想定内
第十二話
エイトワ達と会った日の夜、俺たちはまた城に召集された。
今回呼ばれたのは、各パーティーのリーダーだけで、その数は20人にも満たなかった。
エイトワとルフテは厳密にはパーティーではないが、代表として、エイトワが来ていた。
「今宵、諸君らに集まってもらったのは、今後の作戦会議のためだ。意見があったら、遠慮せずに発言してほしい。」
とアクアンティス軍の総司令官であるジョルサ総司令がその場にいる者たちに促す。
全員、各パーティーのリーダーだけあってほとんどがゴールドランクだ。
他には国王や各大臣がいる。
「そういえば、外務大臣のニントルマンさんはどこにいるんだ?」
「忙しいんじゃない?」
とエイトワが答える。
確かに、今の状況は外交が大事になってくる。
仕事が忙しくて作戦会議に参加できないのか。
「発言いいか?」
そう言ったのは冒険者の一人だ。
「俺は、自分のパーティーで作戦を立てることが多いんだが、そんな俺から言わせてもらうと、これから魔王軍が取る行動は...」
難しい話だったが、要約すると、魔王軍は現在奴らが占領しているデップー領から地形の関係上、東に進軍するとのことだ。そこに新たな基地を作ることが予想されるから、それを阻止すべきだ、とういうのが彼の見解だ。
実に合理的な意見である。
「そうか。君の意見だが、実は私もそれが最適解だと考えていた。しかし、問題はどう相手の不意をつくかだ。」
「それでは、別で本陣を攻めるのはどうでしょう?」
とエイトワが発言する。
「なるほど。陽動作戦というわけか。」
「となると....」
・・・・・
・・・
・
話し合いは順調に進み、最終的に決まった作戦はこうだ。
・「アクアンティス軍」で魔王軍の本拠地(デップー領)を攻撃
↓
・東の拠点に冒険者達で奇襲をかける
↓
・東の拠点を破壊
↓
・撤退
という流れだ。
「明日の早朝、進軍を開始する。それまでに準備して正門に集まるように。」
総司令がそう言って作戦会議は終わった。
宿に帰ると、ソルナたちが会議での報告を待っていた。
明日の作戦の内容を伝え終わると、ソルナは納得したようで、頷いた。
そして俺に目配せをした。
何を伝えたいのかは、わかっている。
俺はコラゴンとフリエナの方を向き、あることを確かめた。
「お前達は、どうする?これは戦争で、命の保障はできない。一応依頼人な訳だ、お前達が戦う義務はない。」
そう聞くと、コラゴンとフリエナはきょとんとした顔をした。
「そんなの...ねぇ?」
フリエナがコラゴンの方を向いて言う。
「そうやな、行くに決まっとる!」
「そうか....そうだな!」
一瞬、スクリプトールの言葉が頭をよぎる。
【君はこの戦争で、大事なものを失い、大事なものを得ることになる】
「...」
いや、俺は大切な仲間を絶対に失ったりしない。
そう固く決心したのだった。
夜が明けて、朝早く、俺たちは正門に集合した。
どうやら今朝、ギルドに今回の依頼の内容が入ったようだ。つまり本格的に戦争が始まったといっていいだろう。
集まった冒険者達も真剣な顔つきだ。
これからのことを考えると、俺も気が引き締まるってものだ。
「おーい、ユキマル!」
冒険者達の中からエイトワの声が聞こえる。
「いざ出陣となるとやっぱ緊張するね。」
「そうだな。いくら俺達冒険者は直接対決しないとはいえ、多少の戦闘は避けられないだろうしな。」
「そういえば、俺っち達って何をすればええんやっけ?」
とリュックからコラゴンがひょっこりと顔を出す。
「わぁ!」
ルフテがびっくりして思わず飛び上がった。
「はじめまして、俺っちコラゴン、ちなみにコラゴンってのはユキマルにつけてもらったあだ名や。」
「ドラゴンが...喋った!?」
ルフテほどではないが、エイトワも驚いている。
「話すと長くなるんだが....まあこいつとは訳あって一緒に旅してる。普段は騒ぎを起こさないために、俺のリュックに隠れてもらってるんだけど、まあ、お前たちなら大丈夫だろ。」
「は、はぁ....。」
状況を飲み込むのが難しいのか、かえってきた返事は「はぁ」の二文字だった。
「まあ、仲良くしてくれ!」
コラゴンが、よろしくーというふうに手を振る。
「「「諸君!!!」」」
凄まじく大きな声が正門に響く。
そこにいる全ての冒険者の視線が一気に総司令の元へ向く。
「我々アクアンティス軍は3時間ほど前に進軍を開始している。我々は敵軍の揺動兼足止めを担う、そこで諸君ら冒険者に東の拠点の制圧を任せたい。何も直接戦うことはない。奴らの仮設基地を奇襲で壊してくれればいい。それで作戦は以上となる。活躍したものには特別報酬も考えよう。諸君らの幸運と健闘を祈る!」
「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」」
冒険者達の鬨の声が正門に轟く。
「あのおっさんすげぇな。バラバラだった冒険者達が一瞬にしてまとまった。」
「あのおっさんって....一応この国の総帥だよ。」
エイトワが失笑している。
「それにしても、私たち冒険者だけで大丈夫なのかしら?」
とソルナが聞く。
「軍事行動であることを察知されないように、できるだけ冒険者で固めた方がいいんだ。それでも一個小隊は案内役としてついてくるけどね。」
とエイトワが答える。
なるほどー。
「ユキマル。お前今、なるほどって思ったやろ。」
ギクッ
コラゴンはこういう時、異様に勘がいい。
言わなくていいのに。
一方、デップー領ではすでにアクアンティス軍と魔王軍が激突していた。
魔王軍は後衛を待機させているため、数ではやや押しているものの、魔物を使役する魔王軍の攻撃に苦戦を強いられていた。
そして、魔王軍の方でも作戦会議が行われていた。
「アクアンティス軍の攻撃には妙な点がいくつか見受けられます。」
「問題ない。全て作戦通りだ。」
とデイザスが言う。
「と言いますと、例の作戦を実行なさるのですか?」
「ああ。連絡しろ。」
「はっ!」
「こそこそ動いている、羽虫どもを蹴散らせ。」
そう言って部下にとある作戦を実行させたのだった。
久しぶりの投稿となります。
失踪してしまい、申し訳ありませんでした。
モチベーションが戻ってきたので、投稿を再開しようかと思います。




