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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第一章 ギルド加入編
3/50

初めての冒険

第三話

 集合場所に行くと、そこにはフィストたちの姿があった。どうやら俺で最後のようだ。

昨日の宴の時とは打って変わって、全員ガチガチに武装している。そういう俺も今朝早起きして装備を買いに行ってきた。と言っても全部合わせて2万ダルフもいかないぐらいの安モンだ。それでも気分は上がるものである。


「よし全員いるな!」


フィストが確認をする。ぐるっと見渡すと、元『ブレイズ』のメンバーに加え、俺とソルナがいる。

大丈夫そうだ。


「今日のクエストの内容は『ストリピックの森』に『ダークウルフ』の群れを討伐しに行くことだ。『ダークウルフ』は、Fランクで一体一体は弱いが、群れることで脅威になる。」


なるほど。群れると強いタイプのモンスターか。


「作戦は、俺たちが二手に分かれて、相手を分断し、連携の穴を突く。勝利の鍵は俺たちが、奴らの連携を上回ることだ。」


そう言ってフィストは作戦の確認と共に俺たちを鼓舞した。


 『ストリピックの森』とは『ララン』を出て南に進んだ所にある森のことだ。魔物が多く生息していて、一般人の立ち入りが禁止されている。とはいえ、『ララン』は冒険者の始まりの地としても知られているため、世界的に見ると危険度は低いらしい。でも死ぬ時は死ぬので気をつけることに越したことはない。


「あと、今回はソルナとユキマルの実力を知りたい。だからお前たち二人にそれぞれ前衛を任せる。ソルナはジーク、ガルド、キャルンと、ユキマルは俺とベスチーナと行動だ。わかったな!」


まじか。いきなり前衛を任されるらしい。

でも、俺にはCランクのデーモングリズリーを倒したスキルがあるから問題ないだろう......。

そう覚悟を決めて俺たちは出発するのだった。



 『ストリピックの森』へと向かう道中、ソルナが話かけてきた。


「ユキマル君はまだ魔法は使えないんだよね?」


どうやら他5人の会話に混ざるのが難しいらしい。

俺も黙って後ろをついて行ってるだけだから、わからなくはない。


そんなことより、魔法か。ん?待てよ。


そこで俺はふと疑問に思ったをソルナに聞いてみるとした。


「なあ、魔法とスキルって何が違うんだ?」


するとソルナは驚きの顔を見せた。


「そんなことも知らないの?」


仕方ないだろ。まだこの世界に来て日が浅いんだから。


「まず前提として魔法もスキルも魔力を消費するわ。」


なるほど。ゲームでいうMPみたいなもんか。


「そして魔法とスキルの違いは、消費する魔力の違いにあるの。」


「消費する魔力の違い?消費量のことか?」


「それもあるけど、もっと根本的な違いよ。」


「なんだ?」


「その人の魔力性質に6属性のいずれかが宿っているかどうかよ。」


「6属性?」


「えっと......その説明もした方がいいかな?」


本当に申し訳ない。

おそらくソルナからしたら、1+1はなんですかと本気で聞かれているようなものだろう。


「すまん....」


「6属性とは『炎』『水』『風』『雷』『地』『氷』のことを指すわ。そして、このうちのどれかが魔力に宿っていないと魔術師にはなれないわ。」


「なるほど。だから魔術師になれる人が限られているのか。」


「....そうね。」


一瞬、ソルナの顔が暗くなる。


今、一瞬.....気のせいか。


「あと、()()()に魔法はスキルより強いわ。スキルは無属性の魔力でも発動できるから、誰でも使える分、汎用性はあるけどね。でも属性が宿っている分、魔法の方が強いのは当たり前ね。」


何もなかったかのようにソルナが続ける。

それにしても説明がとてもうまい。おかげでスキルと魔法の違いを理解できた。

今の一連の話をまとめるとこうだ。


・スキル→魔力を消費して発動する技


・魔法→魔力に6属性のいずれかを宿している者が発動できる特殊なスキル


どうやら俺の魔力には属性があるらしい。

『ブルーボード』で確認できるのか?あとで確かめてみよう。


「ありがとな、ソルナ。最初の質問の答えだが、俺は魔法はまだ使えない。でもスキルがあるから大丈夫だ。」


「そう。なら安心ね。」


「そういえば、ソルナの魔力属性はなんなんだ?」


「私は......」


「おーいお前たち着いたぞ!」


前を歩いていたフィストの大声でソルナの声がかき消される。

どうやら目的地に着いたらしい。


ソルナの魔法属性については、また今度聞けばいいか。


そう思い、俺はフィストたちの方へと駆け足で向かった。


『ストリピックの森』はいたって普通の森だった。

魔物の巣くう森と言われて変に身構えていたが、その必要はなかったみたいだ。

広葉樹らしき木々が生い茂っており、周りには立ち入り禁止の看板が置かれている。

こういった一部の立ち入り禁止区域に入れるのも冒険者の特権だ。


「ここから『ダークウルフ』の群れを見つけるまで一緒に行動する。見つけたら、俺が気を引きつけるから、その間に二手に分かれといてくれ。奴らをうまく引き剥がすことに成功したら、別行動開始だ。」


「「了解」」


全員が力のこもった返事をする。



 森に入ること1時間。『ダークウルフ』の群れはすぐに見つかった。どうやら、奴らは気に入った岩場を縄張りにするらしく、該当する岩場をしらみつぶしにしていくうちに簡単に見つけることができたのだ。群れの数は8匹だ。黒い毛並みが美しく、口から覗く鋭い牙は、人間の腕ぐらいなら簡単にもいでしまいそうだ。


「じゃあ作戦通りに。終わったら森の外で集合だ。」


リーダーの掛け声と共に全員が行動に移る。


「オラァァよっ!!!!」


フィストが持ってきた中型獣捕獲用ネットを思いっきり投げる。


「ガルルルルゥゥゥ」


「2匹かかった、仕留めろ!」


合図と共に女剣士のベスチーナがトドメを刺す。

だがまだ3体残っている。

ソルナ、ジーク、ガルド、キャルンが他3体を引き付けているから実質6体だ。

すでに俺たちは二手に分かれていて、目の前の3体は俺たち3人でどうにかしなければならない。


「作戦は順調だ!冷静に対処するぞ!」


『ダークウルフ』と睨み合いながらフィストが叫ぶ。


「ユキマル、こんな時になんだがお前が使える魔法はなんだ」


「俺はまだレベル5だ。魔法なんてものは使えない。」


「「はあ?」」


フィストとベスチーナが驚愕の顔を見せる。


「変な冗談じゃあねぇよな?だとしたら作戦変更だ!レベル5のお前には『ダークウルフ』は早すぎる。俺とベスチーナで受け持つからお前は見学だ!下がってろ。」


少し残念だが、ここはリーダーの言うことを聞いておこう。

この世界における戦闘にも興味がある。

そうこう考えているうちに、『ダークウルフ』がフィスト目掛けて突っ込んできた。


「グルルララァァ!」


「『スキル』<<シールド>>」


カアアァァァン


『ダークウルフ』の突進がフィストのスキルによって弾かれる。


あれは、俺がデーモングリズリーと戦った時に使ったスキルだ。


観察する間もなくフィストが次の行動に移る。


「『スキル』<<シールドタックル>>!」


先ほど出現したシールドが『ダークウルフ』めがけて突進する。


バン!


鈍い音と共に2匹の『ダークウルフ』がよろける。

そこにすかさずベスチーナが追撃を加える。


「『スキル』<<バイブレーション>>」


振動する剣で2匹の『ダークウルフ』をバッサバッサと切り捨てる。


残り1匹だ。


「『スキル』<<スピンスラッシュ>>」


ぐるぐると回転しながら斧を振り回し、相手の首を見事に跳ねるフィスト。

一瞬にして『ダークウルフ』の群れが壊滅した。

流石は『フリーダム』最強のパーティーと言ったところか。


「先に森の外であいつらを待つぞ」


そう言うとフィストは森の外へと向かったのだった。



 冒険にはトラブルが付き物である。

それは今回も例外ではなかった。

何かがおかしいと感じたのは、森の外で4人を待ち始めてから2時間ほど経過した頃だった。


おかしい。いくらなんでも遅すぎる。

俺たち(正確には2人がだけど)は3匹を瞬殺したん。

4人がかりで手こずるわけがない。

『ダークウルフ』と戦っているうちに、森の奥の方へと行ってしまったのだろうか。


そう思った時だった。


っ....!


なんとボロボロになったジーク、ガルド、キャルンが森から出てきたのだ。

慌ててフィストが駆け寄り、3人に肩を貸す。

そして彼らの身に何が起こったのか聞き出そうとするが...


「どうしたお前ら?何があった?!」


「『フレイムドラゴン』だ!『フレイムドラゴン』が現れた!」


と剣士のジークが答える


「何言ってんだ。『フレイムドラゴン』なんて高ランクモンスターはこの森に生息していないはずだぞ!?」


「そんなのわかってるわ!でも、この有り様よ‼︎私達だって現実を疑った!」


と戦士のキャルンが続ける。


かなり取り乱している。

なんとか聞き出した事の転末はこうだ。


 俺たちと別行動を始めて、無事に『ダークウルフ』の討伐に成功したところ、どこからともなく『フレイムドラゴン』が現れて、なす術もなくボコボコにされたそうだ。

『フレイムドラゴン』とはBランクに分類される、本来この森には生息していないモンスターだ。そしていくつかのパーティーが合同で討伐にあたらなければならないほどの強さを持っている。

だから彼らが撤退を選んだのは正解である。

しかし俺にはそんなことはどうでも良かった。

なぜなら...


「ソルナはどこだ!?あんた達と一緒に逃げてこなかったのか?」


そう、ソルナの姿が見当たらないのだ。


「すまねぇ、ソルナは『フレイムドラゴン』の突風で飛ばされて意識を失っちまった。自分のことで精一杯の俺たちには、ソルナを運ぶ気力は残っていなかった。だから....」


「だから....置いてきたのか?」


「すまないとは思っている。でも、もうあいつを助けようがない.....」


ジーク達が間違っているのかなんて俺にはわからない。

ただ、こいつらを責めても何も変わらないことは確かだ。

ならば俺がすべきことは何か......。


「待てユキマル!どこへ行く気だ⁉︎」


背後からフィストの声が聞こえる。

でもそんなことは関係ない。

俺は森に向かって一直線に走り出していた。

今まで執筆とは無縁の人生でしたので、文章がおかしい部分が多々あるかと思います。

なんとなくで理解して頂けると幸いです。

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