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地球のネコがネコの惑星に転生した話

作者: 夢園 梨楽

※この物語はネコ向けの物語です。

 人間の方には地の文や登場人物のセリフの一部が

 理解できない場合があります。予めご了承ください。



にゃーん。


「(ここはいったい・・・確かに私は死んだはずだが?

それにこの姿・・・ネコのまま人間のように2つの脚で立っている・・・?)」


にゃーん。


「(もしかしてネコ界にもやってきたってことか、異世界転生ってやつが。)」


にゃーん。


「(とりあえず向こうにいる人に

ここがどこなのか聞いてみることとするか。)」


にゃーん。


「そこの婦人、ひとつお尋ねしてもよろしいですかな?」

「にゃーん!」

「これは失礼した、おじょうさん。つかぬことを・・・」

「にゃーん!にゃん!にゃん!にゃん!」


にゃーん。


「(怒られてしまった。

  だが言葉が通じるのは助かるな。

  もしかして私以外も転生者なのだろうか。

  今はまだ分からないことばかりだ。

  さて、これからどうしたものか・・・。)」


にゃーん。


「(町か・・・ほかに行く当てもないし行ってみるか・・・。)」


にゃーん。


「ちょっとお尋ねしたい。この町は何という名前なのだろうか。」

「にゃーん?」

「あ、ああ・・・。旅人みたいなものだ。」

「にゃーん。」

「なるほど、分かった。助言感謝する。」

「にゃーん。」


にゃーん。


「(たしかにもう夕方だな。

  しかし休むにしても宿代を支払う金が無い。

  短時間で金を得る方法など存在するのだろうか。)」


にゃーん。


「お忙しい所すまぬ。1つお尋ねしたいのだが、

 この町で手っ取り早く金を稼ぐにはどうしたらよいだろうか。」


にゃーん。


「にゃーん。にゃーん。」

「なるほど、そんな仕組みがあるのか。ありがとう。感謝する。」

「にゃーん?」

「なんというか、その・・・辺境の地から旅をしてきたもので勝手が分からぬのだ。」

「にゃーん。」


にゃーん。


「(そのナントカという役所に行って依頼の要求を満たせばその対価として金を得られるという訳か。

  よくある設定だな。

  なんにせよ、宿を確保するためには行くしかない。

  我々アメショはデリケートなのだ。野宿などできん。)」


にゃーん。


「すまぬが訳あって即金が欲しい。なにか簡単にこなせる仕事を紹介してくれないだろうか。」

「にゃーん。にゃん・・・にゃーん。」

「600ニャーンか。それだけあればこの町の宿に泊まるには十分なのだろうか。」

「にゃーん。」

「そうか、ならばその仕事をやらせてもらおう。」

「にゃん。にゃん・・・にゃーん。」

「いやまあ、確かに飛び込みなのは悪かったとは思うが、

 本当に金に困っている。悪いが報酬の減額には応じられない。」

「にゃーん。にゃーん!」

「(冗談には聞こえなかったが・・・)」


にゃーん。


「にゃーん。」

「ふむふむ。」

「にゃーん。」

「ほうほう。」

「にゃーん。」

「なるほど、心得た。」


にゃーん。


"この道キケン。通行注意"

「(一体なんで太古の昔から危険生物がすむ森に道を通したんだよ。

  迂回すればいいじゃねーか。

  でもまあ、そのおかげで安全調査するだけでお金がもらえる簡単な仕事にありつけたわけだが。)」


にゃーん。


「(どうみてもアイツが件の森の主だよなぁ。

  興奮状態じゃなきゃ見逃してくれるっていう話だし、きっと大丈夫だよな・・・?)」


にゃーん。


「(やっぱりこうなるのかよ!

  てかアイツ速ぇな。全速力で逃げてるのにだんだん距離を詰めてきやがる・・・。)」


にゃーん。


「(平坦な道だとジリ貧だ。

  そこの岩だらけの道に緊急回避するしかねぇ。)」


にゃーん。


「(川だと・・・。

  だが止まるわけにはいかない。飛び越える。

  5mくらいしかないんだ、なんとかなる、いや、なんとかするしかないっ!)」


にゃーん。


「(ビビったら負けだ!

  前世の日々を思い出すんだ!

  食事の催促のために高台から飼い主の布団の上にダイブしたあの日々を・・・!)」


にゃーん。


「・・・やっぱり、全然とどかねぇ!」


にゃーん。


にゃーん。


「というようなことがあってな。あの道はまだ安全じゃない。それが今回の調査結果だ。」

「にゃーん。」


にゃーん。


「うむ。たしかに頂戴した。

 ところで少々腹が減ったのだが、食事をできる所はないだろうか。

 所持金は宿泊代を考えると120ニャーンほどしかないのだが。」

「にゃーん・・・。にゃん。にゃーん。」

「そんなシステムがあるのか。

 だが手持ちの珍しいものと言ったら川で流された時に偶然ポケットに紛れ込んだこのキラキラした石ぐらいしか・・・。」

「にゃん!にゃん。にゃん。」

「そうか、これはそれなりに価値がある石なのか。わかった、これを売ってみることにするよ。

 色々教えてありがとう。感謝する。」


にゃーん。


「にゃーん。」

「この石の買取をお願いしたいのだが・・・。」

「にゃーん。にゃん。・・・にゃーん?」

「お前も値切ってくるんかい!」



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― 新着の感想 ―
[良い点] にゃーん。にゃーんにゃーんにゃーん~。
[一言]  何なんでしょう。とりあえずちょっと最初だけ…と思ったのに笑いながら全部読んじゃいました。  面白かったです。ありがとうございました。
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