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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第三章 水の国編
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終戦

第十九話

 『オリアマ』に戦場であるデップー領へと飛ばされたユキマル達は、ジョルサ総司令の元へと向かっていた。

パッと周りを見渡してみたが、戦況は最悪だ。

俺の作戦が通用したのかはわからないが、魔獣達が戦場にいる。

どうせこうなることはわかっていたが、まさかここまで早いとは。


「ジョルサ総司令!」


「ユキマル君?!随分と早かったな。」


「まあ、色々とあったが説明はあとだ。この小瓶が戦況を変えるかもしれない!」


そう言って『オリアマ』様からもらった例の小瓶を見せる。


「なんだね、それは?」


「さあな、俺たちにもわからない。」


そう言って小瓶の蓋を開ける。

すると、中から煙が出てきた。

その煙が、雲を作り、降っていた雨と合体した。

しかし....


「何も...起こらない...?」


ソルナが空を見上げながら呟く。


「いや、みてみい。魔獣さん達の様子が変やで!」


コラゴンが言う通り、魔獣達の反応がおかしい。


「そうか!わかったわ!『オリアマ』様の言う『浄化の力』とは、あらゆるデバフや呪いを解除する能力なのよ!」


「どういうことだ、ソルナ?」


「まず前提として、あの魔獣達は魔族によってテイムされているわ。そして、テイムには二種類存在する。信頼関係などを築いてテイムする『友情テイム』、レベル差や弱体化などをして呪いで強制的にテイムする『束縛テイム』。あの数の魔獣と信頼関係を結べているとは思えないし、アレは『束縛テイム』なのよ!」


「なるほど!つまり、『浄化の雨』を受けた魔獣たちは、魔族による束縛の呪いが解けたというわけだな?」


「そういうこと!」


ソルナが自慢げに頷く。


「これってチャンスなんじゃないか?ジョルサ総司令!至急テイマーを集めて魔獣達のテイムをしてくれ!敵に魔獣のテイムが解けたことに気づかれる前に!」


「承知した!ところで君たちはどうするのかね?」


とジョルサ総司令が去り際の聞いてきた。


「そりゃ、狙うなら大将だろ!」


「っふ。君らしい答えだ。」


そう言ってジョルサは去っていった。


「ところでユキマルくん、大将のところまで行くには、この軍勢を突破しなきゃいけないわけだけど、まさかノープランってわけじゃあ....?」


「安心しろ!ソルナ。もちろん作戦はある。」


そう言って、ソルナとフリエナを片手ずつに抱える。


「き、きゃあ!何するのよ!」


フリエナが突然抱き抱えられて驚いている。


「ユキマルくん、年下が好きなら否定はしないけど、限度ってものがあるわよ....。」


「ち、違うって!てか、お前は急に抱き抱えられても冷静なんだな。」


「もう、こんなことで取り乱したりしないわ....。」


「ははっ!っじゃこれも大丈夫そうだな!しっかり掴まっとけよ!」


「え、ちょ、待って、何するつも....」


ビュウゥン!


風を切る音と共に、全速力で敵の拠点へと突っ込むユキマル。

しかし、もちろんのこと目の前には魔族達が立ち塞がっている。

そんなことはお構いなしに進むユキマル。


「ぶ、ぶつかる!」


フリエナがクビにがっしりとしがみついてくる。

少し邪魔だ。


「『スキル』 <<シールド・トリプル>>、<<シールドタックル>>!!!」


スキルで出現させた『シールド』を俺を中心に高速で回転させる。

すると、シールドに当たった魔族が磁石でいうS極とS極のように吹っ飛んでいく。


「わざわざ道を開けてくれるなんて嬉しいね!」


そんなことを言っているうちに、拠点の付近までたどり着いた。


「『スキル』 <<魔波>>!」


威力を抑えて、『レーダー』で反応がある場所に穴を開ける。


「行くぞ三人とも!」


そう叫ぶと、思いっきりジャンプし、壁に開いた穴へと入った。

中に入った瞬間目に入ったのがルフテとそれに危害を加えようとしている誰かだった。

俺は迷わずその誰かをぶん殴った。


ドゴォォォン!


そいつは壁にめり込み、殴った場所からは血が出ている。


「ユキマルくん!」


「待たせたなルフテ!よくぞ信じて待っていてくれた!」


そして現在に至る。


「よくも私を吹き飛ばしてくれたな。挨拶にしてはずさんすぎやしないか?」


「すまなかった、蹴りの方がお好みだったか?」


「っふ、凄まじい速度で接近してくる存在には気づいていたが、まさか人間とはな。戦わずともわかる。お前は強い。不意打ちとはいえ、私に一撃入れたことは賞賛しよう。」


「そりゃどーも。」


「っは、その態度は崩さないつもりか。人間では絶対に勝てない存在を前にしておじけつくかとおもたのだが。去勢か?それともお前もそこの羽虫と同じくバカなのか?」


デイザスの態度は以前悠然としている。

隙がない立ち振る舞いだ。


「バカかどうかはお前が決めることじゃないだろ。彼女は俺を信じて待っていたんだ。だから、俺がお前に勝って、彼女が正しかったことを証明してやる。」


「答えはすでに出ているようなものだが....まあいい。答え合わせといこうか。」


「フリエナ!魔法でソルナとルフテを守ってやってくれ!あとコラゴンも!」


「ついでかいな....。」


「準備はできたか?」


「ああ、いつでも構わない!」


その一言が合図だったかのように、デイザスが動き出す。


「『スキル』<<身体強化(下)>>、<<魔力上昇>>、<<適正強化>>、<<剣術緩和(上)>>!!!」


デイザスは次々と自身にバフをかけていく。


「感謝するがいい、久しぶりに骨のある相手と戦うので、私も少し本気を出したくてな。」


「光栄だね。」


「ところでお前はただ立ち尽くしているが、まさか、バフもなしに戦うつもりじゃないだろな?」


「バフ?そんなものいらねぇよ。」


てか、そもそもバフってなんだ。

初耳なんだけど。


「ほう、その舐めた態度、後悔するがいい!『スキル』『創造(クリエイト)』<<アイシクルスピア>>」


そう唱えると、デイザス後ろに無数の鋭利な氷の塊が生成される。

そして、一斉に俺に向けて発射された。


「フリエナ!防御を!」


「わかったわ!土魔法『マッドウォール』!」


フリエナの周りを囲うように泥の壁ができる。

あとは俺が流れ弾を漏らさないように気をつければ、四人は無事だろう。


ドドドドド!!!


向かってくる『アイシクルランス』を片っ端から叩き落として行く。


神経使うな....。

破片を後ろに飛ばさないように気をつけないと。


「はっはっは。どうした?動きが鈍くなっているぞ!」


「あまりにも攻撃が遅くて、眠くてね。」


「言うではないか。ならば、これを食らうがいい!『スキル』 <<熱波>>!!」


向かってきていた『アイシクルランス』が一瞬にして水と化する。

それにより、ユキマルの視界が一瞬遮られた。


「氷魔法『クレパスフォール』!」


左右から氷の塊が迫ってくる。


ドシーン!


左右から氷の塊によって挟まれ、ユキマルは氷の中に閉じ込められてしまった。


「ふう。所詮この程度か。防御用のバフをかけるまでもなかったな。」


「『スキル』 <<熱波>>!」


ボォォン!


凄まじい音と共に、ユキマルを固めていた氷が溶ける。


「このスキル、いいね。」


「無傷だと....!?なるほど、やるではないか。」


デイザスはかなり驚いた表情をしている。

しかし、どこか嬉しそうでもある。


「本気で来ないと俺には勝てないぞ。」


「ならば、お望み通りに本気を出してやろう!氷魔法『アイスタイム』!」


グン!と周りの気温が下がるのを感じる。

デイザスの切り札である『アイスタイム』は氷魔を発動した際、強力な追撃を行う魔法だ。

さらにフィールドを生成し、その中で発動した氷魔法は威力も上昇する。


「貴様は魔剣士とみた!得意な接近戦でなければ何もできまい!多重氷魔法『雪夜(ゆきよ)天狼(てんろう)』!さらに氷魔法『召喚(サモン)』『冬将軍』!」


天井にまで届く多重魔法陣が生成され、広間は雪で覆われ始めた。

さらに氷でできた怪物まで召喚された。


「くらえ!最大強化氷魔法『ブリザード・オブ・デス』!!!」


瞬間、とてつもない大吹雪がユキマルを包み、ありとあらゆる方向から氷属性の攻撃が襲いかかってきた。

極め付けに、冬将軍が口からビームを発射した。


ドオォォォォォン! 


「はぁはぁ。これが私の本気だ。これを生き延びれる人間は数少ない。」


だいぶ魔力を消費してしまった。

まさか私を本気にさせる人間に出会うとは。

まあ、もういないのだが。


「攻撃は終わりか?」


「な?!ありえない!」


あの大技をくらってなお、無傷だというのか?!


「なにをした!なぜ傷ひとつついていない!」


「俺は何もしてないぞ。ただ、どうやら俺の体は氷耐性が高いみたいでね。」


「バフもかけずに氷属性への耐性?なんだそれは!それに、耐性があるなんてレベルではないだろう!」


ありえない、ありえない、ありえない、ありえない!


「だいぶ冷静さを失っているな」


「───っ!」


「最後になんで俺がわざわざお前の技をくらったか教えてやる。」


「なぜだ!なぜなんだ!」


『ピロン』


ユキマルの前に『ブルーボード』が出現する。


『氷魔法 << アイスタイム>>、 <<雪夜の天狼>>、合成魔法 <<ブリザード・オブ・デス>>を習得しますか?』


もちろん、はい、だ!


「お前の魔法を貰うためだよ!さあお返しだ!最大強化氷魔法『ブリザード・オブ・デス』!」


ブオオオォォォ!


凄まじい吹雪がデイザスを包む。


「こ、これは私の合成魔法!?なぜ使える!」


「悪いな。俺は一度見た魔法は使えるようになるんだ。」


「そんなデタラメがまかり通ってたまるかぁぁ!『スキル』 <<魔法耐性(下)>>、 <<氷耐性(中)>>、氷魔法『クリアアイスシールド』、『スノウクッション』、『かまくら』!」


デイザスは必死に防御スキルや魔法を張っている。

それに魔力を消費しすぎたせいか、いつのまにか冬将軍が消えていた。 


「がぁ!これではまるで、はぁ、信じる力が本当に存在するみたいではないか!」


「信じる力か。あるのかもな。」


「違う!はぁ、信じることは弱さだ!はぁ。私は何度も、裏切られ、はぁ、利用されてきた!だからそれを知っている!」


「お前を否定はしねぇよ。信じる者が騙される。正直な者が損をする。優しい者が利用される。世の中はいつだって理不尽だ。それでも他人を信じたルフテと、他人を信じることができなかったお前とでは大きな差があったみたいだな。それがこの結果だ。」


パリン、パリンとデイザスが張ったシールドに次々と亀裂がはいっていく。


「なぜだ!なぜだぁぁぁぁ!」


「終わりだ、名前も知らない誰かさん。」


「ぐは!」


とうとうシールドが全部割れて、氷属性の攻撃がデイザスに直撃する。

そしてデイザスは倒れた....。


しばらくして広間の氷は無くなった。

フリエナ達に特に問題はなかったが、フリエナは魔力切れを起こしていた。

だいぶ頑張ってくれたみたいだ。


「ユキマルくん....。」


話しかけてきたのはルフテだ。


「なんだ?」


「そ、その、ありがとうございます!助けてくれて!」


「言っただろ、俺たちはもう仲間だって。それに信じてくれってお願いしたのは俺だ。」


そう言ってニッっと笑って見せる。


「ユキマルくん....!私、なんだか心のとっかかりが取れたような気がします!」


「よかった。」


ふふふはははと笑い合っていると、もう一つ声が届いてきた。


「まだ、はぁ、まだ終わりではない....!」


「嘘だろ!?お前まだ生きてんのかよ!」


「いくら私を倒しても、戦況は変わっていないぞ。魔獣達がお前らアクアンティス軍を蹂躙するのは時間の問題だ。」


「非常に言いづらいんだが、今魔獣に蹂躙されているのはあんたらの方だぞ。」


「は?」


それを聞くとデイザスは、足を引きずりながら穴の空いた壁に向かった。

そして眼下に広がる光景を見て驚愕した。


「なぜ我が魔獣達が我が軍を攻撃している!」


「話すと長くなるけれど、要するにテイムしなおしたの。」


「意味がわからない!」


フリエナの答えでは納得できないようだ。


「ルフテ!」


反対側のドアから入ってきたのはエイトワと数名の冒険者だ。


「それに、ユキマル?どうやってここに....いや壁....。」


エイトワが全てを悟ったような顔でこっちをみてくる。


「それにしてもみんな無事そうで良かったよ!」


「でも、他の冒険者の方々が....」


ルフテが思い詰めたような顔をする。


「そうか....、でもルフテのせいではないよ!」


エイトワがルフテを励ます。


「ところであのボロボロの人は?」


エイトワがデイザスを指す。


「彼がデイザスだと思います。」


「デイザス?!」


「デイザスだと!」


と冒険者達が次々と口ずさむ。


「『スキル』 <<ロープ>>!」


冒険者達がデイザスを縛る。

デイザスには反抗の意思がないのか、反抗する力が残っていないのか、無駄な抵抗はしなかった。

冒険者達は、誰の手柄だ、などと議論している。


「フッハッハッハ!」


そんな中、突然デイザスが笑い出した。


「何がおかしい?」


「いやはや、自己紹介が遅れてすまない。私の名前はデイザス。魔王幹部が一人だ。」


そんなことは知っていると冒険者達は真顔で返す。

なおユキマルは初めて知る驚愕な事実に言葉が出ていないだけの模様。


ええええええええ、まじかよ。

通りで強いわけだ。

今まで戦ってきた中でダントツで強かったもんな。

こいつの切り札に地味に焦ったし。


「ほう、全員知っていると言った顔だな。では私の異名は知っているか?「軍師」というのだが....。私がこの地位まで上り詰めれたのはその頭脳が故だ。」


「何が言いたい!」


冒険者のうち一人が痺れを切らして本題を切り出す。


「要するに私はお前達の一枚上手だということだよ。」


「なに!?」


「最後に勝つのは、我々魔王軍だ....!」


そう、デイザスには奥の手が残っているのだ。

そしてそれが今、行われようとしていた。

今回は、中途半端なところで終わってしまいすいません。

なかなかいい区切りがつかなく、無理やりつけることにしました。

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