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ネクスト・オリジン  作者: orion1196
絶対強者
20/24

4-2 反逆の騎士 1

 反射的に構える二人。しかし男は構えない。


「さすがに殺気を出しすぎたか」


「そんな事よりさ、『我ら』ってどういうこと? あんたも昔の英雄さんを名乗るわけ? 」


 ジリジリと間合いを詰めながら質問を始める澪。男は静かに笑うと、甲冑の面甲を下ろして剣を地面に突き立てた。


「あぁ、ただしこれから死ぬ者相手に名乗る名はない」


「あんたに殺される気はないよっ! 」


 澪が切りかかる。鎧の男は、身の丈近くあるロングソードを片手で振り上げ、斬撃を受け止めた。


「くッ!…… 」


「気迫も威力も申し分ない。しかし、重さが足りん」


 男は澪をそのまま片手で弾き返した。すかさず二撃目に移る澪だったが、剣を振り上げた瞬間に男が懐へと滑り込む。


「それに流れがない。我流としてはセンスはあるが、貴様は剣士に向かぬ」


「ガハッ!…… 」


 胴薙ぎ一閃、吹き飛ばされた澪は神社の壁に激突し、壁が崩れ去る。


「杉山さん! 」


「だい、丈夫…… 」


  剣を杖にして立ち上がる澪。もちろん男は容赦せずに彼女に突進し二撃目を放つ。


「あなたには、負けられないッ! 」


「覚悟も大したものだ……だが強さがな」


「うぐっ! 」


 なんとか斬撃は受け止めたものの追撃の蹴りまでは感知できず、鳩尾に直撃する。体勢を崩され宙に舞い上がった澪は、男の剣がどす黒い赤色に光るのが見えた。


「しまっ…… 」


「吼えろ、栄冠を抱く剣(クラレント)


 空中に掲げられた切っ先から赤黒い光の束が放たれ、澪に直撃する。爆煙が巻き上がり、澪は地面に叩きつけられた。


「くそっ! 」


 司がすかさず反撃に出ようとするも、剣を振り上げることさら叶わずに蹴り飛ばされる。


「ガハッ!…… 」


 呼吸が出来ずに悶絶する司。男は無言で剣を振り上げた。


「死にゆく覚悟は出来たか? 」


「…… 」


「もはや喋ることすら出来ぬか…… ッ!? 」


 振り上げた剣を降ろし、一歩後退りする男。そこには司の前に割って入った澪の姿があった。


「ハァ、ハァ…… 」


「……たいした娘だ」


 再び蹴り上げようと脚を振る男。しかし澪はきっちりと対応して男の動きを捌いた。


「確かに強いね、モードレッド卿」


「ほう、我を知っているのか」


「そりゃあ、その剣を武器として振るったのはあなたしかいないから」


 構える澪。しかしダメージが抜けきっていないのは、足の震え具合から見てとれた。


「その男を捨てていれば、一撃我に叩き込めたかもな」


「はい? 」


 次の刹那、澪の顔の横を一陣の風が駆け抜けた。


「グアァァァァッ!! 」


「二条君! 」


 モードレッドの剣が司の肩を貫いていた。苦痛に顔を歪める彼を剣ごと持ち上げ、モードレッドは司を木に叩きつけた。木は根本から折れ、司の上に重なるように倒れた。


「どうだ? これでやる気になったか? 」


「……さない」


「ん? 」


「許さないッ!! 」


次の瞬間、モードレッドの目の前から澪が『消えた』。

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