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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第四章 偽勇者討伐編
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ソルナ&ルフテのスパイ作戦!

第二十七話

 時間は少し戻り、ユキマル達がマリアナを見つけた日の朝まで遡る。

まだ爆睡しているユキマルを横目に呆れながら、ソルナ達はその日の準備をしていた。

そう、これからソルナはルフテとマスコポル伯爵の情報収集をしにいくのだ。


「今のところ、私たちの正体はバレていないはずだから、普通に会いに行っても問題はないわよね。

下手に館に侵入するよりはマシなはずだわ。」


「そ、そうですね。」


ルフテが頷く。


「それじゃあ、優先事項の確認をしましょう。まず、私達が一番知りたいことは、『神武』のことね。」


そう、今私たちがマスコポル伯爵に手を出せないのは、『神武』に関する情報が不足しているから。

わかっているのは、それが恐ろしく強い効力の洗脳を施せる物だということ。

私たちは、『魔法道具(マジックアイテム)』で洗脳を阻害しているけど、これがどれだけ保つかはわからない....。


「次に知りたいことは、マスコポル伯爵と『西方奴隷商(スカーナル)』の繋がりね。魔王軍とも内通しているって話だけど、私たちとしては前者を優先したいわ。」


「そ、そうですよね....!フ、フリエナちゃんとコラゴンくんが酷い目に遭った、と聞いています。」


そう、私たちが初めて会った時、二人は、『西方奴隷商(スカナール)』の拠点の一つで捕まっていた。

コラゴンは自力で逃げ出したようだけど、フリエナはボロボロの状態で地下に幽閉されていた....。


「ええ、私たちは必ず情報を持ち帰って、あとはユキマルくんがどうにかしてくれるわ。」


私がそういうと、ルフテがポカンと口を開けながら、じっと見つめてきた。


「どうしたの?」


「あ、いいえ、その、私も、ユキマルくんのことを、信じてはいるのですが、ソルナさんほど盲目的に信じれるのはすごいなって...!私は、命を助けられて、初めてユキマルくんを信じようって思えたから....。」


「....。私もね、ユキマルくんに初めて会った時、命を救われたのよ....。」


「え....!?」


「だから信じるってわけじゃないんだけどね。『フレイムドラゴン』に致命傷を負わされて、他の人たちに見放された時、ユキマルくんだけは助けに来てくれた。なんの考えもなく、ただ、私を助けに戻ったんだって。本当バカみたい。」


ソルナがふふっと笑いながら言う。

その話しを、ルフテは静かに聴いている。


「実はね、私も少し、人間不信みたいなところがあったの。ルフテみたいに、パーティーを転々としてて、私、本当は魔法が使えないから。だから、どこのパーティーも数日で追い出されたわ。」


「そうだったんですね....。」


ルフテは、自分と似たような境遇にあったソルナのことを同情したと同時に少し親近感を感じた。

一人でいることの辛さがわかると同時に、今のソルナが幸せそうで、嬉しくなったのだ。


「そう、だからこそ、ユキマルくんが助けに来てくれた時は本当に嬉しかった。それは、彼が強いからだけじゃない、ユキマルくんなら、私を追い出したりしないという絶対の自信が生まれたから...。だからかな...?彼ならなんでもやってくれるんじゃないかって。不思議と頼ってしまうの。」


ソルナはルフテに微笑みながらそう返した。


「それじゃあ、私たちも出かけるとしましょう!」


しばらくの静寂を破って、ソルナが言う。


「そ、そうですね!私達もできることをやりましょう...!」


そう言って、二人のスパイ作戦が始まったのだった。



・・・・・

・・・



「き、緊張しますね....!」


マスコポル伯爵の屋敷の前についたルフテは横にいるソルナに震えた声で言う。


「え、ええ。でも、私たちはあくまでも交流会の役員だから。現場視察の名目での訪問なら問題ない、はず.....!」


「で、でも多少は怪しまれそうですよね?」


「そうでもないかも。私たちの他にも、屋敷を訪れた役員はいるらしいし。話を聞きたい、みたいな適当な理由でもいいみたいだしね。」


「そ、それなら、ひとまずは大丈夫そうですね。あとは、こ、この『魔法道具(マジックアイテム)』がどれだけ『神武』の効果を阻害してくれるかですね...。」


ソルナはコクっと頷くと、門を開けた。

屋敷の扉まで行き、ノックをすると、中から執事らしき男が出てきた。


「これは、これは。この度はご来訪いただきありがとうございます、ルフテ様、ソルナ様。」


「私たちのことを知ってるの?」


「もちろんでございます。交流会の役員の方々のことは屋敷内の使用人一同、頭に入っております。」


「す、すごいですね。」


「恐縮です。」


そういうと、執事は頭を深く下げた。


「それでは、失礼ながら。この度のご来訪はマスコポル伯爵との面会とのことでよろしいですか?」


「え、ええ。難しいかしら?」


「いえいえ、それはドレイク様も願ってもないことでございます。今回の交流会でも、かなりの人数と面会をされていたので、ソルナ様とルフテ様だけができないなんてことはございません。しかしながら──」


「しかし....?」


「はい、しかしながら、現在ドレイク様は他のお客様との会談中でして。少しお待ち頂けますか?」


「ええ、構わないわ。」


「ありがとうございます。それではこちらへ。」


そう言うと執事は、私たちを応接室へと案内した。


「それではお茶を淹れてまいりますので、しばらくお待ちください。」


部屋のドアが閉まるのを確認して、私はルフテの方を見た。

どうやらガチガチに緊張しているようだ。


「ねぇ。これってチャンスだと思わない?」


「え!?」


私の突拍子もない提案にルフテが驚く。


「そ、それって....?」


「マスコポル伯爵が他の人と面会している最中は、屋敷を調べ放題ってことでしょ?」


「でも執事さんが途中で呼びに来たらどうするんですか....?!」


「ルフテがここに残って、もう一人はお手洗いにいます、みたいなことを言えばいいんじゃない?」


「わ、わかりました....。すぐ戻ってきてくださいね!」


「わかってるわ。とりあえず、このあと執事の人がお茶を運んでくるはずだから、その時に始めるわ。」


コンコン。


「失礼します。お茶をお持ちいたしました。」


言った側から、執事が部屋に入ってきた。

執事がお茶を出し終えると、部屋を出て行った。


「それじゃあ、私は行ってくるわ。」


そう言って私は部屋を出た。

廊下には誰もいない。

行動を起こすには絶好の機会だろう。


まずは、マスコポル伯爵の執務室ね。

そこに、裏取引の証拠があれば話が早いわ。

応接室まで案内されている道中、見えた部屋は全て暗記した。

まずは、それらしき部屋に向かった方が良さそうね。


そして、その考えは正しかった。

ソルナが入った部屋は見事、マスコポル伯爵の執務室だったのだ。


「すごい量の書類....。全部に目を通すのは現実的じゃなさそうね....。」


執務室の中には、いくつかの机があり、その上には書類が山積みになっていたのだ。


でも、普通に考えて、大事な書類は大切に保管しておくはず....。

ならば、乱雑に置かれている書類は全て無視して問題ないわね。


そう考えて、机の引き出しを漁っていると、重要そうなファイルが出てきた。

あまりにも不用心で、かえって怪しいぐらいだ。


「これは....?」


見出しには、「『西方奴隷商(スカーナル)』への発注書」と書かれている。

どうやら、マスコポル伯爵は本当に『西方奴隷商(スカーナル)』と取引をしていたようだ。


「これでひとまずは証拠を確保できたわね。」


マスコポル伯爵が『西方奴隷商(スカーナル)』とつながっていることはこれで確定した。

あとは、なぜコラゴンとフリエナを狙っているのかということなんだけど....。


「これ以上探しても何も出てこなさそうね。」


時間が限られている中、部屋をくまなく探すことはできない。

めぼしい箇所はすでに探したから、とりあえず、撤退するのが得策だろう。

強いていうならば、魔王軍との繋がりを証明できる物も欲しかった。

そう思って、執務室を出ようとした時だった。


「あの絵画....。」


突然、部屋に飾ってある一枚の絵画が気になった。

タイトルは、「虚飾」。

水辺に一輪の花が咲いているのだが、水面に、花は反射していない。

少し奇妙な絵だ。


「少し斜めっているわね。」


絵の内容はさておき、私は、その絵画が微妙に傾いていることに気がついた。

私は性格上、そういうのが気になってしまうのだ。


そう思い、絵画に手を伸ばし、傾きを直す。


ギゴゴゴゴゴ


部屋の隅から、音がすると、そこには地下に続く隠し通路があった。


「間に合うかしら...?」


時間的にそろそろ戻らないと怪しまれる。

かと言ってこのチャンスを逃すわけにはいかない。


悩みに悩み抜いた結果、私は隠し通路を進むことにした。


通路を進むと、一つの部屋に辿り着いた。

中は何もない。

ただ一つ、台座に置かれた剣を除いて。

その剣は大切に保管されている。


「これってもしかして....。」


ついに見つけた。

これがおそらく、『神武』だ。

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