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ネクスト・オリジン  作者: orion1196
絶対強者
22/24

4-4 反撃

 その男の姿は、タキシード姿の青年であった。


「やっと色々見たか」


「うん。もう迷わない」


 モードレッドが反射的に構えをとる。澪もあわせて構えた。


「……杉山さん? 」


「ごめんね、もう大丈夫」


 澪の両手に握られた槍は剣の時よりも強い光を放っている。そして残像を残しながら澪が『消えた』。


「なっ!、速さが上がっている!? 」


「もうあなたの技は見たからね」


 鋭い突きがモードレッドの剣を弾き、喉を掠める。反撃しようと体をひねるも、脇腹に槍の柄が食い込んだ。


「こしゃくな真似を!…… 」


「逃がさない!! 」


 逃げるモードレッド、追いかける澪。形勢が逆転したその時、黒川と木下が助太刀に現れた。


「あれは?…… 」


「澪ちゃん? 」


 そこにいたのは二人の知らない澪だった。槍を手に、先日までとは違う形の鎧を身につけて、モードレッドを1人で追い詰めている。


「ヒストリアがあいつに応えたのさ…… っと、自己紹介がまだだな。俺の名はアダム、澪の契約英霊さ」


 二人は事情を飲み込めずに黙り込む。アダムは話を続けた。


「あの銀色の鎧を着てるのがモードレッド、今回の事変の元凶だな」


「……凄いな、杉山君は」


 モードレッドを追い詰める澪。逃れようと飛び上がったモードレッドだったが、それを逃すほど澪は甘くなかった。


「ウオォォッ!! 」


「大したものだ、小娘…… ガハッ! 」


 深々と腹部に澪の槍の穂先が食い込む。モードレッドは血を吐いて地面に伏した。


「ハァ、ハァ…… はや、く…… とどめを…… 」


 重なる負荷に限界を迎えたのか、鎧と槍が消え去り澪が意識を失う。勢いよく地面に倒れ込み、動かなくなる。


「くそっ…… 霊力が…… 」


「全く、この俺にここまで手傷を追わせよって…… これは(はなむけ)だ、このクラレントの全力全開を以て終わらせてやる」


 フラフラと立ち上がり、剣の切っ先を澪に突きつけるモードレッド。そして剣が赤く光りはじめ、腹に響くような起動音を立てた。


「杉山ッ! 逃げろ!! 」


「澪ちゃん!! 」


 黒川、木下が慌てて割って入ろうもするも、既に霊力の充填は終わったらしく、光が切っ先に集中しはじめた。


「食らえ、栄冠を抱く光条オーナー・オブ・クラレント


 その時だった。さっきまで立てずに地面を転がっていた司が突然立ち上がり、大声で叫んだ。


「やめろォォォォアアァァァァァァ!! 」


 刹那、司の右手に握られた剣がロングソードに姿を変え、魔モードレッドめがけて飛んでいった。ソードは寸分たがわず右肩に突き刺さる。


「グオォアアァッ!! 」


「……え? なんで?…… 」


 悶絶するモードレッド。司を含め、その場にいた全員が呆然と剣を眺めていたが、アダムだけはなぜかフッと笑う。


「ここに来て新しい『宿し人(ポゼッサー )』の登場とはな。あのガキ、やるじゃねぇか」



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