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商業区の幽霊 何故か買い物を



 ようやく酒場でのお仕事のおやすみがとれたので冒険者ギルドに顔を出してから商業区に来てみました。


「ミィスちゃん、あれがラクダのマークで有名なラーダ商店です!」

「ミィスちゃん!あちらがオークの丸焼きが名物のオクマル食堂ですよ!」

「ミィスちゃん………」


 ギルドに行くとワイバーン討伐のときにご一緒した冒険者の方々がいらして何故か一緒に来ることになってしまいました。

 長い間、王都に住んでいますが、商業区に来たのは数えるほどしかありませんので皆さんが親切にあれこれと教えてくださいます。



『それで会長、幽霊の正体は何だったんですか?』

『ん?それを言ってしまうと面白味も何もないではないじゃないですか』

『まぁそれはそうですけど……』

『危険なものではありませんよ。寧ろ……』

『え?それは……』

『ですから今回は我々の出番はありませんよ』



 冒険者さん達と一緒に商業区を見て回ります。

 美味しそうなお店や綺麗な服が飾ってあるお店など、スラムにはないものばかりです。


「ミィスちゃんにはこういうのと似合いそうですね」

「おおっ!うんうん!きっと似合いますよ!」


 とあるお店に飾ってあった服を指して冒険者さん達が口々に言います。


 黒と白を基調にしたとても可愛らしい服で、なんでもかつてこの王国に召喚された勇者様が異世界の知識を用いて作ったと言われている服だそうです。


 名を"ゴシック・ロリータ"と言い略して"ゴスロリ"というそうです。



『19ば〜ん!19ば〜ん!』

『どうかしたんですか?会長。今回は俺たちの出番はないって……』

『19番!あの服はあなたが作ったものではないですか?』

『ん?ああ、そうだな。あの時は俺も若かったからなぁ……若気の至りってやつだ』

『グッジョブ!グッジョブですよ!19番!』

『は?』

『あれをミィスちゃんが着たらどうします?』

『どうするって……ええ〜っ!!!ミィスちゃんが着るのか!ゴスロリを!大変だ!22番〜〜!!!』



 冒険者さん達は集まって何やら相談を始めました。

 どうしたのでしょうか?


「ミィスちゃん!」

「は、はい!どうなされましたか?」

「俺たちは先日の討伐でミィスちゃんにお世話になりっぱなしで何も恩返しが出来てない」

「そんな……お世話だなんて」

「いえいえ、本当にミィスちゃんがいなかったら俺たちの内何人がここに帰ってこられたか……」


「ですから、せめてものお礼としてこの服をミィスちゃんに送らせて下さい!」

「え?でもそんな……受け取れませんよ」


『頑張れ!!!オッさん!』


「そう言わずに、俺たちの気持ちだと思って」

「ですが……」


『もうひと押しだっ!』

『オッさん!!男みせろやぁ!!!』

『冒険者の実力はそんなものじゃないだろ!!!』


「お願いします!でないと俺たちの気が済まないんです!」

「…………」


 どうしましょうか、冒険者さん達の言うことはとても嬉しいのですが……


『頑張れ!頑張れ!オッさん!』

『頑張れ!頑張れ!オッさん!』


「お願いします!なぁみんなも」

「「「受け取って下さい!」」」


「……わかりました。皆さんがそこまで仰ってくださるのなら」



『22番〜〜!!!カメラ用意!!!』

『もうスタンバってます!!!』

『よし!全員集合っ!!!』

『歴史的瞬間を見逃すなよ!』



 冒険者さん達は歓声を上げてわたしを店の中に連れて行ってくれました。

 そして……


「あの……変じゃないですか?」

「天使か……」

「神はいたんだな……」

「冒険者してて良かった……」

「あの?皆さん?」



『19番!!!グッジョ〜〜ブ!!!』

『ああ、俺、勇者してて良かったよ……』

『言葉にならないな』

『俺もう死んでもいい』

『死んでるだろ?』


 ゴスロリ服はレースがふんだんに使われていて、ちょっとヒラヒラしていて歩きにくいですが、皆さんが喜んでくれたのでこれはこれで良かったです。

 とても可愛らしい服ですので、普段から着てみようと思います。



『えっと、何しに来たんだっけ?』

『服買いにだろ』



 わたしと冒険者さん達は幽霊のことをすっかり忘れて商業区を楽しんで一日が終わりました。



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