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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
幕間 −『F &P』編−
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そういう存在

第四十一話

 あれから数日が経った。

あの日、『魔王狂信派』の残党の企みを阻止して、ソルナたちの元へ向かった俺たちは、そこで全員と合流し、捕まえてた敵を連行した。

そして、いつも通りギルド『アンダーワールド』に突き出してきたのだ。

マスコポル領に戻ると、街は活気に満ちており、それだけでマリアナが勝ったのだと確信した。

彼女は見事にやり遂げたのだ。

俺はそれをただ、誇らしく思った。

そして次の日、任務を完了したことを祝して、キャプリコンと『大樹』のメンバーと打ち上げをした。


「みなさん、本当にありがとうございました。」


そう言って頭を下げたのは、『大樹』のリーダーであるパティサスだ。

別に礼なんていらないのに、と思ったが、彼らからしたら絶対に自分たちではやり遂げられなかったことだから感謝させてくれ、とのこと。


「まあ、力になれたならよかった。」


「そうです。それに、ジャナさん、ミーニャさんそれにパティサスさんがいらっしゃらなければこの任務は達成できませんでした。こちらこそありがとうございます。」


とソルナが俺たちを代表して、挨拶する。

本来、こういうことはリーダーである俺がやるべきなんだろうが、いわゆる適材適所という奴だと受け入れてる(言い訳)。

とまあ、そんなこんなで打ち上げは盛り上がり、こんな話も聞けた。


「そういえば、なんでお前達のパーティー名は『大樹』って言うんだ?」


「おぉ、そのことか。まあ、大した経緯ではないんだけどな、見ての通り、ワシはドワーフ族だ。生まれも育ちもドワーフの国なんだが....。まずそもそも、ドワーフとは一般的なイメージ通り、鍛治に秀でた種族なのだよ。しかし、ワシは鍛治に全く興味が沸かなかったのだ。ワシは幼い頃から大自然、この世界そのものに魅せられていたのだ。」


.....。

同感だ、この世界は、本当に楽しい。

元いた世界に飽き飽きしていた俺からすれば、尚更だ。

俺はパティサスに深く共感した。

そんなことを思っていると、パティサスは話を続けた。


「しかし、それを周りはよく思わなかった。ドワーフならば鍛治を学べ。余計なことは考えるな。という昔ながらの風習が色濃く残ってた時代だったしのお。まあ、そんなこんなでワシは地元を飛び出してきたのだよ。そして、まるで一本の大自然にたたずむ『大樹』のようにワシの覚悟が揺らがぬよう、その名をつけたのだ。」


パティサスはそう締めくくり、ジョッキに入っていた酒を飲み干した。


「へぇー。なかなかにいいんじゃないか?」


「そ、そうですね!私は素敵だと思います!」


ルフテが続く。


「おっさんだけじゃない、私にもパーティー名にはこだわりがある。」


そう言ったのはジャナだ。


「私も似たようなものだが、見てわかるとおり、このがっしりとした筋肉質な体は、両親が私を戦士として育てたからだ。でも、私は動物が好きだった。それでよく修行をサボってたら、両親に見放された。ならば好都合と私も家を出てってやったってわけ。好きなことを貫く覚悟って言う意味では、おっさんの『大樹』にこめた意味と似てるだろ?」


「はっはっは!確かにそうだな!」


酒が回ってきたのか、ジャナもパティサスもご機嫌だ。

二人とも高笑いをしながら、それぞれの話を深掘りし合っている。


「実は、アタシもなんだよね....!」


最後に手を挙げたのはミーニャだ。


「二人みたいに深い過去はないけど、植物オタクだった私は、どこか周りのみんなとずれていて、勝手に孤立してたんだよね。誰とも話が合わないっていうか。でも、二人に出会って、私だけじゃないんだって知れた。二人とは少し、解釈が違うけど、横の繋がりが、幹ができたという点では、『大樹』というパーティー名は私にとっても特別なものなんだ!」


言い終えると、ミーニャは少し照れくさそうに顔を隠した。

全員、それを見て思わず微笑んでしまったのだった。

こうして、この三人が集まれたことは奇跡だったのかもしれない。

これもまた、冒険なのだ。


・・・・・・

・・・・

・・


「そういえば、『人類の剣』って、他にどんな奴がいるんだ?」


しばらくたって、俺はキャプリコンの方を向き、個人的に質問を投げかけた。

キャプリコンの実力を知ってしまった以上、純粋に興味が湧いたのだ。


「そうですね、みなさんかなり特徴的ですね。隊長のエリス殿、その補佐のリブラ殿。それに冒険者と兼任されてる方もいますね。あとは最近入った2人も優秀ですよ。まだまだ若いですが、私はその二人に可能性を見出しています。」


「なるほどな。そいつらは強いのか?」


「そうですね、かなり。」


「あんたよりも?」


「うーむ、あまりそう言ったことは言いたくありませんが、新人の二人はまだ私より弱いでしょう。それも時間の問題ですがね。」


少し、言葉を濁して言う。


おいおい。

それってつまり、他の奴らはキャプリコン並みもしくはそれ以上に強いってことじゃないか?

まじで、侮れないな『人類の剣』。


なんてことを思っていると、頭にもう一つの疑問が浮かんだ。


「じゃあ、ルクスとじゃどっちが強いんだ?」


「ルクス.....『勇者』殿のことですか?」


「ああ、ルクス・セラリタス。確か『刹那の勇者』とか呼ばれてた奴だ。」


「それは間違いなく、『勇者』殿でしょう。ヴァーゴ殿なら勝負になるかもしれませんが、厳しいのは間違い無いかと。そもそも『勇者』とは()()()()()()ですから。」


「そういう存在?」


「おや、ご存知でなかったのですか?この世界で最も強い生命体は『勇者』、『魔王』、『神獣』です。ですから、それ以外に、『勇者』が負けることはないんですよ。それに人類は絶対に『勇者』を倒せませんから。同様に『魔王』も魔族は倒せない。それはもう世界がそういう仕組みなのでどうしようもないです。」


「え?そうなの?」


キャプリコンが静かに頷く。

どうやら本当みたいだ。

なんだかすごい貴重な情報を聞けた気がする。

俺は『人類の剣』を侮っていた以上にルクスを侮っていたらしい。


でもまあ、思い返してみればその通りだな.....。

初めてルクスに会った時、俺はあいつの速度についていけなかった。

それに、あいつの斬撃を避けれたのもギリギリだった。

しかも、あれはあいつの本気じゃないらしい。


「ところで、あなたこそ何者なんですか?」


今度はキャプリコンからの質問だ。


「お、おれ?」


予想していなかった質問に、思わず気の抜けた返事をしてしまう。


「俺はただの冒険者だよ。駆け出しのな。」


「ふむ。どうやらそれでは説明がつかない強さをお持ちのようですが。それにパーティーメンバーもかなり異色ですね。」


そういうと、キャプリコンは俺、ルフテ、フリエナ、ソルナを順番に見た。


「あなた方は、集められるべくして集められたのかもしれませんね.....。素晴らしいメンバーだと思いますよ。」


「ど、どうも....。」


なんかよくわからないが、褒められたのだけは伝わった。

俺がなんなのかは俺も知りたいところだがひとまず置いておくとして、どうやらキャプリコンはルフテ、フリエナ、ソルナにまで何かを見出したらしい。

それに、気のせいかもしれないが、一瞬俺のリュックで息を潜めているコラゴンを見つめていた気がする。


こりゃあ、マジで侮れないな...。


そう思ったのだった。


・・・・・・

・・・・

・・


別れにそんな時間はかからなかった。

全員どこかでまた会えると思っているのか、はたまた別れに慣れているのかはわからないが、それぞれが宿に着くまではそんなに掛からなかった。


「ふぅーーーーー。疲れた!」


「ほんまやで。俺っちなんもしてへんけど、お前と一緒にいるとなんだか疲れるんよなぁ。」


コラゴンが言う。


「薄々気づいていたけど、ユキマルって巻き込まれ体質やな。」


俺はそう指摘されて、少しギクっとなる。

確かにこの世界に来てから、いろんなことに巻き込まれている気がする。

まあ、俺的には元の繰り返すだけの日常を送る生活よりはいいわけだが.....。


「じゃあ、夜も遅いしそろそろ寝るか。お前も明日までに準備しておけよ!」


「準備?」


コラゴンが聞き返す。


「はぁ?準備って次は『魔王狂信派』との全面対決だろうが!」


「そういえばそうやった!まるで実感が湧かへんけど、これで全ての決着がつくんやな?」


「ああ、そうなるな。」


そう、次の目的地は『カヒューゼム教国』。

なぜかはわからないが、『魔王狂信派』をまとめている7人の『布教者(ミジョナリーズ)』が集まっているらしい。

そこでついに決着をつけるのだ。


「おそらくバニティーもそこにいる。マジの最終決戦だ!」


俺はベッドにで仰向けになりながら、拳を高く突き上げた。


「勝つぞ!」


「せや!」

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