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駆け出し冒険者の俺は裏レベル100  作者: 可じゃん
第一章 ギルド加入編
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異世界からの召喚

第一話

 目が覚めるとそこは森の中だった。

地理の授業は寝るんじゃ無かったと後悔した。

というのも、ここがどこなのかわからない。

わかるのは自分が手ぶらで広大な森に突っ立っているということだけ。

さて、まずは自分がどうしてこのような状況にいるのかを冷静に思い出すか...。


 俺の名前は 夜宮幸丸(やみやゆきまる) 日々の課題に追われている普通の大学生だ。

将来の夢は「スーパーヒーロー!」なんて言ってた時期が俺にもあったが、今は普通に生きていけたらなんでもいいやと、かなり燃え尽きている。

なんとなくで始めたコンビニバイトもそれが原因かも知れない。

 自己紹介はともかく、問題が起きたのは、そのコンビニバイトの帰りだった。時間はとうに12時をまわっており、帰路を照らす街灯が逆に眩しく感じる頃だった。突如として目の前に青白い板のようなものが現れた。その板のようなものは大きめの画用紙程の大きさで、宙に浮いており、半透明で微かに光っていた。RPGの吹き出しを彷彿とさせる見た目だ。


「うおっ、なんだこれ!?」


 当然の反応である。

 よくよく見てみるとその板のようなものには文字が書いてあった。しかしその文字は日本語ではなく、また少なくとも俺が知っている言語ではなかった。


「外国語か...?」


しかし不思議なことに、文字を見つめているうちに段々と内容が理解できるようになった。

それにはこう書いてあった。


『召喚に応じますか?』

   >はい

   >いいえ


「なんだコレ。ていうか、なんで読めるんだキモチワリィ〜こんな得体の知れないもの触れるわけないだろ!」


 しかし、好奇心とは恐ろしいもので、気づいたら『はい』を押していた。

そのあとはお察しの通り眩い光に包まれてこの森に転送されて、現在に至る。


 まずい。非常にまずい。

サバイバルの知識なんて無いし。文明社会で育った俺がこんな森で生きていけるはずもない。

服装は、Tシャツ一枚にシミのついたジーンズ。

持ち物は何にもない。背負っていたはずのリュックや、ポッケに入れていたはずのスマホも全てなくなっている。


『ピロン』


絶望する間もなく、聴いたことのない通知音が鳴った。


「またさっきの板かよ...」


おそるおそる見てみると、今度はさっきと違うことが書かれていた。


『コレはあなたの『ステータス』です。

 あなたの経験や実績、努力を基に更新されます』


「コレはあなたの『ステータス』です?あなたの経験や実績、努力を基に更新されます?」


どうやらこのヘンテコな板には俺のステータスが記されているらしい。

なるほど。

中学の頃、そういう小説にハマっていたのもあって、それなりに察しのいい俺は、この時点であらかた理解した。


「コレって、アレか...。異世界転生ってやつか!いや、召喚だから、異世界召喚か!」


それは逆にここが現世ではないことを指すわけだけど...


『ピロン』


俺のことなど気にせず次の通知が来る。


『召喚に応じた特典ととして『裏レベル』を100にします。』


「召喚に応じた特典として、()レベルを100にします?なんだ裏レベルって。」


考えてるうちに通知が消える。

まあ、考えても仕方ないので、今の状況を整理してこれからどうするのかを決めることにした。


30分程試行錯誤を繰り返して思考がまとまったので発表したいと思う。

まず一つ目、ステータスというのは自分の見たい時に見れるものらしい。面倒臭いので、俺はあの謎の板を『ブルーボード』と名づけたのだが、『ブルーボード』は自分が出したい時に出せるのだ。これは、出せるか試したら出せたから知ったことだ。

 二つ目。やはりこの世界にもスキルというものが存在するらしい。これもまた、なんとなくありそうだなと『ブルーボード』をいじっていたところ見つけたものだ。しかしスキル欄は空白だった。どうやら習得しなければいけないらしい。

 三つ目。意外と近くに道があった。これは、それなりに高い木に登って辺りを見渡したら道を発見したというだけである。ただ、大通りというわけではなく、いかにも人通りが少ないという感じの道だ。まあ、当てがないのでとりあえずこの道をまっすぐ進むことにした。

 

 しばらく進んだところで後ろから馬車が来る音がした。見た感じ、フルーツや野菜を運んでいる荷馬車らしい。

この機を逃すわけにはいかないので、とりあえず声をかけてみることにした。


「おーい!馬車の人、どこに向かってるんだ?」


言葉は通じているのだろうか...。


「なんだ兄ちゃん。不思議な格好をしてるな。この馬車はこの先をずっと行った『ベルレスク王国』の首都『ララン』まで行くよ。」


どうやら言葉は通じるようだ。

荷馬車に乗っていたのは少し小太りであご髭を生やした中年ぐらいのおっちゃんだった。

そんなことより。


「『ララン』?」


とりあえず気になったことを聞いてみる。


「なんだい、『ララン』も知らねぇのかい。『ララン』つったら、『冒険者の街』って言われるぐらい冒険者が多くて、大手のギルドは大体『ララン』に本部を置いてるじゃないか。」


冒険者?ギルド?なんだか気になるワードがいくつか聞こえたが、とりあえずその『ララン』とやらに連れて行ってもらえないか聞いてみた。

おっちゃんは困ってる俺に同情してか、荷台に乗せてくれた。中には見たこともない果物や野菜が積まれていた。どれもとても美味しそうだ。

何はともあれ、このまま座っていれば大きな街に着くらしい。ひとまずは安心するとしよう。

そう思った時だった。


「グゥオォォォォオ」


突然、元いた世界では、聴いたことのないような雄叫びが聞こえた。

この声は間違いなく草食動物のものではない。獰猛で、人間が相手にしてはいけない何かだ。


「うわあぁぁ〜!なんでデーモングリズリーがいるんだ!」


情けない声が聞こえてきた方向をみると、そこには今にも失神しそうなおっちゃんとツノが生えてるクマ(?)がいた。

するとデーモングリズリーと呼ばれていたクマがおっちゃんに襲い掛かった。


「やめろ!」


思わず間に入ってしまった。


死ぬっ....!


その時だった。


『スキル <<シールド>> を習得しますか?』

  >はい

  >いいえ


目の前に『ブルーボード』が現れた。

なんだこれ?わからないが、とりあえず『はい』だ!

目の前に盾が現れる。


パアァァン


凶暴な爪がいとも簡単にに弾かれる。

すると続けて。


『スキル <<クロースラッシュ>> を習得しますか?』

  >はい

  >いいえ


とでた。

もちろん習得する。

すると手に光が集まり、爪を形どった。

それで思いっきりデーモングリズリーを殴る。


ズシャ


鈍い音と共にデーモングリズリーの巨体が真っ二つになる。

木登りの時から薄々気づいていたが、体がすごく軽い。

基本の身体能力が前の世界と比べて大幅に上昇している。


「ハアハア」


緊張が解けて、久しぶりに呼吸をするかのように息を吸う。

でもこれは疲れからくる呼吸ではない。


「終わったかと思ったー!でも、やっと異世界らしくなってきたじゃん!」


少しの恐怖心とそれに勝るほどの高揚感が溢れ出てくる。

数秒地面に仰向けになり感傷に浸ったあと、立ち上っておっちゃんの安否を確認しに行く。

気絶しているが、外傷はない。どうやら無事のようだ。


ペチペチ


ほっぺを軽く叩くと、おっちゃんは飛び起きた。

するとデーモングリズリーだったものを見るなり、俺に向かって感謝をし始めた。


「兄ちゃん冒険者だったのかい。Cランクのデーモングリズリーを一人で倒しちまうなんて!もしや勇者様の一人かい?本当に感謝してもしきれないよ!」


どうやら俺はCランクのモンスターを討伐したらしい。

それがどれくらい凄いことなのか全くわからないが、感謝されるということは悪くないものだ。

でも俺は冒険者じゃない。その(むね)をおっちゃんに伝えると。


「冒険者じゃないって、あんな技を使える一般人がいるわけがないだろう。やっぱ勇者かなんかで、訳あって正体を隠してるんだろう?」


と勘違いされてしまった。面倒臭いのでそういうことにしとくか。

何はともあれ、今度こそ安心できそうだ。

それよりも『ベルレスク王国』の首都『ララン』。冒険者の街か。男心がくすぐられないわけがない。とても楽しみだ。

序盤から色々起こったが、かくして俺の異世界での冒険が始まった。

初執筆、初投稿です。暖かい目で見守っていただけると幸いです。

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