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ネクスト・オリジン  作者: orion1196
絶対強者
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4-5 新しい力

 しばらく暴れたモードレッドだったが、なんと肩口から剣がひとりでに抜け、地面に突き刺さった。


「この剣…… どうして、なぜ貴様が現れるんだ! 」


 虚空に向かって吼えるモードレッド。すると司の影がモードレッドの目の前まで伸びていき、その影から1人の騎士が現れた。


「これ以上はよした方がいいぞ、モードレッドよ」


「貴様っ!、ランスロット…… まさか我が義父を裏切ったお前が! 英雄気取りか? アァッ!! 」


 鎧は鼠色、剣は青みがかった白い光を放っている。モードレッドが切りかかるも、ランスロットと呼ばれたその男は大剣(クラレント)を手で受け止めた。


「確かに私は己の忠義と恋とをすら天秤にかけれない愚物よ。だからこそ、この剣(アロンダイト)は私ではなく、真に義を貫ける若人たちに継がせねばならん」


 そのまま筋力でクラレントを封じ込め、青い光を放つ剣でバッサリと斬り付ける。モードレッドは膝から崩れ落ち、四つん這いになった。ランスロットと呼ばれたその男は静かに司の方を振り返る。


「さぁ若き芽よ、そなたの名を告げるがよい」


「……二条 司です」


「よろしい。 では二条 司よ、汝にこの剣を捧げよう。我が名はランスロット、そしてこの剣の名はアロンダイト、此は汝の艱難(かんなん)を切り裂く光となろう」


 ランスロットが司に剣を手渡す。司がそれわ両手で受けとると、アロンダイトと呼ばれた剣は更に輝きを増した。


「これが、俺の力…… 」


「さぁ少年、あの哀れな男にとどめを刺すがいい」


「あぁ、行くぞランスロット」


 司が剣を振り上げる。目を閉じて呼吸を整えると、光が刃から溢れ出す。


「なめるなッ! 『栄冠を抱く(オーナー・オブ)…… 」


「『忠ある者に光有れアロンダイト・フラッシュオーバー』っ!! 」


 光がモードレッドの胸部を貫く。目を見開いて驚いたモードレッドだったが、己の最期を悟ったのか、ニヤリと笑った。


「笑えんな…… ガキにすら勝てぬようになる時代が来るとは」


 次の瞬間には体が灰になって崩れ行き、とうとう一片残らず朽ち果てた。風に乗って消えゆく灰を見つめつつ、ランスロットは語りはじめた。


「私は…… この剣を若き者らにもっと早く託さねばならなかった。これは一種の罪滅ぼしのようなものさ」


「でも、おかげで助かりました。ランスロットさ…… 」


 膝から崩れ落ちる澪。黒川と木下が彼女を抱き止めた瞬間に澪の変身は解除され、そしてそのまま澪は意識を失った。


「……やれやれ、霊力切れか」


 アダムが静かに澪を抱き上げる。と同時に司も体勢を崩して膝から倒れた。


「一回宝具出すだけでこんなに疲れるのか…… 」


「私の宝具が異常なだけだ。ゆっくり休むといい」


 司の肩に手をかけ、満足そうな笑みを浮かべた後、ランスロットは姿を消した。司が完全に倒れる前に黒川がとっさに肩を貸す。木下は敵の追撃を警戒しつつもアダムに話しかけた。


「なんであなたは消えないんですか? 」


「あー…… その話は長くなるから、後ででいいか? 」


 木下は静かに頷いた。黒川、木下、アダムの3人はその後しばらくその場にとどまり、二班の到着を確認した後にその場を去った。

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