カフェオレを入れましょうか
オーブンに入れたスコーンが焼きあがるまではあと10分はある。
コーヒーの準備をしていると、社長が声を上げた。
「ああ、あなたは!」
留さんの顔を見て驚いたようだ。
「君は大賢者トーメをご存知でしたか」
サファルさんが、留さんの向かい側に腰かけながら社長の顔を見た。
大賢者トーメって、留さんのことよね。なりきりさん……どんどん周りを巻き込んでませんかね?
「失礼ですが、あなたは日本最大のゲーム会社SEnGAndouの毛利会長では?」
社長がサファルさんの言葉を軽くスルーして留さんに話かけた。留さんが笑った。
「違いますよ。もう引退しましたから、元会長で、今は単なる隠居じじぃです」
社長の目が輝く。そして、なにやらポケットをガサガサとまさぐり、名刺を取り出した。
「尊敬してますっ!日本で初めての本格RPGヒット作を作り出した毛利さん。小学生のころからずっとファンで、シリーズ新作も買いました!あの、それで僕もゲームの世界に……」
留さんがちょいちょいと手招きして隣の椅子をすすめる。
「すまんね、ちょっと運動して疲れてて立ち上がる元気もないから」
留さんがあの有名な会社の元会長で、世界一売れてるといわれるゲームを生み出した人?
ああ、だから、ゲームから飛び出してきたようなサファルさんを見ても驚いてなかったし、話も上手に合わせられたのか。
いや、もしかすると、SenGandouのゲームのキャラクターのコスプレだったりして?
「へぇ、あの会社は君が。なかなか面白い作品を作っているね」
「ありがとうございます」
社長が手渡した名刺を見て留さんが感心したように頷いた。
「お待たせいたしました。コーヒーです」
留さんとサファルさんの前にコーヒーカップを置く。
留さんはいつものように砂糖とミルクを入れて。サファルさんは砂糖だけを入れる。
留さんはコーヒーを一口飲むと、すぐにカップをソーサーの上に置いてしまった。
あれ?いつもと同じに入れたけれど、何か問題があったのかな?
「これは……どういうことだ?」
「トーメ様どうしたんですか?」
様付でサファルが留さんの名前を呼んだ。そういう設定かな。それともゲームファンからすれば神みたいな人だからかな?留さんの隣に座った社長も緊張気味だ。
「いや、コーヒーをエリクサーと呼ぶ意味が分からなかったが……これは、確かに……。HPもMPも体感できるほど回復してるな」
本当に留さんはサファルさんの話に付き合いがいい。
「カフェインは疲れた時に飲むと元気になれますし、甘いものは疲れた脳みその栄養になりますからね」
と、一応私も付き合ってサファルさんに話したように声をかける。
留さんはなるほどと頷いたあとに、ちょっと考えてミルクポットを持ち上げた。
「このミルクは、植物性油脂を使ったもの……で、いわば脂肪だろう?」
え?
「あの、まずかったですか?」
一般的な業務用コーヒーフレッシュを使っている。
「いや、そうじゃない。体を作るのはたんぱく質だ。牛乳はタンパク質が含まれているがコーヒーフレッシュには含まれいない……ということは、牛乳を加えて飲めば……もしかすると、エリクサーが本当の霊薬になるかもしれない」
エリクサーとか霊薬とか……。
よくわからないけれど、もしかすると、留さんはいつもより疲れている様子だし、コーヒーよりももう少し甘いカフェオレが今は飲みたいのかもしれない。
「カフェオレを入れましょうか?」
と尋ねると留さんが小さく首を横に振る。
どうも。とまとです。
さて、モーニングが当たりになる可能性の高い喫茶店の見つけ方。
1、ネットで情報探す……は、とりあえず有名店ばっかり引っかかってきて、なかなか検索サイトでは難しいんですよ。なんせ、ライターと呼ばれる人たちも実際に店をめぐってなくて、テレビやら雑誌やらで拾った有名な店の紹介しかしませんし。
で、お勧めなのは、ぐるなびなど口コミサイト。
いや、普通だなと思ったでしょ。違う違う。
口コミサイトで、目的の地域の喫茶店の情報を見て、モーニングについての感想を熱く語っている人の感想一覧を見るんです。そうすると、だいたいナッカーマ!
モーニングが好きで、いろんな店を回って、他の人が知らないような貴重な情報を書いてたりするんです。ええ。ネットで探すならこれが一番ですね。
他にネットで探すならば、やっぱりブログ。喫茶店モーニング関係のブログを書いている人の記事を見る。というのがいいです。
検索サイトで「◯◯ 喫茶店 モーニング」ではなかなか素敵な情報拾えないこと多いです。
次回、ネット以外でのモーニング当たりの店の探し方
ああ、そうだ。今日は節分ですね。
ちなみに名古屋圏では、昔はほぼ、モーニングタイム以外は珈琲には豆菓子ついてた。




