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歌姫ミィスと100人の魂〜死者達が過保護過ぎて冒険が始まらない〜  作者: 揣 仁希
第二章 ワイバーン討伐作戦
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討伐遠征 帰還



 翌日も朝からわたし達は王都を目指していました。


「ん?なんだあれは?」

 街道を行くわたし達の前方に大きな何か塊のようなものが見えます。


「何だ?これは?」


 それは馬車を引いている馬よりも大きな薄い緑色をした物体でした。



『アシッドスライムの一種ですね』

『みたいだが、生体反応がないな』

『あれ?スライムって死んだら溶けるんじゃなかったですか?』

『……のはずなんだが……』



 騎士さんや冒険者さんが剣でつついたりしていますが何も反応はありません。


「いったい何なんだ?これは?」

「別に害がないなら放っておいてもいいんじゃないか?」

「まぁそれもそうだが….…」

「なんなら近くの街に行って引き上げてもらったらどうだ」

「……そうするか」


 騎士さんや冒険者さんは首を傾げてその物体を見上げていましたが特に害はないということでそのまま通り過ぎることにするようです。


 わたし達も横を通り過ぎたのですが、馬車の窓から見たそれにわたしは何か違和感を感じました。



『のう、あれワシがもろうてもよいか?』

『おや?2番さん。久しぶりじゃないですか?』

『そうかいのう?それはそうとありゃアシッドスライムの亜種の繭じゃな』

『スライムが繭ですか?』

『そうじゃ。まぁ話は後じゃ、ワシはアレをもろうてちぃとばかし研究してくるわい』

『また妙なもの作らないでくださいよ』

『わかっとるわい!』



 わたしの感じた違和感の正体はわかりませんでしたが、危険な感じはしませんでしたので大丈夫なのでしょう。


 王都まであと2日ほどの街にこの日は滞在することになりました。

 騎士さんが言うにはこの街の町長さんが歓迎会を開いてくれるそうですので出席することになりました。

 わたしはいつものワンピースくらいしか服がないのですが、街の貸衣装屋さんで貸して頂けることになったので貸して頂いて出席することにしました。


『…………』

『…………』

『あの〜皆さん、大丈夫ですか?』

『あ、ああ、あまりの可憐さに魂が抜けてしまったわ』

『いや、あんた始めから魂だから!』

『撮影完了です!!!会長』

『早速焼き回しを!!』

『了解です!』



 女性の冒険者さん達もドレス姿でとても綺麗です。

 大人の女性って感じでわたしもああいう風になりたいです。


『ミィスちゃんは今のままでいいよな?』

『うんうん』

『でもさ、大人なミィスちゃんも見たくないか?』

『うんうん』


 この街の町長さんは元騎士団の騎士さんだったらしく60歳くらいのガッチリとした男性でした。


「おお、貴女が噂の歌姫様です……いたっ!」


『47番。電撃(小)』

『は〜い』

『ミィスちゃんの手を握ろうとは不届き者が!』

『……挨拶だと思うけど……』


 パチっと音がして町長さんは首を傾げて弾かれた手を見ています。


「ああ、町長さんよ、歌姫様には触れれないぞ。触ろうとしたらパチってなるからな」

「すみません。自動的になるみたいなので……」

「うちの騎士団の隊長の剣すら全く通さないくらいだ。きっと神様のご加護だと思うぜ」

「そんな……神様だなんて」



『正解!』

『まぁ強ち間違いじゃないけどね』

『神様ってヒマなんですかね』

『ヒマなんじゃね?さっきから会長と22番と一緒に写真を眺めてるくらいだから』

『最近働きませんよね……あの人達』


 歓迎会は夜遅くまで続きその日は町長さんの館に泊めてもらいました。

 町長さんは元騎士団の方ですからか、わたしと手合わせをしたがっていましたが、丁重にお断りしました。

 だって、怖いですもの。


 町長さん達に見送られて街を出発し翌日の夕方にはようやく王都に帰って来ました。

 約3週間に及んだ討伐遠征もこれで終わりです。

 わたし達は騎士団の方と別れてギルドにいき報償金を貰いそれぞれ帰っていきました。


 わたしはギルドのカウンターで報償金を故郷に送ってくれるように頼んでから帰りました。

 久しぶりの家は出たときと何も変わらずお庭も綺麗に手入れされていました。

 これもきっと死者さんがしてくれたのでしょう。


「いつも本当にありがとうございます」


 わたしは今日もどこにいるとも分からない大切な友人達にお礼を言い家に入りました。



『あの笑顔だけで生きていけるよな』

『ああ、本当に』

『って言うか、あんたら死んでるからな』

『おまえもな』

『…………』



 こうして長かった討伐遠征は終わりました。








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