第18話 魔物殺戮開始へ
俺は地面を軽くパンチして穴を開けた。その穴にニャターシャを埋めて土をかぶせ、無心で手を胸の前で合わせ目を閉じた。
冷静になりアドレナリンの効果がなくなったせいか、背中がすごくヒリヒリする。
さっきの攻撃のダメージはなかなか大きかったようだ。俺は気を失いそのまま後ろに倒れた。
しばらくして俺は目を覚ました。朝になり、目の前には綺麗な青い空が広がっていた。まるで昨日のことなんて何もなかったかのように。
寝ている場合じゃない。寝ている暇なんて俺にはない。
俺の攻撃が全く効かなかったんだ。このままじゃアイツには勝てない。経験値を稼いでレベルを上げる必要がある。
レベル上げにはどこが最適か。俺の知ってる中じゃあそこしかない。ナールが倒したゴブリンソードキングのいた森だ。あそこには強い魔物がいると言っていた。
俺はそこに向かって全力で走った。走ったというよりトビウオのように飛んだという方が正しいかもしれない。
来るときは馬車で何時間もかかった距離だったが、わずか十数秒でたどり着いた。
俺は森に入る前に決意した。この森に住む魔物全てを殺してやる...と。
森ごと吹き飛ばせられれば一番楽なんだが...。そういえば、帝国を吹き飛ばしたアイツが使っていた技、ケイアスシャドウ...だったか?もしかしたら使えるかもしれない。
「ケイアスシャドウ!!」
俺は両腕を前に出しそう叫んだ。
だが何も起こらない。
俺はふと、ナールが言っていたことを思い出した。技を使うには正確な技名と明確な技のイメージ、それを使いこなせる身体能力が必要だと。
俺はあのとき背中を向けていたから敵の技を見ていない。だからイメージができず技が発動できないのか。というより、そもそもアイツより弱いから使えないのかもしれない。
今気づいたんだが武器も持っていない。まあしょうがない。素手で倒していくしかない。
俺は薄暗い森の中に足を踏み入れた。
数歩進んだところで前方から何か音が聞こえる。
ザーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーー