戦いを終わらせなければならない。残った俺以外の3人の中にはザリアを含めどれも油断できない実力者ばかりだ。


 その時、一人の男がが近づいてきた。目を合わせると、彼はニヤリと笑いながら言った。


「ここまで残るとはなかなかの実力者だな。名前は?」


 俺は少し驚きながらも、冷静に答える。


「フィリアス・アストラフィムだ。」


「フィリアスか、覚えておこう。俺の名前はカルロス・ヴァレントだ」


 カルロスは軽く頷き、剣を片手に構え直した。その動作は無駄がなく、まるで剣が彼の一部のように自然だ。


「お前は風使いのようだな?」


 カルロスは目を細めながら言う。その視線の先にあるのは、俺が放つ風の力だけではなく、彼が持っている自信も感じ取れる。


 俺はその瞬間にカルロスが剣使いだと見抜いた。見た目の立ち振る舞いや、その力強いオーラから、剣を使いこなしていることが分かる。剣士にしては身体の線が細いが、それだけに動きが鋭く、まるで舞うように戦うことができるだろう。


「剣使いか。だが、それだけじゃ俺には足りないぞ。」


 俺はカルロスを見据え、戦う準備を整えながら言った。カルロスは俺の言葉に一瞬だけ笑みを浮かべたが、その表情はすぐに引き締まった。剣を一度軽く振ると、その動きがまるで空気を切り裂く音を立てて響く。彼の目には、戦いに対する覚悟が宿っていた。


「足りないだと? じゃあ、見せてやるよ。」


 その言葉と同時に、カルロスはすぐに前に踏み出し、剣を構えた。全身の筋肉が一斉に動き出すその瞬間、俺は反射的に風を操り、自分の周りに風の盾を展開した。


 カルロスは一気に間合いを詰め、刃が風を切り裂く音と共に俺に向かって鋭い一撃を放ってきた。だが、俺は風の力でその攻撃を巧妙に逸らし、空気の流れを変えることでカルロスの刀が進行方向を外れた。すぐさま反応し、後ろに一歩下がり、風の刃をカルロスの胴回りに向けて放った。


「これが風の力だ。」


 風の刃は予想よりも鋭く、まるで刃物のように切り裂く。カルロスの目が一瞬驚きの表情を浮かべたが、それでも彼はひるまない。足元をきちんと踏みしめたまま、素早く横に転がりながら回避する。その動きは流れるように滑らかで、俺は思わず感心してしまった。


「なかなかやるじゃないか、風使い。」


 カルロスは立ち上がり、剣を構え直した。その目には、挑戦的な光が宿っている。そして次の瞬間、彼は驚くべき速度で再び前に飛び出した。剣を横に大きく振り、その攻撃はただの斬撃ではなく、まるで大波のような圧力を伴っていた。


「くっ……!」


 その一撃は、ただの斬撃以上のものだった。カルロスが放った剣の一閃は、周囲の空気を圧縮し、風を巻き込んで俺に迫ってくる。俺はすぐに風を使って空気の流れを変え、攻撃を少しでも逸らそうと試みたが、どうしてもその速度についていけなかった。


「フッ……!」


 カルロスの剣が俺の腕をかすめた瞬間、鋭い痛みが走った。深く切られたわけではないが、力強い攻撃にかろうじて耐えた。


「お前の風もいいが、剣の力にはかなわないな。」


 カルロスは冷静に言う。その目に見えるのは、確かな自信と共に俺を打ち負かそうという意志だ。彼の剣の使い方は、力任せではなく、まるで空気を切るように繊細でありながら鋭さを増していく。


 俺は短く息を吐いて、再度風の力を最大限に引き出した。体の周りを包み込むようにして風を強化し、その風を利用して一気にカルロスとの距離を取る。


「風だけでは、まだ足りない。」


 俺は冷静に、だがその目に決して退くつもりはないという意思を見せて言った。カルロスは剣を再び構え、その目を鋭く俺に向けた。


 そして、次の瞬間、俺はカルロスの剣が振り下ろされる瞬間を見極め、風を使ってその一撃を受け流した。だが、カルロスの攻撃はそれだけでは終わらなかった。素早く、次の一撃が間髪入れずに続いた。剣の鋭さに加え、彼の動きはまるで一切の無駄を省いているようだった。


「くっ……!」


 俺は風を使って必死にその攻撃を避け、間一髪で反撃のチャンスを探る。だが、カルロスの連撃は続き、どこからでも新たな斬撃が飛んでくる。俺はさらに風を操り、攻撃の角度を変え、回避するための最善の方法を探していた。


 彼の目は、ただの戦士の目ではない。戦いの中で無駄な動きがなく、すべてが計算され尽くしているように見える。まるで彼の剣が、空気そのものを切り裂くかのような圧倒的な力を持っている。その攻撃の一撃一撃が、ただの斬撃に留まらず、まるで周囲の空気をも巻き込みながら迫ってくる。


 俺は、体の奥から湧き上がる疲労を感じながらも、必死に風を使って反撃の隙をうかがっていた。カルロスは、次々と繰り出される攻撃のどれもが鋭く、まさに一瞬の隙を見逃さない。その剣が俺に迫るたび、風をうまく使って何とか受け流していたが、攻撃を避けることが精一杯だった。


 しかし、カルロスはそのすきを突くように、再び剣を振り上げ、豪快に切り下ろしてきた。


「そんなに避けてばかりじゃ、勝てないぜ!」


 その言葉と共に、カルロスの剣が猛スピードで俺に迫ってきた。俺は再び風を使ってその攻撃を受け流そうとしたが、今回はその力が足りなかった。わずかな隙間を狙って、カルロスの剣が俺の体にかすり、激しい痛みが走った。


「ただ避けてたわけじゃない!」


 痛みに耐えつつ、俺はその場を跳ね除け、風を使ってすぐに距離を取った。息を整えながら、カルロスの動きを注意深く見つめる。汗が額から流れ落ち、体力が限界に近づいてきているのが分かる。しかし、まだ終わらせたくない。


「これで終わらせてやる!」


 俺は風をさらに強く操り、周囲の空気を巻き込みながらカルロスに向けて一気に突撃を仕掛ける。風の力を凝縮させた一撃が、カルロスの剣に当たり、風の刃が火花を散らしながら交錯した。


 だが、カルロスはその風を全身で感じ取りながらも、しっかりと踏みとどまり、剣をしっかりと握りしめて反応する。彼の表情は依然として冷静そのもので、息一つ乱れずに戦い続けている。


「くそ……!これでもダメか……」

「お前、ほんとに強いな……」


 その瞬間、俺の背後から鋭い視線を感じる。ふと振り向くと、ザリアの姿が見えた。彼女はまだ余裕の表情を浮かべており、遠くから戦闘を見守っている。その目が俺を見つめ、そして…。


 突然、彼女の手が動き、力場が俺達の方へと向かってきた。


「なに!?」


 俺達はザリアの力場を直に食らった。俺はなんとか風でもちこたえたがカルロスはその力場に耐えれずに場外へと吹き飛ばされた。


「もう待てん!さっさと勝負を決めないお前たちが悪い!これで私とお前の二人が決勝だな」


 そうザリアは言う。結果として俺とカルロスの勝負はつかなかったが俺は決勝戦へと進むことが出来ることになった。

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