表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第一章 ギルド加入編
4/51

ありがとう

第四話

 普通、人探しをする時は、ある程度目星をつけるものである。

では、それがない場合はどうするのか?

答えは知らない。

なぜなら、その答えを知りたいと思っているのは他でもない俺自身だからだ。

と言うのも、俺は広大な森から一人の少女を探すという愚行に走ってしまった。

見つけるには、一生分の運を使う必要がありそうだ。


「ったく。どこにいるんだよソルナ!」


その時だった。


『ピロン』


聞き覚えのある通知が鳴った。


『スキル <<レーダー>> を習得しますか?』

  >はい

  >いいえ


レーダー。

目の前に出現した『ブルーボード』にそう書かれている。

俺がちょうど欲していたものだ。

もちろん『はい』を選択する。

すると突然、脳内に森の全ての情報が流れ込んできた。

もちろん、ソルナの位置情報も完璧に捕捉できている。

倒れている。気絶しているようだが、まだ息はある。

でも急がなければ、『フレイムドラゴン』が彼女を八つ裂きにしてしまう。


「間に合うか?いや、この足なら!」


実はこの世界に来てから身体能力が大幅に上昇しているのだ。


『ピロン』


潜在能力(パッシブ)No.20 <<腕力上昇(超)>> を解放します。』

潜在能力(パッシブ)No.21 <<脚力上昇(超)>> を解放します。』

潜在能力(パッシブ)No.22 <<体力上昇(超)>> を解放します。』

潜在能力(パッシブ)No.23 <<耐久力上昇(超)>> を解放します。』

潜在能力(パッシブ)No.24 <<反射速度上昇(超)>> を解放します。』

潜在能力(パッシブ)No.25 <<動体視力上昇(超)>> を解放します。』


これは俺がこの世界に召喚されてまもなくに来た通知だ。

当時は、見逃していたが、宿で『ブルーボード』を確認しているうちに見つけたのだ。


<<脚力上昇(超)>>の効力は凄まじく、(はた)から見たら、風が吹いたようにしか見えないだろう。それぐらい早く走れる。

そんなことを考えていると、ソルナらしき人影が見えた。

大きな岩にもたれかかっていて、頭から出血している。


「よし!まだ息はあるな!」


『ピロン』


『スキル <<ヒール>> を習得しますか?』

  >はい

  >いいえ


ナイスタイミングだ。

もちろん『はい』を押す。


「『スキル』 <<ヒール>>!」


パァァァァァァ


暖かい光に包まれて、ソルナの怪我がどんどん治っていく。

パックリ開いた傷も、傷跡一つ残さず完治している。


「このヒール(スキル)は使えるな。」


俺は<<ヒール>> を重宝しようと思った。


「とりあえずこれで大丈夫だ」


あとはソルナを担いで逃げるだけ......そう思った時だった。


ドォォォン


凄まじい衝撃と共に、荒れ狂う突風が俺たちを襲う。

見なくてもわかる。『フレイムドラゴン』だ。


「うっ....ううぅ」


「起きたか!?ソルナ!」


先ほどの衝撃で、ソルナが目を覚ます。


「あれ...私....」


「ああ、お前は今まで気絶していた。早速で申し訳ないが逃げるぞ!」


寝起き(?)で意識が朦朧としているソルナを急いで担ぐ。


「え、えぇ?」


とても軽い。

彼女が軽いのか、それとも <<腕力上昇(超)>> の効果なのか。

おそらく、その両方だろう。


しかしそんなことは、どうでもいい。

今は余計なことを考えずに走るしかない。


ギュアオォォォォオ


後ろからドラゴンがすごいスピードで追いかけてくる。


 おそらく、本気で逃げれば、俺が『フレイムドラゴン』に追い付かれることはない。

でも、今はソルナを背中に背負っている。

仮にも先程まで気絶していたのだ。今は無傷だとはいえ、衝撃を与えるわけにはいけない。

そんなわけで、かなりギリギリの追いかけっこをしている。

後ろから、戦車が迫ってくるような感覚だ。

ここで俺は自分のミスに気づく。

なんと、逃げた先に崖があったのだ。

ソルナを見つけたあと、『スキル』 <<レーダー>> を切ってしまっていた。


「なんてベタな展開だよ!」


崖下には森が広がっている。

俺は潜在能力(パッシブ)があるから、飛び降りても平気かもしれない。

でもソルナは....。


「起きてるな?ソルナ。」


「うん。」


「今から、あのトカゲに俺たちに喧嘩を売ってきたことを後悔させる!」


力強く言ってみたものの、俺にはなんの作戦もない。

謎の自信があるのは、ひとえにソルナの存在だ。


「それじゃあ、ソルナ、お前の魔法で、あいつに牽制してくれ、その間に俺がなんとかする!」


「........」


とりあえずの作戦を伝えてみたが返事がない。


「...........いの」


「ん?」


「魔法なんて使えないの!」


は?どういうことだ??

まさかその見た目で、魔法が使えないなんてことがあるのか??


そこで、ふとソルナの言動を思い返してみる。

魔術師適正の話をしていた時の暗い顔はそう言うことか。

それに、彼女は一度も自分が魔術師だとは名乗っていない。

どうやら魔法が使えないことは本当のようだ。


「こうなったら俺一人でやるしかないか。」


「待って!一人でドラゴンと戦うなんて無茶よ!死んじゃうわ。」


「やってみるしかない。」


そうこう話しているうちに、『フレイムドラゴン』はすぐそこまで差し迫っている。


ブオォォォォォォォ


ドラゴンが口を開いて、火を吹く。

迫り来る猛火の前に俺は思った。


あ。これマジで終わったっぽい。


しかし神様はまだ俺を見放さないようで、またまたあの通知音が鳴った。


『ピロン』


潜在能力(パッシブ)No.1 <<炎耐性(特)>> を解放します。』

潜在能力(パッシブ)No.7 <<物理耐性(特)>> を解放します。』


『フレイムブレス』がユキマルの体を包む。


「ユキマル君!」


ソルナの悲痛な叫び声が聞こえる。


「熱っ.....いや?ほんのり暖かい....。」


なんだ、大してすごくないじゃんと思い、後ろを振り向くと、そこには燃え尽きた木々が倒れていた。


やべええぇぇぇよ。まじで死にかけたって.....!


しかし動揺している暇もない。

やつが次の攻撃をしてくる前に、なんとかしないといけない。

それに勝算はある。

俺にはCランクの魔物を一撃で葬ったスキル『クロースラッシュ』がある。

Bランクのドラゴンに通用するかわからないが、少なくともダメージは入るだろう。

何発か殴れれば、倒せない相手ではないはずだ。


「うおおおおおおっ」


『フレイムドラゴン』めがけて、思いっきりジャンプする。


「やべっ。跳びすぎた!」


まだ、自分の身体能力に慣れていない俺は、ドラゴンを余裕で飛び越えてしまったのだ。

このままでは、スキルを当てることができない。


「『スキル』 <<ロープ>>」


ソルナがスキルで俺の足にロープを結ぶ。

下に引っ張られる感覚がして、ジャンプの勢いがおさまる。


「ナイスだ!ソルナ!」


下にいるソルナに向かって親指を立てる。


「お前はこれでも食らっとけぇぇぇぇぇぇ!」


『スキル』 <<クロースラッシュ>> を発動し、『フレイムドラゴン』の脳天めがけて思いっきりぶん殴る。


ドオオオオオオオン


落下の威力も相まって、予想とは裏腹に、凄まじい衝撃が起こり、ドラゴンが動かなくなる。


「ふう。なんとかなったな...。」


どうやら『フレイムドラゴン』の討伐に成功したらしい。


「ほ、本当に倒しちゃった...。」


後ろからソルナの声が聞こえる。

彼女も無事のようだ。


「ああ。本当にな....。」


「.....」


「なんだよ?」


ソルナが黙り込む。


「その.....ごめんなさい。迷惑かけて....。私のせいで、ユキマル君を危険に晒して...。」


ソルナが震えた声で呟く。


「違うだろ。こう言う時は、ごめんじゃなくて、ありがとうって言うんだ。」


そう言って、俺はソルナに笑いかける。


「それに助けに来たのは、俺の意思だ。」


そう付け加える。

すると彼女は、一瞬目を見開いて、驚いた表情を見せたあと笑顔を見せた。


「........ありがとう!」


「おう!」


俺は頷いて、来た道を歩き出した。

今回は『レーダー』の発動を忘れていない。


「それじゃあ帰るか。」


「そうね、帰りましょう。」


こうして、俺たちはやっとのことで帰路に着いたのだった。

だんだんと設定が増えてきました。

作者自身、こんがらがらないよう頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ